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6. 設定

ここでは、安価で広く普及しているワイヤレスカードの設定方法を、 いくつかの例(この例が役立てばいいのですが!)を挙げて説明します。

6.1 一般的な設定情報

ワイヤレスカードは、一般的なイーサカードと似たインターフェースを持っています。 ですから、/etc/conf.modules に加える事が必要です。 以下に例を示します -

  1. "alias ethx module" ここの ethx は、 あなたが自分のワイヤレスカードに割り振りたいインターフェースを指しています。 module は、カーネルモジュールの名前です。
  2. "options module io=0xAAA irq=I ..." ここの 0xAAA は、ワイヤレスカードの I/O アドレスを示しており、 I はIRQ を示しています。もし他のパラメータがあるのなら、後に続けます。

以上が完了すると、ifconfig や route コマンドを使って IP レベルでの カード設定を行う事ができるようになります。

6.2 Proxim Symphony

ネットワークの形式 : FHSS ___ アドホック・モードのみに対応し、 独自に開発した OpenAir プロトコル を使います。

ウェブサイト : http://www.proxim.com ___ このサイトで Linux、Windows9x 用のドライバと、ドキュメントをダウンロードする必要があります。

ドライバには、コンパイルするためにソースコードが附属しています。

  1. 空きディレクトリで解凍します
  2. ヘルプを見るため、make と入力してみましょう
  3. ドライバ rlmod.o と、そのユーティリティ rl2cfg をインストールするため、 make modules; make modules_install を実行します。
  4. ドライバを動かすために( /etc/conf.modules を編集した後 - 6.1 章参照) ifconfig コマンドを使って、インターフェースを有効にしましょう

ユーティリティ rl2cfg を使うと、代表的なデータリンク層の設定値を変更できます。 (ステップ 3 を実施してしまったら、man rl2cfg でヘルプを見る事ができます)

  1. "rl2cfg dev ethx sta" ethx のワイヤレスカードを、スレーブ局(Slave)として設定します
  2. "rl2cfg dev ethx msta" ethx のワイヤレスカードを、マスター局(Master)として設定します
  3. "rl2cfg dev ethx alt" ethx のワイヤレスカードを、自動モード(automatic mode)に設定します

以上が、確実な動作をさせるために知っておかなければならない全てです。

6.3 Webgear Aviator 2.4 と AviatorPro

ネットワークの形式 : FHSS ___ Aviator 2.4 はアドホック・モードのみに対応し、 AviatorPro はインフラストラクチャ・モードに対応します。

これらのカードを動かすには、もう少し作業が必要です。 というのは、これらのカードのソースは PCMCIA のプラグに付属しているので、 コンパイルを行わなければならないのです。

ウェブサイト : http://www.webgear.com

インストール・設定方法

  1. PCMCIA のソースをダウンロードし、/usr/src/pcmcia に展開します。 ( 5.2 章参照)
  2. ドライバを、 http://www.webgear.comからダウンロードし、 /usr/src/pcmcia のディレクトリで、"tar zxvf driver.tgz" と入力して展開します。
  3. PCMCIA の再設定( 5.2 章参照)
  4. ファイル /etc/pcmcia/config.opts に対して、"source ./ray_cs.opts" の行を追加する必要があります。
  5. 注意点 - /etc/pcmcia/ray_cs.opts のファイル中に、次の行があります。 "module "ray_cs " opts "..." ここの opts 行に対して、データリンク層の設定を施す必要があります。

設定項目

最後に、設定項目を確認するため pc_debug > 0 を実行します。 こうすると、コンソールにデータリンク時のメッセージが表示されます。 こんな感じです -
"network started" : 新しいワイヤレスネットワークが構築された時
"network joined" : 新しいワイヤレスネットワークが、他のネットワークに繋がった時

ファイル /proc/ray_cs も役立ちます。 このファイルには、あなたが接続しているサブネット上の BSSID 情報が書かれています。 もしこのファイルが空ならば、他のカードからデータを受信できません。

6.4 Lucent Wavelan I, II, Orinoco 製品と Cabletron

ネットワークの形式 : DSSS ___ アドホック・モードとインフラストラクチャ・モードに対応

Lucent 社の製品は、業務用途向けに作られています。

ウェブサイト : http://www.lucent.comhttp://www.orinoco.net

設定は WebGear に似ています。ステップ 1 2 3 は同じです。

ファイル /etc/pcmcia/config.opts に対して追加する必要があります。 "wavelan_cs" opts " ..." は Lucent Wavelan I 用モジュールで、 "wavelan2_cs"opts " ..." は Lucent Wavelan II 又は Orinoco 用のモジュールです。

opts 以下で明示する項目

  1. port_type=x, ここの x は、アドホック・モード(3)またはインフラストラクチャ・モード(1)を示します。
  2. channel=x, x=channel, このオプションは、アドホック・モードのみに関係します。
  3. transmit_rate=x, 通信速度の確定 - この設定をするときには、Cabletron カードとの互換性に注意してください。

注意 - 理想的には、一つの Linux Box で二枚の Lucent Wavelanx カードを使う事は可能です。つまり、 一方をアドホック・モードにして、もう一方をインフラストラクチャ・モードにするような事です。 しかしこのようにすると、どちらか一方のみしか正しく動作しません。 というのは、PCMCIA のサービスが開始される時、二つのカード両方に対し、同じ opts 値 (アドホック・モードの値か、インフラストラクチャ・モードの値のどちらか)がセットされるからです。 そこで我々は、データリンク層のパラメータ、例えばアクセス・モードやアドホック・モー ドで使われるチャンネルなどを、任意に変更可能な Linux モジュール (またはユーザーモードプログラムみたいなもの) を作らなければならないのです!

多くの場合、チャネルパラメータは、近くにある他のワイヤレス送受信との 混信を避けるために使われます。

Lucent 用のドライバは、Cabletron 社のカード http://www.cabletron.comにも使用 可能です。

(訳注 - 山口さんによるレポート : Lucent のサイトは2回の企業吸収により、現在 の Wavelan または Orinoco 関連は http://www.proxim.com/に移っているようです。 また Linux のドライバは、 http://www.hpl.hp.com/personal/Jean_Tourrilhes/Linux/Orinoco.htmlにある orinoco.cs の方が Lucent の wavelan2 よりもずっと良いと思います。)

6.5 YDI

ネットワークの形式 : DSSS ___ アドホック・モードとインフラストラクチャ・モードに対応

YDI 社は、業務用のワイヤレスカード、アンテナ、増幅器などを扱っています。

ウェブサイト : http://www.ydi.com

インストール方法

  1. 空いたディレクトリで展開します
  2. make を実行し、コンパイルします
  3. make install を実行し、ドライバ am930_isa と wlanctl ユーティリティをインストールします

一旦インストールが済んでしまえば、 データリンク層設定用ユーティリティ "wlanctl" を使って手動コマンドで設定するか、 シェルスクリプト "scripts/wlan" 又は "scripts/rc.wlan" を実行して、 自動的にネットワークの設定を行うか、どちらかの方法を選択する事ができます。

手動で設定する場合の、代表的な設定例を挙げます

  1. "wlanctl scan ..." : すでに存在している BSS を探します
  2. "wlanctl netlist" : "wlanctl scan ..." コマンドを 使って探し出した結果を表示します
  3. "wlanctl bsscreate ... ssid" : ssid 値を使い、新しいネットワークを構築します
  4. "wlanctl bssjoin bssid" : bssid 値で認証されたネットワークに参加します
  5. "wlanctl authen" と "wlanctl assoc" は、認証サービスを使って通信する時のオプションです


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