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10. Ghostscript.

Ghostscript は Linux で印刷を行うのにとても重要なプログラムです。 Unix 環境での印刷用ソフトウェアのほとんどは PostScript を作成します。 プリンタにPostScript をサポートする機能をつけると通常 100 ドルほどのオ プションになります。しかしながら Ghostscript は無料で PostScript から お使いのプリンタの言語を作り出します。お使いの lpd 入力フィルタと連 動し、仮想の PostScript プリンタとなり、印刷をとても簡単にします。

Ghostscript は 2 つの形態で入手できます。 Aladdin Ghostscript と言わ れるものは Ghostscript の商用版で、個人使用に関しては自由に使うことが できますが、商用の Linux ディストリビューションでの配布はできません。 Aladdin Ghostscript はフリーの Ghostscript の1年ほど先を進んでいます。 たとえば本ドキュメント時点での最新版は、旧版の Ghostscript ではサポー トしていない多くのカラーインクジェットドライバをサポートしています。

Ghostscript のフリー版は GNU Ghostscript で、単にGNU に寄贈された Aladdin Ghostscript の旧版です(このような配慮について Aladdin への称賛 - ソフトウェアベンダが完全にオープンな GPL ディストリビューションを扱 うことができないなら、 ソフトウェアベンダはこのような方法でどんどんフ リーソフトウェアをサポートするとよいでしょう)。

gs で何かをするときはいつでもファイルアクセスを無効(-dSAFER)にする オプションを使うべきです。PostScript は充分に機能的な言語ですが、よく ない PostScript プログラムは頭痛の種になります。

Adobe の Portable Document Format(PDF) は、実際には圧縮ファイルにま とめられた PostScript よりちょっとはましなものです。Ghostscript は PostScript を扱うのとほとんど同様に PDF を扱うことができます。そういう わけで Ghostscript を使えば、あなたは街で最初に PDF を印刷できるプリン タを持つことができるわけです。

10.1 Ghostscript を起動する

一般的に Ghostscript はあなたが設定したどんなマジックフィルタを使っ ても起動しますが(もしお使いのベンダがあなたが都合がよいものを提供し ていないなら、 aps フィルタを使うことをお勧めします)、デバッグのため に、しばしばそれを直接動かすようにするのが便利です。

gs -help というコマンドはオプションと利用できるドライバ(このリストはコ ンパイル時に組み込まれたリストで、利用できるすべてのドライバリストでは ありません)について簡単なヘルプリストを示します。 テストするつもりで gs を動かしてみましょう。

  gs options -q -dSAFER -sOutputFile=</dev</lp1 test.ps.

10.2 Ghostscript の出力を調整する

gs の出力が満足できないものなら、やってみることはたくさんあります (実際ソースを持っているなら、修正できそうなことは何でもできます)。

出力の位置とサイズ

位置やサイズ、そしてページ上の画像の縦横の比率は Ghostscript のプリ ンタ固有のドライバで制御できます。目的のページが縦横の比率によっては短 すぎたり、長すぎたり、また大きすぎるような状態で表示されるなら、ドライ バのソースモジュールを見てパラメータを調整したほうがよいでしょう。残念 ながらドライバはそれぞれさまざまですから、私は何が適当かは言えませんが、 当然ながらほとんどのものはちゃんと説明されています。

ガンマ、ドットサイズ、その他

ほとんどの非レーザープリンタのドットは、レーザープリンタのものよりも大 きいです。このため画像はより黒っぽく出力されることになります。このよう な問題を経験しているなら、転写機能を使うほうがよいでしょう。 Ghostscript の lib ディレクトリに次のようなファイル(gamma.ps)を作り、 gs を起動するとき実際のファイルの前にそのファイル名を加えてやります。 より低い値を使えばより明るく印刷されます。とりわけ、お使いのドライバが 色をラスタライズ(色情報を分解すること)するのに Floyd-Steinberg のアル ゴリズムを使用しているなら、より低い値( 0.2 - 0.15 )にするといいかもし れません。

       ---8<---- gamma.ps ----8<---
       %!
       %transfer functions for cyan magenta yellow black
       {0.3 exp} {0.3 exp} {0.3 exp} {0.3 exp} setcolortransfer
       ---8<------------------8<---
 

これらの値を変更すれば、色について欠陥を持っているプリンタを改良す ることもまた可能です。このようなことをするなら、テストページの印刷に colorcir.ps ファイルを使うことをお勧めします。このファイルは、 Ghostscript と一緒に起動します( colorcir.ps ファイルは、 Ghostscript の あるディレクトリ以下の ./examples というサブディレクトリにあります)。

多くのより新しいカラーインクジェットドライバには、コマンドラインオプ ションあるいは upp ドライバファイルがあります。それらはガンマとその他 違った紙のタイプにプリンタをあわせるための変更を行います。修正をしたこ とをちゃんと反映させるために PostScript を行なう前にこのファイルを見て みるとよいでしょう。

(訳注:upp ファイルは Ghostscript があるディレクトリ以下の ./examples というサブディレクトリにあります)


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