5.10. IrDA プロトコル

5.10.1. IrDA スタック

5.10.2. 入手可能な IrDA プロトコルの実装

この項の内容は Lichen Wang さんから頂きました。

既存プロトコル群

IrLAP、IrLMP と TinyTP は現在かなり安定になってきています。 但し個々の実装については、まだ多少の問題は残っています。

IrCOMM は広く使われていますが、Microsoft はこれをサポートしないと明言しており、IrSocket のみを用いています。

IrObex、IrMC や IrTran-P などは様々なデバイスで使われていますが、PC 上のサポートは統合されたものではない、個別のケース対応のものです。 また、問題だらけ、ということもしばしばです。

新 IrDA プロトコルの開発状況

AIR は主に IBM の推している規格です。より広い通信角度と長い通信距離 (10m?) が実現できますが、通信速度は遅くなります。 また、この既に遅くなってしまっているチャネルを、さらに時分割して使う機能も持っています。 私は、この規格がユーザにもたらす恩恵はとても少ないと見ています。AIR に伴うハードウェアの変更もソフトウェアの変更も大きなものです。もし AIR を使った製品が市場に出てくるとしても、 実際の製品をみるまでにはまだたっぷりと待たされることになると思います。

IrBUS はシャープが推しているものです。これはリモートコントロールや、赤外線キーボードなどを対象としたもので、データ通信向けではありません。 シャープの意図通りになれば、恐らく IrBUS はセットトップボックスや web-tv などで使われることになるでしょう。 そのようなデバイスの普及率がある臨界点を超えた時点で、一部の PC でその種のデバイスをコントロールするために IrBUS を実装してくるのではないかと思っています。

最後は VFIR です。これの利点は高いデータ転送速度 (16 Mbps) です。 AIR や IrBUS とは違い、VFIR に伴うソフトウェアの変更はごく小さなものです。 変更点は主にハードウェア部です。

まとめ

要約すると、新 IrDA プロトコルを期待して、それまで待つ必要があるとは思いません。 現在の IrDA の、インストールが容易で手堅い実装が、今の世の中の先端です。