次のページ 前のページ 目次へ

7. TCP/IPネットワーク

ハードウェアの話が続きましたので、少しソフトよりの話もしておきます。ここで は、TCP/IP ネットワークを使用する上で知っておきたい基本的な事をお話しま す。

7.1 TCP/IPネットワークが行うこと

ここで説明する構成では、TCP/IP ネットワークソフトは Ethernet プロトコルを 利用して TCP/IP プロトコルを運用します。しかしながら普通はTCP/IP の設定 をする場合には、Ethernet に関する知識は不要です。Ethernet に関する設定は NIC の設定で行うか、何もしなくていいことがほとんどですので、ここでは TCP/IP について説明します。

TCP/IP ネットワークでは、個々のコンピュータが一つずつ、一意の 「IPアドレス」を持ちます。IP アドレスは住所や電話番号のようなもので、 TCP/IP ネットワークでコンピュータを指定す るときには、この IP アドレスで指定します。 IP アドレスは一度設定されると、特別な理由がない限り変更されません。 ですからTCP/IP の世界ではコンピュータは IP アドレスを使って互いを呼 びあえるのです。友達の電話番号が頻繁に変わっているのでは、 安心して電話もかけられないでしょう。これは大変重要です。

TCP/IP ネットワークでは、ユーザーアプリケーションの要求にしたがって、 「指定されたデータを」「指定された場所に」送ります。当たり前だという 声が返ってきそうですが、場所の指定のために、自分の IP アドレスや相手 の IP アドレスが必要になります。ですから、IP アドレスの設定は、TCP/IP の設定作業の中でも重要なのです。これらをコンピュータに教えることが TCP/IP の設定の第一歩です。

7.2 IPアドレス

IP アドレスは TCP/IP ネットワークの中で使用するコンピュータの番 地です。世界中のすべての家に別々の住所があるように、世界中のす べてのコンピュータに別々のIP アドレスをふらなければなりません。 これは大変な作業です。違うコンピュータに同じアドレスをふると、ネット ワークが正常に動かなくなります。したがって世界中のネットワ ーク管理者はそのような事故が起きないように気をつけています。あ なたの家では、この責任はあなたにあります。

世界中のコンピュータに一意な IP アドレスを割り当てるために公的な 機関が存在します。

IP アドレスは4つの整数の組です。そ れぞれの数の区切りはピリオドで行います。例えば

192.168.1.1
といった感じです。

IP アドレスにはクラスという考え方があります。クラスAは、すごく大 きな組織に、クラスCは普通の組織に、クラスBは中間の組織に使用され ます。家庭内 LAN だとクラス C です(家に 255 台以上コンピュータが ある人は注意してください)。

ネットワークとその外を区別するために、IP アドレスを二つに分けて考 えます。ネットワーク番号と、ホスト ID です。クラスCでは、左 3 組 トがネットワーク番号で、右 1 組がホスト ID です。

192.168.1.1
~~~~~~~~~ ~
   |      |
   |      +--ホスト ID
   +---------ネットワーク番号
家庭用の LAN や、小規模の LAN では、ネットワーク番号は一つで十 分です。したがって、すべてのコンピュータのネットワーク番号を同じ にします。それぞれのコンピュータには、最後のホスト ID のみを変更して与えてください。

7.3 自由に使っていいアドレス

Internet に接続するには世界中のコンピュータと衝突が起きないよう に、公的機関からIP アドレスをもらう必要があります。このアドレス 取得は大変重要なことで、冗談ではなく、システム管理者はこのような 公的なアドレスの遵守は最高速度遵守とは比較にならないほど厳粛なも のだと考えています。

しかし、公的な配布は当然公的な手順によります。ちょっと実験や趣味 で使う上では不自由です。そこで、『外部のネットワークと接続しない 』ことを前提として、自由に使っていいアドレスが決められています。 クラスCの場合、

192.168.0.0 から 192.168.255.255
は自由に使っても構いません。しかし、こんな広いアドレスを自由に 使っていても、間違いやすいだけです。そこで、自分の家では
192.168.1.0 から 192.168.1.255
だけを使うように決めてしまえば、間違いも起こしませんし、実用上十分な 広さです。 ところで、IP アドレスは 0 と 255 に特別な意味を持たせています。 ですから実際にコンピュータに与えることが許されるのは
192.168.1.1 から 192.168.1.254
です。これでも、254 台のコンピュータに割り振れるのですから、十分ですよ ね。

繰り返しますが、上のアドレスは他のネットワークと接続しないことを 前提に使用が許可されています。このような IP アドレスを設定した機 械を、外部のネットワークに接続してはいけません。「外部の」とは、 あなたの家以外をさします。

「では、ダイアルアップも駄目なの?」と思われるかもしれません。 ところが、これはいいのです。いいのですが条件があります。家庭内 LAN から そのままデータが外部に出ていくような設定をしてはいけません。 この文書に書いている範囲の作業の後なら、単にダイアルアップの設定を 行っても問題にはなりません。

会社などの組織でコンピュータをネットワークに接続するには、事前に 管理者に IP アドレスの割り当てを申し込みます。

7.4 ルーター

これを読んでいる人が、趣味でルーターを使用する機会は少ないと思いま す。しかし、会社のネットワークに接続するときには、管理者にルーター の IP アドレスを聞いておく必要があります。

また、すでにお話ししたようにルーターのないネットワークでもルーター のアドレス設定を求められることがあります。その場合、空白にしておく か、自分自身の IP アドレスを指示します。

7.5 サブネットマスク

自宅で LAN を組むときには理解している必要はありません。ただ、設定 は必要ですので、どのような数字をいれるのかは記憶しておいてください。

自宅で LAN を組み、外部と接続しないのなら、255.255.255.0 を設定し ます。自分の家ではいつもこの値を使うと覚えておけば間違いはないでし ょう。また、この値は、先に説明した自由に使っていいアドレス、

192.168.1.1 から 192.168.1.254
に対応するものです。

念を押しますが、会社や、他のネットワークと接続する系では、必ず管理 者の指示を仰いでください。

7.6 DHCP

Windows95 や Macintosh で設定を求められる項目です。使用しな いよう設定します。


次のページ 前のページ 目次へ