1. 序文

本文書の目標は X ウィンドウシステムのアーキテクチャを概観することだ。 なぜそのような設計なのかとか、どのような構成要素が X とぴったり融合して 実用的なグラフィカル環境を提供しているのかとか、そういった構成要素を どのように採り入れているのかといったことがより良く理解できるようにしたい と考えている。

これから概念をいくつか探求していく。それらは今まで何度も触れられてきては いるけれども、技術的な予備知識がない人には多少曖昧なままかもしれないと いうものだ。例えば、ウィジェットとツールキット、それにウィンドウマネージャと デスクトップ環境といったようなものだ。日々アプリケーションを使っている間に、 これらの構成要素がどうやって相互にやりとりしているのかについても例をいくつか 示していく。

この文書はあえてさほど技術指向にならないようにしている。というのも、この 文書の基礎になっているのは、テーマに関する著者の(経験した)知識なんだ。 だからもともとは技術的な知識の要らない入門編にと考えていたんだけど、一方では、 いろいろなコメントやもっと良い例や説明、それに技術的な訂正をしてもらえれば、 この文書の役に立つことも確かだ。この文書に関する質問やコメントはすべて歓迎する よ。それらは以下の宛先にメールしてもらえれば届くようになっている。 roadmr@entropia.com.mx