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20. 付録 B: ``ボー'' と ``bps''

20.1 簡単な例

恐らく、コンピュータおよび電気通信の分野で、``ボー'' と ``bps'' は 最も誤用が多い単語のひとつです。多くの人がこの 2 つの単語は同じ意味だ と考えて使います。しかし、実際にはそうではありません! 単に、bps は 1 秒間に転送するビット数です。ボーレートは 1 秒間に何回信号が変化するか を表す尺度です。典型的なシリアルポートでは、1 のビットは -12 ボルトで、 0 のビットは +12 ボルトになります。38,400bps なら 010101... の連鎖は、 電圧が毎秒 38,400 回正負の間を往復するので、38,400 ボーになります。ま た、111000111... の連鎖では、連鎖中に 3 つの 1 があるので電圧は -12 ボ ルトに留まったままになるので、電圧変化はより少なくなるでしょう。この場 合でも、1 秒間に 38,400 回の電圧変化が可能なので、やはり 38,400 ボーに なります。

別の方法で考えてみましょう。(電圧が変化していないと思っても) 各ビット を区切る架空の記号を置いてみてください。38,400 ボーは 1 秒間に 38,400 個の記号が置けることを意味します。変化できる瞬間に存在するこの記号は、 実際にハードウェアの生成する同期信号が印を付けます。この同期信号は外部 に取り付けたケーブルには出ていきません。

前の例で挙げた(±12 ボルト) 2 種類の「変化」より、電圧が多くの種類に変 化できる場合を考えてみてください。判別可能な 4 種類の電圧に変化できる と仮定しましょう。各々の電圧は (01 のような) 2 ビットを表現できます。 例えば、- 12v は 00、-6v は 01、+6v は 10、そして +12v が 11 を表しま す。この例では、ビットレートがボーレートの 2 倍になります。毎秒 3000 回の変化がそれぞれ 2 ビットを生成すると、6000 bps になります。言い換え ると、3000 ボーが 6000 bps になります。

20.2 実際の例

上に挙げた例は非常に簡単です。実際にはもっと複雑ですが、同じ考え方 に基づいています。2400 ボーで動作しているモデムが、どのようにして 14400 bps (あるいはそれ以上の)速度を出せるのか、ここで説明します。モデ ムは 1 回の変調(変化)で多くのビットを符号化することにより、ボーレート より高いビットレートを出せます。従って、1 回の変調で 2 ビットあるいは それ以上のビットを符号化すると、ビットレートはボーレートの値を越えます。 モデム間の接続速度が 14400 bps だったなら、2400 ボーで一回の変調につき 6 ビットを送っています。28800 bps では、9 bit/ボー で 3200 ボーで動作 しています。ボーという単語を誤用する人は、(33.6K といった)モデム速度の 意味で使っているかもしれません。

以前はモデムのビットレートは 50, 75, 110, 300, 1200, 2400, そして 9600 bps でした。シリアルポートとモデム間のビットレートも同様でした。現在、 モデム間のビットレートは 14.4k, 28.8k, 33.6k, そして 56k です。しかし、 シリアルポートとモデム間のビットレートは等しくはなく、19.2k, 38.4k, 57.6k, 115.2k になります。(最高 1/4 の圧縮を行う) V.42bis データ圧縮で モデムを使用すると、33.6k モデムでも 115.2kbps に達するビットレートが 可能になります(56k モデムでは 230.4kbps が可能になります)。

56k モデムを除き、多くのモデムは 2400, 3000 あるいは 3200 ボーで動作し ます。音声品質の電話回線では帯域に限界があるため、2400 ボー以上のボー レートを出すのは難しく、回線品質が良いときだけ使用します。

ビットレートとボーレートの混同はどのようにして始まったのでしょうか? さて、旧式の低速モデムが高速モデムと呼ばれていた頃に戻ってみましょう。 ビットレートとボーレートは実際に等しかったのです。1 ビットはひとつの位 相変化で符号化していました。ビットレートもボーレートも同じ値だったので、 みんな bps とボーを区別なく使っていました。例えば、300 bps のモデムは 300 ボーでした。高速モデムが世に出たとき、大きな変化がありました。ビッ トレートがボーレートを上回ったのです。``ボー'' は非同期電報プリンタを 発明した Emile Baudot さんにちなんで名付けられました。この問題を解決す るひとつの方法は、「ボー」ではなく「シンボルレート(変調速度)」を使うこ と、そして「ボー」という単語の使用を避けることです。


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