6.2. 仮想カーネルファイルシステムの準備

カーネルが取り扱う様々なファイルシステムは、カーネルとの間でやり取りが行われます。 これらのファイルシステムは仮想的なものであり、ディスクを消費するものではありません。 ファイルシステムの内容はメモリ上に保持されます。

ファイルシステムをマウントするディレクトリを以下のようにして生成します。

mkdir -v $LFS/{dev,proc,sys}

6.2.1. 初期デバイスノードの生成

カーネルがシステムを起動する際には、いくつかのデバイスノードの存在が必要です。 特に consolenull です。 デバイスノードはハードディスク上に生成されます。 そして udevd が起動し、また Linux が起動パラメータ init=/bin/bash によって起動されれば利用可能となります。 以下のコマンドによりデバイスノードを生成します。

mknod -m 600 $LFS/dev/console c 5 1
mknod -m 666 $LFS/dev/null c 1 3

6.2.2. /dev のマウントと有効化

各デバイスを /dev に設定する方法としては、/dev ディレクトリに対して tmpfs のような仮想ファイルシステムをマウントすることが推奨されます。 こうすることで各デバイスが検出されアクセスされる際に、その仮想ファイルシステム上にて動的にデバイスを生成する形を取ることができます。 このような処理は一般的にはシステム起動時に Udev によって行われます。 今構築中のシステムにはまだ Udev を導入していませんし、再起動も行っていませんので /dev のマウントと有効化は手動で行ないます。 これはホストシステムの /dev ディレクトリに対して、バインドマウントを行うことで実現します。 バインドマウント (bind mount) は特殊なマウント方法の一つで、ディレクトリのミラーを生成したり、他のディレクトリへのマウントポイントを生成したりします。 以下のコマンドにより実現します。

mount -v --bind /dev $LFS/dev

6.2.3. 仮想カーネルファイルシステムのマウント

残りの仮想カーネルファイルシステムを以下のようにしてマウントします。

mount -vt devpts devpts $LFS/dev/pts
mount -vt tmpfs shm $LFS/dev/shm
mount -vt proc proc $LFS/proc
mount -vt sysfs sysfs $LFS/sys