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20. 補遺

この章は未分類の情報を集めたものです。 それぞれの情報はそれなりに面白いと思います。 一時的な領域だと思ってください。

20.1 スワップパーティション: 使うべきか使わざるべきか?

スワップパーティションを必要としない場合も少なくありません。 例えば RAM が充分にあり (64 MB くらいでしょうか)、 またユーザが一人しかいないような場合です。 このような場合は実験的にスワップパーティション無しでシステムを運用し、 仮想メモリを使い切っていないかをシステムのログで確認してみても良いでしょう。

スワップパーティションを使わない選択には以下のような利点があります。

簡単に言えば、スワップパーティションは便座の暖房機能みたいなものです。 そんなに頻繁に使うものではないですが、 必要な時にはその存在は非常にありがたいものです。

20.2 マウントポイントと /mnt

この文書の以前の版では、各種のマウントポイントを /mnt 以下のサブディレクトリにしていました。 しかしこれは良い考えではありませんでした。 なぜなら /mnt 自身がマウントポイントとして使われると、 それ以下のディレクトリがアクセス不可能になってしまうからです。 この版からは、代わりにマウントポイントをルートファイルシステム直下に /mnt.descriptive-name と言うかたちで記述するようにしました。

最近気づいたのですが、 Linux の配布パッケージによってはマウントポイントを /mnt 以下のサブディレクトリ (/mnt/floppy とか /mnt/cdrom など!) にしているものもあるようです。 状況の混乱を示す一例といえます。 FHS によって解決するとよいのですが。

20.3 電力と発熱

現代の PC と同じような性能の計算機が三相電源と専用の冷却 (大抵は空冷とマシンルームの空調でしたが、水冷のものもありました) を必要としていた時代はそんなに古いことではありません。 技術の急速な進歩は、高速化だけでなく部品の低電力化をももたらしました。 しかしそれでも限界というものはあります。 ディスクや PCI カードを追加することによってシステムが大きくなるごとに、 電力のことを考えておく必要があります。 電源が供給する電力は、そのほとんどが熱になります。 もしこの熱がファンによって逃げなければ、ケース内部は相当な温度になり、 電子パーツの性能や寿命の低下の原因になります。 メーカーは冷却に関する推奨値を挙げているはずで、 通常は立方フィート毎分 (CFM) 単位の数値です。 この数値は真面目に考えておく方が良いと思います。

空気の通り道を確保し、ほこりを払って、 システムが動作中の温度を測ってみましょう。 触れないくらい熱くなっていたら、それは少々問題です。

可能ならドライブにシーケンシャルスピンアップを用いるようにしましょう。 ドライブは円板の回転加速に最大の電力を必要とするので、 すべてのドライブを同時にスタートさせると 電源の電力許容値を越えてしまう可能性があります。

20.4 Deja

これはインターネットのサイトで、 おそらく読者の多くがすでに利用していることでしょう。 ここでは 1995 年から最新のポストに至るまでの Usenet ニュースの記事を検索・閲覧できます。 また WWW を通してニュースの購読やポストを行うこともできます。 他にも色々な機能があります。 Deja に行ってみてください。 Dejanews から名前が変わりました。

こちらはあまり知られていないでしょうが、 このサイトは Linux で動作している、 およそ 120 台の SMP コンピュータで運用されています。 それぞれは md モジュールを用いて 4〜24 GB のディスクを利用しています (全体で 1200 GB 以上)。システムは大きくなり続けていますが、 本文書の執筆現在では、 それぞれが dual Pentium Pro 200 MHz または Peintium II 300 MHz のシステムで、 256 MB 以上の RAM を積んでいます。

データベースを生成するマシンは一台のディスクを OS 用に利用し、 4〜6 台のディスクを md モジュールで管理して、 記事のアーカイブに当てています。ドライブは BusLogic の BT-946C PCI SCSI アダプタに接続されています (だいたい一台につき二枚)。

生成システム (年 365 日可動します) での、ディスクエラーによる ダウンタイムは 0.25 % 以下だそうです (25% じゃないですよ!)。

これは事例紹介であって、宣伝しているわけではありません。 メジャーなインターネットサービスにどの程度のハードウェアが必要になるのか、 例として挙げているだけです。

20.5 クラッシュリカバリ

たまにはハードディスクもクラッシュします。 クラッシュによって乱されたデータでも、 少なくとも部分的には復旧できることが多く、 その手法を解説した HOWTO も既に存在しています。

ハードウェアの障害の場合には、事情はかなり深刻になります。 この場合には 2 つの選択肢があります。 そのドライブをデータ回復の専門業者に送るか、 自分でやってみるか、です。 もちろん後者は リスクの高い 方法であり、 より被害が大きくなることもありえます。

ディスクが回転を止めてしまい、再度回らなくなったときは、 まず最初のアドバイスは「システムを可能な限り安全に停止せよ」です。

次にドライブの接続を外し、マシンの電源を入れ、 テスターで電源が正しいかどうかチェックしてみましょう。 コネクタが接続不良になることは極めて多く、 これはあらゆる障害の原因になりえます。

自分で行うリスクを覚悟した場合は、 コネクタを全部チェックしたら、もう一度電源を入れ、 ドライブがスピンアップするか、反応するか見てみましょう。 それでも死んでいる場合は速やかに、 できれば OS がブートする前に電源を切りましょう。 ここでは時間差スピンアップによって騙されないよう注意すること。

さらに先に進むことに (そしてより高いリスクを背負うことに) 決めたなら、 ドライブを外し、側面を少々強めに叩いて、 ディスクをケースに対して少し動かしてみてください。 ヘッドが表面から離れないのが原因の場合 (モーターの力だけではヘッドを離すのに足りなかったわけで)、 この衝撃によってプラッタが再び自由に動けるようになる可能性もあります。

また、ドライブを長期間使いつづけた後 (あるいは加熱されすぎた後) しばらくオフにしておくと、 潤滑剤がベアリングから流れ去って固まってしまうことがあります。 この場合はドライブをゆっくり優しく通常の動作温度にまで温めてあげると、 潤滑の問題は修復できることがあります。

ここまで来てもドライブが反応しない場合、 最後の、そして最もリスクの高い提案は、 ドライブの回路基板を、同じモデルのドライブと交換してみることです。

ドライブの内容はメディアよりもはるかに高価であることが多いですから、 専門業者の助けを借りることを是非考慮してください。 これらの会社にはより高度な機器や、 ダメージを受けたドライブの復旧に関して製造業者から得たノウハウが、 アマチュアに比べてはるかに揃っています。


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