6.59.1. Vim のインストール
        
        
          まず2つのアーカイブ vim-7.2.tar.bz2、
          vim-7.2-lang.tar.gz を同一ディレクトリに解凍します。
          (2つめのアーカイブを用いるのは任意です。)
        
        
          Vim-7.2 の初期版リリース以降に開発者によって発見された種々の問題を解消するために、以下のパッチを適用します。
        
        
patch -Np1 -i ../vim-7.2-fixes-5.patch
        
          設定ファイル vimrc がインストールされるデフォルトディレクトリを
          /etc に変更します。
        
        
echo '#define SYS_VIMRC_FILE "/etc/vimrc"' >> src/feature.h
        
          Vim をコンパイルするための準備をします。
        
        
./configure --prefix=/usr --enable-multibyte
        
          
            configure オプションの意味:
          
          
            - 
              --enable-multibyte
- 
              
                このオプションは、マルチバイトエンコーディングによるファイルの編集をサポートする指示を行います。
                マルチバイト文字を用いるロケールにとってはこれが必要です。 例えば Fedora Core のようにデフォルトで
                UTF-8 を採用している Linux
                ディストリビューションにおいては、新規に生成するテキストファイルを編集できるようにするために、このオプションを指定することが有用です。
               
 
        
          パッケージをコンパイルします。
        
        
make
        
          コンパイル結果をテストするには以下を実行します。
        
        
make test
        
          このテストスイートは数多くのバイナリデータを端末画面上に出力します。 これは端末画面の設定によっては問題を引き起こします。
          これを避けるには出力をリダイレクトしてログファイルに出力するようにしてください。
        
        
          パッケージをインストールします。
        
        
make install
        
          たいていのユーザーは vim ではなく
          vi を使うようです。
          vi を入力しても
          vim
          が実行されるように、実行モジュールに対するシンボリックリンクを作成します。 さらに指定された言語による man
          ページへのシンボリックリンクも作成します。
        
        
ln -sv vim /usr/bin/vi
for L in  /usr/share/man/{,*/}man1/vim.1; do
    ln -sv vim.1 $(dirname $L)/vi.1
done
        
          デフォルトでは Vim のドキュメントが /usr/share/vim
          にインストールされます。 以下のようなシンボリックリンクを生成することで /usr/share/doc/vim-7.2
          へアクセスしてもドキュメントが参照できるようにし、他のパッケージが配置するドキュメントの場所と整合を取ります。
        
        
ln -sv ../vim/vim72/doc /usr/share/doc/vim-7.2
        
          LFS システムに対して X ウィンドウシステムをインストールする場合 X のインストールの後で Vim
          を再コンパイルする必要があります。 Vim には GUI 版があり X や他のライブラリがインストールされていて
          初めて構築できるためです。 この作業の詳細については Vim のドキュメントと BLFS ブックの 
          http://www.linuxfromscratch.org/blfs/view/svn/postlfs/editors.html#postlfs-editors-vim
          に示されている Vim のインストール説明のページを参照してください。
        
       
      
        
          6.59.2. Vim の設定
        
        
          デフォルトで vim は Vi
          非互換モード (vi-incompatible mode) で起動します。
          他のエディタを使ってきたユーザーにとっては、よく分からないものかもしれません。 以下の設定における 「nocompatible」 (非互換) は、Vi の新しい機能を利用することを意味しています。 もし
          「compatible」 (互換)
          モードに変更したい場合は、この設定ファイルの冒頭にて行っておくことが必要です。
          このモード設定は他の設定を置き換えるものとなることから、まず初めに行っておかなければならないものだからです。 以下のコマンドを実行して
          vim の設定ファイルを生成します。
        
        
cat > /etc/vimrc << "EOF"
" Begin /etc/vimrc
set nocompatible
set backspace=2
syntax on
if (&term == "iterm") || (&term == "putty")
  set background=dark
endif
" End /etc/vimrc
EOF
        
          set nocompatible と設定しておくと
          vi 互換モードでの動作に比べて有用な動作となります。 (これがデフォルトになっています。) その設定の記述から
          「no」 の文字を取り除けば、旧来の vi コマンドの動作となります。 set backspace=2
          を設定しておくと、行を超えてもバックスペースキーによる編集が可能となります。
          またインデントが自動的に行われ、コマンド起動時には自動的に挿入モードとなります。 syntax on パラメータを指定すれば vim の文法ハイライト
          (syntax highlighting) 機能が有効になります。 最後にある if 文は、set
          background=dark を指定した場合に、特定の端末エミュレータ上において vim が背景色を誤って認識しないようにするためのものです。
          エミュレータの背景色が黒色であった場合に、より適切なハイライトが実現できます。
        
        
          この他に利用できるオプションについては、以下のコマンドを実行することで出力される説明を参照してください。
        
        
vim -c ':options'
        
          ![[注記]](../images/note.png) 
          
            注記
          
          
            Vim がインストールするスペルファイル (spell files) はデフォルトでは英語に対するものだけです。
            必要とする言語のスペルファイルをインストールするなら ftp://ftp.vim.org/pub/vim/runtime/spell/
            から、特定の言語、エンコーディングによる *.spl
            ファイル、またオプションとして *.sug
            ファイルをダウンロードしてください。 そしてそれらのファイルを /usr/share/vim/vim72/spell/ ディレクトリに保存してください。
          
          
            スペルファイルを利用するには /etc/vimrc
            ファイルにて、例えば以下のような設定が必要になります。
          
          
set spelllang=en,ru
set spell
          
            詳しくは、上で説明した URL にて提供されている README ファイルを参照してください。