次のセクションで示す指針とテストを使って、開発者はよりアクセシビリティに 優れたアプリケーションを開発できます。評価システムとして全ての項目について適合、 不適合、対応中をつけてください。
次に示すようなキーボード操作の設定と順序はアクセシビリティ上の問題を引き起こす 原因となります。確認すべき項目は―
アプリケーションの特徴に合わせた効率のよいキーボード操作を提供している。
論理的なキーボード操作順の実現済みである。
チェックボックスやラジオボタン、トグルボタンからなる コントロールには正確なタブ順序を用いる。
キーボードからのアクセスで既存のアクセシビリティ機能を上書きできない。
アプリケーションは常に、 キーボードを代替する手段を複数提供している。
常に代替手段としてキーコンビネーションが用意されている。
やってしまいがちなキーボードの操作が誤操作に繋がらないように配慮されている。
アプリケーションは繰り返しキーを押す、同時にキーを押すなどの操作を要求しない。
マウスの機能を全てキーボードにより実現可能である。
アプリケーションは処理の起動に一般的なナビゲーション機能を全く使わない。
キーボードを使って呼び出すメニューやウィンドウ、 ツールの注意書きは関連するオブジェクトのすぐそばに表示される。
次のようなキーボードを使ったテストをどんな動作にもマウスを全く使わないで試してください。 キーボードから入力するコマンドだけを使ってアプリケーションのメニュー項目全てに フォーカスを当ててみましょう。次の項目を確認すべきです―
操作の状況に応じて表示されるメニューは正確に出力される。
ツールバー上の機能はどれもキーボードから操作可能である。
アプリケーションのクライアント領域上とダイアログボックスの コントロールは全てが操作可能である。
アプリケーション内のテキストとオブジェクトは選択可能である。
キーボード上の追加機能とショートカットはどれも設計どおりに機能する。
次に示すようなマウスボタンの動作と操作順はアクセシビリティ上の問題を引き起こす 原因となります。確認すべき項目は―
2 個または 3 個のマウスボタンが必要な入力は全く無い。
マウスによる操作は全てキャンセル可能である。
ドラッグアンドドロップの操作中の経過が表示される。
次に示す画面表示上の属性の設定、オブジェクトの属性、 命名規約はアクセシビリティの実現に必要です。確認すべき項目は―
線や枠線、影の濃淡などの表示属性がハードコーディングされていない。
アプリケーションプログラムインターフェース (API) オブジェクトには内容を記述するような名前が付けられている。
画面のカラー表示は、随時モノクロ(単色)表示に変更可能。
対話型のグラフィカルユーザーインターフェース (GUI) は全て識別しやすいものが使われている。
必要でないグラフィックを隠す機能が備わっている。
スクリーンリーダー(読み上げソフト)を使ってアプリケーションをテストし、 次の項目を確認してください―
ラベルやテキストは正確に読み上げられるか、 メニューやツールバーについても確認します。
オブジェクト情報は正確に読み上げられるか。
次に示す、フォントとテキストのスタイルや属性、ラベルは アクセシビリティ上の問題を引き起こす原因となります。確認すべき項目は―
フォントのスタイルとサイズはどれもハードコーディングされていない。
背景画像を隠す選択肢は準備済みである。
ラベルは単独で取り出しても意味の通るような名前が付けられている。
同一ウィンドウ内に同じ名前のラベルが複数出てこない。
アプリケーション内でラベルの表示される位置に一貫性がある。
コントロールの内容を示すラベルでタブを押すと直接当該コントロールに移動する。
画面で表示されたままの出力が得られる機能 (WYSIWYG) の代替機能を備える。
次のテストを実行してフォントサイズや設定がメンテナンスされるか確認してください。
アプリケーション内でフォントを変更してみて、 フォントの変更が適用されるのはそのアプリケーションだけでデスクトップ環境には 影響しないことを確認してください。
アプリケーション内で配色を変更し、 配色の変更が適用されるのはそのアプリケーションだけでデスクトップ環境には 影響しないことを確認してください。
画面拡大ソフトを起動して拡大画面を通して見たときのテキストのフォント、カラーとサイズをテストしてください。
次に示すのはアプリケーション環境に適用するカラーと高コントラストに関する指針です。 確認すべき項目は―
アプリケーションが使う配色は ハードコーディングされずに変更可能になっている。
カラーを使うのは機能強化のためであり、 カラーが情報の伝達の唯一の手段であってはならない。
アプリケーションは高コントラスト設定を複数用意している(例―白地に黒、黒地に白)。
アプリケーションが特定の高コントラスト設定に依存しない。
次のテストを行ってカラーと高コントラスト設定について確認してください―
表示中の画面を白黒プリンターで印刷した際に画面上の情報は全て出力される。
表示の設定を白黒あるいは高コントラストに変更したときでも 情報は全て正確に伝達される。
最低3種類の高コントラスト設定が使用可能で、全て正確に動作する。
デスクトップ環境の高コントラスト設定がアプリケーションにも適用される (例―ウィンドウバーやフォントカラーがデスクトップ環境に合わせたものになり、 アプリケーション側で変更しない)。
次に示す拡大表示機能がアプリケーションに組み込まれていなければなりません。 確認すべき項目は―
アプリケーションはワークエリアを拡大表示する機能を提供する。
アプリケーションはワークエリアを倍率表示する機能を提供する。
拡大表示設定の変更がアプリケーションに悪影響を及ぼさない。
次に示すのはオーディオ出力に関する指針です。 スクリーンリーダーを使用して確認してください―
ユーザーには必要なオーディオ出力が全て聞き取れる。
オーディオのみが唯一の情報伝達の手段であってはならない。
ユーザーは警告音とサウンドの周波数と音量を調節できる。
アプリケーションには警告音とサウンドを目で確認する機能が 選択可能になっていなければいけません。 サウンド機能を有効にしてオーディオが正しく動作するかテストしてください。 次の項目を確認します―
ユーザーが警告音を発するような操作をしたときに アプリケーションは設計通りの動作をする。
音量を増減したときにアプリケーションは正確に動作する。
警告メッセージと警報は騒音の多い状況でも正確に聞き取れる。
次に示すのはアプリケーション上のアニメーションに関する指針です。 確認すべき項目は―
点滅する要素を2ヘルツ (Hz) 以上 55Hz 以下の周期で点滅させない。
範囲の広い領域が点滅したり突然光ったりしない。
次のテストをアニメーションを含むアプリケーションに対して実施してください。 次の項目を確認すべきです―
アニメーションを静止させたり非表示にする機能が備わっている。
アニメーションを非表示にしても正常に動作する。
フォーカスを決めるのはユーザーがアプリケーションや画面上を移動させるカーソルの位置です。 次に示すのはアプリケーション内のフォーカスに関する指針です。 確認すべき項目は―
フォーカスは最もよく使われるコントロールに最初に当てられる。
現在の入力位置を示すフォーカスは常にはっきり示される。
入力位置を示すフォーカスはアクティブな表示パネルに置かれる。
ユーザーが、一連のオブジェクトのグループの最後で 元に戻す操作を行おうとしたときにはアプリケーションが適切な応答を返す。
ユーザーが不適当なキーを押したときはデフォルトの警告音が鳴る。
ビジュアルフォーカスインジケーター(視覚的なフォーカス位置表示)は ユーザーにカーソルの位置を知らせて必要な情報を提供するので、 ユーザーは次にすべきことがわかります。 次に示すのはビジュアルフォーカスインジケーター(視覚的なフォーカス位置表示) に関する指針です。確認すべき項目は―
ビジュアルフォーカスインジケーターには音声による情報も十分に提供されていて、 ユーザーが次に行うことが見つけやすい。
アプリケーション上のカーソルの位置をスクリーンリーダー (読み上げソフト)とブライユデバイス(ブライユ式点字装置)が認識できて、 ビジュアルカーソルインジケーターの内容を読み取り可能である。
以下についてスクリーンリーダーとブライユデバイスを使ってテストしてください。 次の項目を確認すべきです―
オブジェクト間を移動しているビジュアルフォーカスインジケーターを見つけやすい。
キーボードを使ったアプリケーションメニューの操作では フォーカスの移動がはっきりと視認できる。
スクリーンリーダーとブライユデバイスがキーボードの操作に伴って ビジュアルフォーカスインジケーターに追随する。
画面拡大表示プログラム実行時にキーボードまたはマウスの操作に伴って 拡大画面がビジュアルフォーカスインジケーターに正確に追随できる。
次に示すのはアプリケーションに組み込むタイミング(応答時間)オプションに関する指針です。 確認すべき項目は―
タイムアウト(応答時間の制約)など時間の制約を受ける機能を ハードコーディングしない。
短時間表示された後でマウスポインターを動かすと 隠れてしまうようなオブジェクトは設けない。
アプリケーションの応答時間に関する次のテストを実施してください。 次の項目を確認すべきです―
メッセージがタイムアウトする前にユーザーに知らせて、 必要なら表示時間を長くする機能がある。
応答時間を調整できる機能を設けて設計通り動作するか確認する。
次に示すのはアクセシビリティに配慮した文書を記述する際の指針です―
文書化された資料は全てアクセシビリティに配慮した形式である (例として HTML またはテキスト形式)。
アプリケーションのアクセシビリティに関する機能は全て文書化されている。
オペレーティングシステムが使う標準的なキーボード操作をサポートしていなければ その旨を記述する。
アプリケーション固有のキーボード操作があれば明示する。
アクセシビリティに関する機能についてはすべて明示し解説する。
マウスの動作について記述する場合は、 キーボードを使う代替機能についても記述する。
次のテストを行って文書化された資料が入手可能で アクセシビリティを備えているか確認してください。
スクリーンリーダーかブライユデバイスを使用するアプリケーションで ヘルプファイルを開いて情報が入手可能であり、分かりやすく正確であるか確認してください。