Font HOWTO | ||
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afm:Adobe Font Metric の略。これはフォントの幅や字間スペースの情報を格納してあるファイルで、フォントの形態を定義するファイルと対をなす。
アンチエイリアス:フォントスムージングとも呼ばれ、低解像度のデバイス(例えばモニター)向けにフォントを変換する技術を指す。フォントを変換するときの問題は、フォント自体が輪郭線で描かれているのに対して、デバイス側ではフォントを点の集合として表示すること。よって変換の際には輪郭の内部にある画素(ピクセル)を黒く塗りつぶし、そこ以外のドットには手をつけないことになる。が、これだけでは輪郭線上の画素に対する処理が不充分で、境界線にある画素は灰色に仕上げるほうが望ましい。アンチエイリアスとは基本的にこれを実現する仕組み。
bdf フォント:X で利用できる各種ビットマップフォント。
ビットマップフォント:点の集合でできているフォント。フォントの特徴はいずれも点の配置として記録される。したがって出力デバイスとの関わりが深く、同じビットマップフォントを画面表示と印刷の両方に使用することはできない。ビットマップスクリーンフォントの例としては、X の利用する .pcf フォントや .bdf フォントが挙げられる。ビットマッププリンタフォントの一例は TeX の pk フォント。
didone:「modern フォント」の項を参照。
dpi:Dots Per Inch(1 インチ当たりのドット数)を意味する。モニターの表示は 75〜100 dpi 程度の密度が普通だが、最近のプリンタは 300〜1200 dpi という具合にさまざま。
エキスパートフォント:フォントを補完する文字のセット。スモールキャップフォントや装飾文字、オマケの合字、数字のプロポーショナルフォントなどが含まれる。Adobe のフォントにはエキスパートフォントの付属しているものも多い。
フォントサーバ:XFree86 でフォントを利用できるようにするため、バックグラウンドで動くプログラム。
グリフ:平たく言えば「形」を意味する。アウトラインフォントの構成要素。小文字の i を例に取れば、点や縦棒やセリフのひとつひとつがグリフに相当する。フォントの形態はグリフで決まる。
カーニング:プロポーショナルフォントの場合、字間のスペースは文字の組み合わせ次第で変わる。フォントのメトリックファイルには、特定の二文字を組み合わせるときのスペースに関する情報が含まれている。カーニングペアとはこうした組み合わせのこと。
合字:連続した文字を表現するための特殊な文字。実例を挙げて説明するのが一番だろう――fi の二文字が変換される場合、i の点は f に接触してしまうし、左上のセリフも f の横棒とぶつかってしまいかねない。これに対して合字の fi はひとつの文字で、ひとつの f とひとつの i を連続して並べる代わりに使用できる。その他の合字としては fl や ffi や ffl があるが、たいていのフォントには fi と fl しか収録されていない。残りは「エキスパートフォント」として入手可能な場合もある。
メタフォント:フォントの生成に使われるグラフィクス言語。多々ある長所の最たるものとしては、サイズの変更時に引き伸ばす必要のないフォントを生成できることが挙げられる。つまり、メタフォントで作成した 17 ポイントの Computer Modern フォントは、10 ポイントの Computer Modern フォントをそのまま拡大したものとは形が異なるのである。Adobe のマルチプルマスター技術が登場するまで、この機能を備えているのはメタフォントだけだった。メタフォントの強みは高品質のフォントを作成できること。弱点はといえば、アウトラインフォントからビットマップフォントを生成するのに時間がかかることで、それゆえに WYSIWYG 流の組版とは相性が悪い。
メトリクス(メトリック):フォントが占めるスペースの大きさを定義した情報。フォントが収まる箱のようなものと表現できる。ページ内でフォントを配置する際にはこの情報が欠かせない(フォントの形そのものは問題とされない)。よってたいていのプロポーショナルフォントは、形態に関する情報のほかにメトリクス情報も保有している。メトリクスにはカーニング情報も含まれる。
modern フォント:19 世紀以降に考案されたデザインを基調とするフォント。垂直線を強調してあるため、見た目ががっしりしている。old style や transitional より強烈な「個性」や「主義主張」が特徴だが、品位や格式もそれなりにとどめている。長文には適していないものの、文書の味つけには有効。代表格としては Bodoni がある。
old style フォント:由緒ある書体のグループ。15 世紀後半から伝わるデザインに基づいている。長い文書(例えば書籍)にはうってつけ。先人のデザインを踏まえたスタイルではあるが、中にはかなり新しい書体もある。ことに Goudy Old Style は 20 世紀初頭に Goudy が考案したもの。old style の代表格としては、Goudy Old Style に加えて Garamond や Caslon がある。
pcf フォント:X が利用するビットマップフォント。
PostScript:ページ記述を目的とするプログラミング言語の一種。当初は開発元である Adobe の商標だったが、今や ISO の規格でもある。変換にはインタープリタが必要。これには Ghostscript のようなコンピュータ上のプログラムが使用されるが、一部のプリンタでも同言語の解釈は可能。
セリフフォント:描線の先端に小さな鉤(セリフ)がついているフォント。概して読みやすい。ただし、出力デバイスの解像度が低い場合は、(なにしろ細かい飾りだけに)セリフを再現するのがかなり難しく、フォントのサイズが小さければなおさら。よって低解像度のデバイスで小さなフォントを扱うなら、(Microsoft の Verdana のような)サンセリフフォントのほうが読みやすいこともよくある。また、セリフフォントであっても(各種 modern フォントのように)長文向きではないものもある。
サンセリフ(sans serif)フォント:セリフのついていないフォント(sans はフランス語で「〜のない」という意味)。見た目があっさりしていて、見出しにもってこい。タイポグラフィー界の常識では、見出しのみに使うべきとされているが、それが唯一の用途とはかぎらない。一部のサンセリフフォントは、インパクトより読みやすさを重視してデザインされている。斜め読みされてしまう短めの文書(例えばカタログや販促パンフレット)で人目を引くのによい場合もあるし、最近 Microsoft が開発した Verdana は、小さな文字を低解像度のデバイスに出力する場合でも読みやすい。有名なサンセリフフォントとしては、Lucida Sans や MS Comic Sans、Avant Garde、Arial、Verdana、Century Gothic などがある。
slab serif フォント:鉤のようなセリフではなく、厚板(slab)のようなセリフ(平たい線やブロックなど)がついているフォントのグループ。例外もあるとはいえ、非常に読みやすいものが多い。セリフがシンプルでがっちりしているため、ページにめりこんでいるような印象を受ける。Clarendon や New Century Schoolbook、そして Memphis の知名度が高い。
transitional フォント:old style フォントより最近のデザインを基調としているフォント。読みやすいものが多い。Baskerville や Times Roman が代表格。
Type1 フォント:Adobe の開発したフォントの一種。昔から X サーバのアーキテクチャや PostScript 規格でサポートされていたため、Linux で動くほぼすべてのアプリケーションできちんと使える。PostScript フォントの配布形態はさまざまだが、UNIX 向けのものは afm(adobe font metric)ファイルとアウトラインファイルの組み合わせが一般的。後者は通常、.pfb(printer font binary)ファイルないし .pfa(printer font ascii)ファイル。なお、メトリックファイルにはメトリクス情報、アウトラインファイルにはすべてのグリフが含まれている。
Type3 フォント:Type1 に似たフォント。配布時の構成ファイル(afm ファイルおよび pfa ファイル)の拡張子も Type1 フォントに似ているが、X でサポートされていないため、このフォントに対応している Linux のアプリケーションはあまり多くない。