1. はじめに

早い遅いの違いはあったろうが、 Linux ユーザなら誰でも次のような状況にハマったことがあるだろう。 コンソール上や X 上で、Backspace キーと Delete キーが効かなくなってしまうという現象だ。 この文書は、こういったことがなぜ起こるのかを説明し、その対処法を紹介する。 ここに示されている考えは、基本的にはどのディストリビューションにも 適用できる。ただしシステムの設定ファイルは各ディストリビューションによって かなり違うので、ここでは読者が自分自身でどのファイルを 修正すればよいのかがわかるだけの情報を、必要に応じて提供しようと思う。

ここで言う Backspace キーとは、1 文字分もどって そのカーソル上にある文字を消去するものとする。一方 Delete キーは 現在のカーソル上にある文字をカーソルを動かさずに消去するものとする。もしこの 2 つの機能が 入れ換わっていたほうがいいと思うなら - ほとんどのキーボードの Backspace キーの表面には向きの矢印 () が書かれているのだが - この文書は直接の 解は与えない。が、確実に役に立つ情報が得られるだろう。

もうひとつの仮定は、変更する部分はローカルな (そのユーザだけの) ファイルだけにしたい、ということだ。ディストリビューション標準の設定は どこも変更すべきではない。最後にもうひとつ。この文書では アプリケーションが正しいイベントを受け取れるようにシステムを設定する方法を 説明する。もしお使いのアプリケーションが風変りなやり方でそのイベントを 解釈するようならば、とりうる唯一の修正方法はアプリケーションの設定を 変更することだけだ。

注意: この Mini-HOWTO の最初のリリース以降、事情は更に複雑になってきた。 同一の端末エミュレータ (Red Hat 7.0 や 7.0 より前の Helix/Red Hat における gnome-terminal など) でも、ディストリビューションが 違うと別の ASCII 文字列を生成することがある。 この不一致のため、今や端末データベースはそれらが記述するとされている 端末エミュレータにさえ合致していない。以下の議論の基盤をしっかりさせるため、 我々は基本的に Debian キーボードガイドラインで示されている設定を正しい設定として扱う。