5.3. 文章を書く

この時点で、HOWTO の枠組が決まり、未加工の断片的な情報が集められ、 文書化され、アウトラインに組み込まれていると思います。よいニュースです。 これで中間地点を過ぎました。あとは下り坂です。

次にチャレンジするのは、これまで集めた生のままのデータ全部に マッサージを施しながら、読んで、楽しんで、理解できるような完成品に仕上げる ことです。

実際に文章を書き始めることができる地点までたどり着くには、大変な作業が 必要だったと思います。しかし、そのハードワークが報われる時が来ました。この 段階では、あなた独自の方法で無味乾燥な大量の情報を吟味して、イマジネーション と独創性を発揮できます。

効率よく文章を書く方法全般を解説することは、この文書の範疇を越えるので、 基本的なことだけを説明しようと思います。"リファレンス" のセクションで、この文書などより も的確にこれを扱った文献を紹介しています。それらの文献をあたって、アドバイス に従ってください。

まずは、Politics and the English Language から いくつかアドバイスを紹介します。

 

注意深いライターは、文章を一行書くたびに、少なくとも次の 4 つのことを 自問する。

  1. 自分は何を言おうとしているんだろう?

  2. どんな言葉でそれを表現できるだろう?

  3. どういうイメージや言い回しを使うともっとはっきりするだろうか?

  4. このイメージは、新鮮な効果を発揮するだろうか?

おそらくは、次のふたつも自問するだろう。

  1. もっと端的に表現できないだろうか?

  2. 陳腐で余計なことを言っていないだろうか?

...言葉の効果を計りかねるのはよくあることです。それゆえ、直観をあてに できないときに、頼れるルールが必要になる。たいていのケースは次のルール でカバーできると、わたしは思う。

  1. 普段目にすることが多い隠喩や直喩、その他の比喩的表現は使わない こと。

  2. 簡単な単語を使えるときは、難しい単語を使わないこと。

  3. 使わなくてもいい単語は、決して使わないこと。

  4. 能動態が使える場合に、受動態を使わないこと。

  5. 外国語のフレーズ、科学用語、専門用語の類は、日常英語のなかで 該当する語句が思い浮かぶ場合は使わないこと。

  6. 以上のルールをひとつでも破ると、そのとたんに、言葉は野暮なものに なる。

 
--George Orwell 

それから、純粋にスタイルの観点から言うと、多くの HOWTO が使っている 一人称での書き方は、わたしには魅力があるように思えます。この魅力は、そう でない大部分の文書からは得難いものです。自分自身として話すことを恐れずに、 " I " を使い、体験談や自分の意見を書いてください。

これ以上くどいと思うかたがいらっしゃるとは思いますが、これらすべての 提案の基調となっている原則は、シンプルであることです。読者はすでにあたらしく 登場する概念と日々格闘しているのですから、あなたの言葉が理解できずに格闘 するといったことにならないようにしてください。KISS の 原則を忘れないようお願いします: Keep It Simple, Stupid!