10. ROSE ポートの設定

ROSE パケット層プロトコルは X.25 規格の第 3 層に似ています。 カーネルの ROSE 機能は FPAC Rose 実装改変したバージョンになっています。

ROSE パケット層プロトコルは、あなたがここまでで設定を行ってきた AX.25 ポートを使用し、その AX.25 プロトコルの上で動作します。 ROSE ポートを設定するには使用したいポートについての設定ファイルを編集 する必要があります。 必要であれば複数の ROSE ポートを設定することもできます。 それぞれについて同じような手順で設定すればよいのです。

10.1. /etc/ax25/rsports の設定

ROSE インターフェイスの設定を行うファイルは /etc/ax25/rsportsです。 このファイルには AX.25 ポートについて /etc/ax25/axports ファイルに記述するのと殆ど同じ方 法で ROSE ポートについての記述を行います。

このファイルの書式は以下の通りです。

ポート名 アドレス 説明

ここで

ポート名

このポートを参照するときの名称。

アドレス

このポートに割当てる 10 桁の ROSE アドレス。

説明

このポートについての説明。書式は任意。

例を示せばこんな感じです。

rose  5050294760  Rose Port

特に指定しない限り、ROSE は各 AX.25 ポートに割当てられたデフォルトの SSID 付きコールサインを使うことに注意してください。

違う SSID 付きコールサインを ROSE で使うようにするには、次のように rsparms コマンドを使います。

# /usr/sbin/rsparms -call VK2KTJ-10

この例では設定されている全ての AX.25 ポートにおける ROSE の呼出に対し て Linux が VK2KTJ-10 という SSID 付きコールサイン を待受けおよび使用するようにしています。

10.2. ROSE ネットワークデバイスを作る

/etc/ax25/rsports ファイルの作成が終われば、AX.25 デバイスのときと同じように ROSE デバイスを作ることができます。 ROSE デバイスの場合は rsattach コマンドを使います。 このコマンドは「rose[0-5]」という名前の ROSE ネット ワークデバイスを作成します。 最初に rsattach コマンドを使うとデバイス 「rose0」が作られ、次に使うとデバイス 「rose1」が作られ、といった具合です。 例えば、

# rsattach rose

このコマンドは /etc/ax25/rsports ファイルで設定され ている rose という名前の ROSE ポートを、ネットワー クデバイス (rose0) として起動するものです。

10.3. ROSE ルーティングの設定

ROSE プロトコルは今のところ静的なルーティングのみサポートしています。 rsparms ユーティリティを使えば Linux の ROSE プロ トコルのルーティングテーブルを設定することができます。

例えば、

# rsparms -nodes add 5050295502 radio vk2xlz

このコマンドは ROSE ノード 5050295502 への経路を /etc/ax25/axports ファイルで 「radio」という名前で指定される AX.25 ポートの VK2XLZ というコールサインの隣接局に設定します。

ROSE プロトコルの複数の相手局に対するルーティング情報を一つのエントリー に記述するためにマスク付のルーティングを指定することもできます。 使い方は以下のような感じで、

# rsparms -nodes add 5050295502/4 radio vk2xlz

与えられたアドレスの最初の 4 桁にマッチする全てのアドレス (この例の場 合は 5050 で始まるアドレス) であること以外は、一つ 前の例と全く同じ動作になります。 または別の指定の仕方として、

# rsparms -nodes add 5050/4 radio vk2xlz

こっちの方がちょっと分かりやすいかも知れませんね。