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1. Introduction

よく分からない多くのことが自分の Linux マシンで起きていると思うと、わたしは もどかしくて仕方がない。もし、わたしと同じように、単に使い方が分かるというだ けでなく、本当にシステムを理解したいと思うなら、この文書はその出発点となるだ ろう。Linux における問題解決の権威を目指しているとしても、この種の基礎知識は 必要である。

Linux の稼働するマシンを持っていることと、Unix および PC ハードウェアの基本を 理解していることが前提になる。もしそうでない場合、それらを学ぶための入門書と して、Eric Raymond の次の文献が優れている。
The Unix and Internet Fundamentals HOWTO ( 日本語訳). これは、簡潔で読み易く、基本事項が網羅されている。

この文書の主題は、Linux の起動の仕組みである。しかし、むしろ分かり易い学習の 手引きにもなるよう意図されている。各章に演習を設けてあるので、実際にいくつかを 実行するなら、読んだだけの時よりもいっそう多くのことを学べるだろう。

わたしの知る限り、Linux を学ぶ最良の演習は、ソースコードからのシステムを構築 することである。わたしは、それに挑戦する読者がいることを期待している。 イタリアの哲学者 Giambattista Vico (1688-1744) は、"verum ipsum factum" と言っ ている。この意味は、「理解は、作ることから生まれる」ということである。この言葉 を教えてくれた Alex ( Acknowledgementsを参照)に感 謝している。

ソースからシステムを構築したいなら、Gerard Beekmans の文書 Linux From Scratch HOWTO (LFS) も見るべきだろう。LFS はソースコードか ら本当に実用的なシステムをつくるための詳細な手引書である。LFS のウェブサイト には、そうした方法でシステムを構築しようとする人向けのメーリングリストもあ る。これまでこの文書の一部であった簡単な構築方法の紹介は、現在 "Building a Minimal Linux System from Source Code ( 日本語訳)" という別の文書となっていて、 From PowerUp to Bash Prompt home page で入手可能となっている。 その文書で述べているのは、純粋な練習課題として「おもちゃ(toy)」のシス テムを作る方法である。(訳注: LFS は翻訳時において、日本語訳作業が進行中です)

登場するパッケージは、システムが起動する過程で現れる順番に並んでいる。つま り、その順序でインストールすれば、インストールするたびに再起動できて、しかも システムが毎回少しずつ bash プロンプトの表示に近づいていくのが分かるわけであ る。それによって、着実に進歩していることが実感できる。

最初は、演習と参考文献等をとばして、各章の本文だけ読むことをお薦めする。そし て、どれだけ理解を深めたいか、どのくらい努力するつもりかはっきり決めて、もう 一度初めにもどり、演習と参考文献等にあたってみてほしい。


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