14.4. 入口 (ingress) qdisc

ここまで説明してきた qdisc は、すべて出口 (egress) qdisc です。 しかしインターフェースには入口 (ingress) qdisc を持たせることもできます。 これは、パケットをネットワークアダプタに送るのではなく、 アダプタを経由して到着したパケットに tc フィルタをかけるためのものです。 パケットがローカル宛のものか、フォワードされるものかは問われません。

tc フィルタにはトークンバケツフィルタが完全に実装されており、 またカーネルの流量評価器によってマッチを行うこともできますから、 たくさんの機能が実現可能です。 実際に、流入トラフィックを IP スタックに入る以前のところで 制限することさえできます。

14.4.1. パラメータと使い方

入口 qdisc 自体は、どのようなパラメータも要求しません。 この qdisc は他とは異なり、デバイスの root を占有しません。 次のようにしてアタッチします。
# tc qdisc add dev eth0 ingress
よってこの入口 qdisc と同時に、 他の (送信で用いる) qdisc をこのデバイスに適用することもできます。

入口 qdisc の (ややわざとらしい) 利用例については、 クックブックを参照してください。