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2. 仮想サービスとサーバー

ホスト名が仮想インターフェースに対応する場合は、一般的にそのホストを “仮想ホスト”と呼びます。 仮想ホスト(または仮想インターフェース)でサービスを動かしている デーモンを“仮想サーバー”と呼びます。

2.1 仮想 WWW サーバー

既に3つの仮想 WWW サーバーの例を前記で紹介しました:

www.sharpers.com, www.usurers.com, www.swindlers.com

著者の知る限り、すべてのメジャーな http デーモン(例:うまく設計され ている "Roxen Challenger" や広く使われている "Apache")の仮想ホストの 設定方法は非常に容易でドキュメント類も既に整備されています。 簡単に言えば、 単に www ポート(ポート番号 80)を WWW サーバーを動かし たい IP アドレス/ホスト名に割当てた仮想ネットワーク・インターフェースに バインドするだけです。なにもトリックはありません。

これに関する詳細は Linux "Virtual Web mini-HOWTO" を参照して下さい。

2.2 仮想メールアドレス

最も単純なケースとして以下のような仮想ホストと所属しているドメイン宛て のすべてのメールを受けとる場合:

www.sharpers.com, www.usurers.com, www.swindlers.com,
    sharpers.com,     usurers.com,     swindlers.com

"smail" や "sendmail"(Linux マシンでメール処理を行っているデーモン)の 設定は比較的簡単なもので、追加ホスト名/ドメインを以下のファイルに書く だけです:

         "/etc/smail/config" ('hostnames=' と 'domains=' エントリ) 
あるいは
         "/etc/mail/sendmail.cw" (別々の行にそれぞれのホスト名)

smail に「本当の」仮想ドメインを実装する場合は、下記にある smail-FAQ を ご覧ください。

http://www.sbay.org/smail-faq.html

2.3 仮想 ftp サーバー

仮想 ftp サーバーというコンセプトは、著者の知る限り、どの ftp デーモン でもサポートされていません。

広く使われている "wu-ftpd" では Brian Grossman <brian@SoftHome.Net> が作成した anonymous FTP サービス を仮想インターフェースごとに区別する ためのパッチがあります。入手方法とパッチ方法は3章で紹介します。

これ以外に同様のパッチは見当たりません。

Brian のマルチホーム・パッチの基本的な考え方は wu-ftpd の " chroot()" を単に

HOME_DIRECTORY_OF_ftp-ACCOUNT/HOSTNAME_THE_USER_TALKS_TO/

としないで、

HOME_DIRECTORY_OF_ftp-ACCOUNT/

とするものです。

以下の例では anonymous ftp 経由で "ftp.swindlers.com" に接続している ユーザーは "/home/ano-ftp/" でなく "/home/ano-ftp/ftp.swindlers.com/" に接続されます。 基本的な設定は単純で、通常の一つだけの anoymous ftp-account の設定と 大きく違わないことが分かるでしょう。

この簡単で効率的な設定方法を考えた Brian に賞賛を!

このパッチを当てたスペシャル版の wu-ftpd を既に自分でコンパイルしている かバイナリを入手していることを確認したうえで、取り敢えず他の疑問点は すべてこのドキュメントの最後までおいておきましょう。

まず現実的な例を示したうえで、著者があるお客様のためにどのようにしたか 紹介します(ただマシン名を架空のものにしただけです)。


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