3. どの程度の復旧率が見込めるのか?

場合によります。Linux のような高機能、マルチユーザ、 マルチタスクのオペレーティングシステムでファイルを復旧する場合の問題点の ひとつは、誰がいつディスクに書き込みをするか分からないということです。 ファイルを削除するよう命令されると、オペレーティングシステムは そのファイルが占めていたディスクブロックを、新規ファイルに割り当てる ための空間として認識します。(これは、Unix 系オペレーティングシステム に見られる一般原則の典型的な例です。つまり、カーネルやその関連ツールは、 ユーザが仕組みを理解した上で作業していることを前提にしているということです。) 一般に、マシンを酷使しているほど、ファイルの復旧は難しくなります。

また、ディスクのフラグメンテーションもファイルの復旧率に影響します。 削除ファイルがフラグメンテーションの激しいパーティションに あった場合には、そのファイル全体を復旧できる確率は低下します。

もし読者のマシンが (著者のマシンのように) 事実上シングルユーザのワーク ステーションであり、ファイルを削除してしまった瞬間にディスクを酷使するような 処理が行われていなかったとするなら、冒頭で紹介した著者の場合と同等の 復旧率を達成できると思われます。著者はファイルの 94 % 近くを無傷で 復旧しました (しかもこれらはバイナリです)。おそらく 80 % 以上復旧できれば、 かなり満足できるはずだと思います。