6.45. IPRoute2-2.6.31

IPRoute2 パッケージは IPV4 ベースの基本的または応用的ネットワーク制御を行うプログラムを提供します。

概算ビルド時間: 0.2 SBU
必要ディスク容量: 5.7 MB

6.45.1. IPRoute2 のインストール

本パッケージにて提供している arpd プログラムは Berkeley DB に依存しています。 arpd はベースとする Linux システムにとって普通は必要となりません。 そこで Berkeley DB への依存を取り除くために、以下の sed コマンドを実行します。 arpd プログラムを必要とする場合は BLFS ブックの http://www.linuxfromscratch.org/blfs/view/svn/server/databases.html#db に示される Berkeley DB の構築手順に従ってください。

sed -i '/^TARGETS/s@arpd@@g' misc/Makefile

パッケージをコンパイルします。

make DESTDIR=

make オプションの意味:

DESTDIR=

このオプションにより IPRoute2 の実行モジュール類を適切なディレクトリにインストールします。 デフォルトでは DESTDIR/usr ディレクトリに設定されています。

このパッケージにテストスイートはありますが、このテストの前提条件からすると chroot 環境のもとでは信頼のあるテスト結果を得ることには無理があります。 もし LFS システムを構築した後にテストスイートを実施したいなら、カーネル設定において /proc/config.gz CONFIG_IKCONFIG_PROC ("General setup" -> "Enable access to .config through /proc/config.gz") のサポートを有効にしてカーネルをビルドしてください。 そしてサブディレクトリ testsuite/ にて 'make alltests' を実行してください。

パッケージをインストールします。

make DESTDIR= SBINDIR=/sbin MANDIR=/usr/share/man \
     DOCDIR=/usr/share/doc/iproute2-2.6.31 install

6.45.2. IPRoute2 の構成

インストールプログラム: ctstat (lnstat へのリンク), genl, ifcfg, ifstat, ip, lnstat, nstat, routef, routel, rtacct, rtmon, rtpr, rtstat (lnstat へのリンク), ss, tc

概略説明

ctstat

接続ステータスの表示ユーティリティ。

genl

ifcfg

ip コマンドに対するシェルスクリプトラッパー。 http://www.skbuff.net/iputils/ にて提供されている iputils パッケージの arping プログラムと rdisk プログラムを利用します。

ifstat

インターフェースの統計情報を表示します。 インターフェースによって送受信されたパケット量が示されます。

ip

主となる実行モジュールで、複数の機能性を持ちます。

ip link <デバイス名> はデバイスのステータスを参照し、またステータスの変更を行います。

ip addr はアドレスとその属性を参照し、新しいアドレスの追加、古いアドレスの削除を行います。

ip neighbor は、隣接ルーター (neighbor) の割り当てや属性を参照し、隣接ルーターの項目追加や古いものの削除を行います。

ip rule は、ルーティングポリシー (routing policy) を参照し、変更を行います。

ip route は、ルーティングテーブル (routing table) を参照し、ルーティングルール (routing table rule) を変更します。

ip tunnel は、IP トンネル (IP tunnel) やその属性を参照し、変更を行います。

ip maddr は、マルチキャストアドレス (multicast address) やその属性を参照し、変更を行います。

ip mroute は、マルチキャストルーティング (multicast routing) の設定、変更、削除を行います。

ip monitor は、デバイスの状態、アドレス、ルートを継続的に監視します。

lnstat

Linux のネットワーク統計情報を提供します。 これはかつての rtstat プログラムを汎用的に機能充足を図ったプログラムです。

nstat

ネットワーク統計情報を表示します。

routef

ip route のコンポーネント。 これはルーティングテーブルをクリアします。

routel

ip route のコンポーネント。 これはルーティングテーブルの一覧を表示します。

rtacct

/proc/net/rt_acct の内容を表示します。

rtmon

ルート監視ユーティリティー。

rtpr

ip -o コマンドにより出力される内容を読みやすい形に戻します。

rtstat

ルートステータスの表示ユーティリティー。

ss

netstat コマンドと同じ。 アクティブな接続を表示します。

tc

トラフィック制御プログラム (Traffic Controlling Executable)。 これは QOS (Quality Of Service) と COS (Class Of Service) を実装するプログラムです。

tc qdisc は、キューイング規則 (queueing discipline) の設定を行います。

tc class は、キューイング規則スケジューリング (queueing discipline scheduling) に基づくクラスの設定を行います。

tc estimator は、ネットワークフローを見積もります。

tc filter は、QOS/COS パケットのフィルタリング設定を行います。

tc policy は、QOS/COS ポリシーの設定を行います。