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4. なぜ端末を使うのでしょう?

4.1 イントロ

一台の PC で一度に数人の利用をサポートできるくらい最近の PC はとても強 力で、文書編集やデータ入力などの負荷の低い仕事ならなおさらそうです。こ れを行なう一つの方法は、一台の PC (または、他のホストコンピュータ) に モデムやケーブル直結で複数の端末を接続することです。こうするには、端末 で各ユーザが独自にコンピュータを利用できるように Linux のようなマルチ ユーザオペレーティングシステムを使うことがベストです。これを ``タイム シェアリング'' と呼びますが、今日では不適当な用語です。ネットワークに おける ``分散'' コンピューティングもタイムシェアリングの一種ですから。 ``集中型'' コンピューティングと呼ぶほうがいいのかも知れません。しかし 中央コンピュータは、端末のユーザが email を送ったり、``lynx'' ブラウザ でインターネットを閲覧する等により、ネットワークを介して世界の他のコン ピュータと接続するので、正確には "集中型" でもありません。

端末が PC でまれにしか使われなかったのは、PC に使われるポピュラーなオ ペレーティングシステム (Windows, DOS や Mac) が 1998 年までマルチユー ザではなかったので (MS Windows NT は可能)、以前はあまりうまく端末をサ ポートできなかったためです。今日、マルチオペレーティングシステムである Linux が PC で利用できるようになったので、PC と共に端末を使うことはよ り実現可能となりました。欠点は、テキスト端末が多くのユーザが期待するグ ラフィカルユーザインターフェイス (GUI) の類をサポートするほどには洗練 されていないことです。

4.2 低価格のハードウェア ?

コンピュータ (PC を含む) がかなり高価だった頃、ハードウェアが安かった ことが端末を使う上での重要な利点でした。PC が安くなった今日では節約効 果があるかどうか疑問です。これは PC がまだ高価だった頃に書いたものです。 今日でもまだ事実ですが重要性は低くなりました。

何人かの人が同じ時間に同じコンピュータを使うなら、同レベルのサービスを 得るために必要なハードウェアの量は減少します。節約の一つはコードを共有 することです。ハードディスク上のアプリケーションファイルが共有ライブラ リ (異なるプログラムを走らせても、コード中の同じファンクションを使う) と同様にメモリで共有されますから。別な節約の例はピーク時の負荷を減らす ことです。情報をゆっくりタイプしたり、考えたり、しゃべったり、席を立っ たりしている間、シングル PC のハードウェアはほとんどアイドル状態です。 同時に同じコンピュータを数人で使うことは、浪費されるアイドル時間をうま く利用できることになります。

これらの節約は実質的なものです。(統計理論を使って) 手粗く見積れば、9 人 (8 台の端末と 1 台のコンソール) で共有した PC は、各人に同レベルの サービスを与えるシングル PC と比べると 3 倍の容量 (メモリ、ディスク容 量、CPU パワー等) が必要です。したがって、このように共有されたシステム において、コンピュータのハードウェアにはユーザ一人当り 3 分の 1 の費用 で済みます。しかしながら、表示装置の費用 (CRT、キーボード、ビデオ装置 等)は、両者共ほぼ同額です。端末にはホストコンピュータとの接続のために シリアルポートの追加が必要なので、その分の費用を加えなくてはならないか らです。

PC と公平に比較するために、端末には PC モニタと同じ能力があるべきです。 残念ながら、Linux (X-Windows) 用の高速通信カラーグラフィック端末は 高価格なニッチ市場となっていますので、この場合、ハードウェア価格の節約 にはなりそうもありません。しかし、テキスト端末でしたら少しは節約になり ますし、端末を低価格で入手したならなおさらそうでしょう。

4.3 ソフトウェアの管理

集中型コンピューティングにおいて、ソフトウェア (と、ソフトウェアのアッ プデート) のインストールと設定は各所で行なう代りに、1 台のホストコンピ ュータで行なうだけで済みます。このコンピュータの担当者が、インストール してあるソフトウェアを管理や設定をするとします。仕事ができ、ユーザのニ ーズと好みを知っているホストコンピュータを管理する担当者にとっては、集 中型は都合のよいものでしょう。ソフトウェアをインストールしないことによ り (または、アクセス制限をかけることで)、ユーザがゲームをしたり、ネッ トサーフィンをすることを禁止できるからです。集中型であろうとなかろうと、 状況に応じて対応することが望まれますが。

4.4 ハードウェアアップグレード

端末で、コンピュータハードウェアのアップグレードは全部ではなく 1 台の コンピュータでのみ行なわれます。これはインストール作業の労力を節約しま す。ホストコンピュータのアップグレードに要するハードウェア費用は 1 台 の PC のそれより割高になりますが (ホストは PC よりコンピュータパワーを 必要とするため)、端末の代わりに PC を使った場合ほどは高くはならないで しょう。

4.5 端末のその他の利点

4.6 端末の主な難点

4.7 テキスト端末は時代遅れでしょうか ?

テキスト端末は技術的に時代遅れです。(テキスト端末と同じ表示品質を持つ) ちょっとだけ高価なスマート (smart) 端末が作られるようになったからです。 1980 年あたりでは、メモリが 1 メガバイト当り何千ドルもかかったので、 そうも言えませんでしたが、今日では低価格のメモリとプロセッサのために、 ハードウェア価格がほんの 10% か 20% アップするだけでテキスト端末を洗練 されたものにできます。

テキスト端末がまだ時代遅れでない理由を挙げます。


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