Linux IPX-HOWTO Terry Dawson, <94004531@postoffice.csu.edu.au> v1.2, 14 January 1996 川島浩, v1.2j, 27 March 1996 このドキュメントでは、Linux カーネルのサポートする IPX プロトコルを使 用しているさまざまなツールを、どうやって入手、インストール、設定するか について述べます。 注意: この文書はかなり以前に書かれたものなので、いまどきの Linux 環境 にはあてはまらない箇所があります。 (JF Project) 1. はじめに これは Linux の IPX-HOWTO です。この他に Linux の NET-2-HOWTO も併せて 読む必要があります。 1.1. 前の版からの変更点 追加: ipxbridge 修正/改定: ncpfs 1.2. イントロダクション Linux カーネルは他の Unix ライクなオペレーティングシステムに比べて完全 に新しいネットワークの実装をしています。カーネルのネットワークソフトの 開発に新鮮なアプローチを採用することによって、TCP/IP 以外のプロトコル をサポートすることが可能になりました。 IPX プロトコルはそういったプロ トコルの一つです。 現在のところ、Linux カーネルは IPX プロトコルだけをサポートしていま す。このドキュメントの中で触れられている、他のソフトウエアではサポート されている IPX/RIP, SAP, NCP プロトコルは、Linux カーネルではまだサ ポートされていません。 IPX 機能のオリジナルの開発者は Alan Cox であ り、Greg Page によって拡張されました。 2. 免責 私は Linux のネットワークソフトウエアの全てに関して知っているわけでは ありませんし、また知ることも不可能です。このドキュメントが誤りを含んで いる可能性があることを許諾し、念頭においてください。より正確で詳細な情 報に関しては、このドキュメントに記されているいろいろなソフトウエアに含 まれている README ファイルを参照してください。私はできる限りこのドキュ メントを誤りの無い、最新のものにし続けるつもりです。また、対象にしてい るソフトウエアのバージョンは、このドキュメントを書いている時点のもので す。 3. 関連するドキュメント (JF:以下の URL は 2001年10月時点のものに一部変更しています) このドキュメントではあなたが、正しいネットワークオプションを選択した Linux カーネルの再構築方法、基本的なネットワークツール (ifconfig, route など) の使い方をすでに知っていることを前提にしています。もしこれ らについて十分な知識がない場合には、NET-2-HOWTO を先に読んでください。 このドキュメントは、http://sunsite.unc.edu/mdw/HOWTO/NET-2-HOWTO.html からたどることもできます。 (JF: NET-2-HOWTO は現在 obsolete です。Net-HOWTO か Linux Networking- HOWTO の日本語訳 をご覧ください) その他の有益な Linux HOWTOドキュメント: Ethernet-HOWTO (日本語訳) は、イーサネットの設定方法について詳しく書かれたドキュメントで す。 PPP-HOWTO (日本語訳) は、バージョン 2.2.0d の Linux PPP 機能で利用できる IPX 機能に関 して記述されています。 3.1. このドキュメントの新しいバージョンについて もしあなたが持っているこのドキュメントが、2ヶ月以上前のバージョンなら ば、新しいバージョンを入手することを強くお奨めします。 Linux のネット ワークサポートは非常に速い速度で拡張/変化しているため、このドキュメン トも相当頻繁に書き換えられています。このドキュメントの最新の版は以下の 場所から anonymous ftp で入手することができます。 sunsite.unc.edu では /pub/Linux/docs/HOWTO/IPX-HOWTO または: /pub/Linux/docs/HOWTO/other-formats/IPX-HOWTO{-html.tar,ps,dvi}.gz Linux Document Project の Web サーバから World Wide Web (WWW) でアクセ スする場合には のページ: IPX-HOWTO または私のディレクトリ <94004531@postoffice.csu.edu.au>から。 また、次のニュースグループにも時々ポストされています。 newsgroups: comp.os.linux.networking, comp.os.linux.answers and news.answers 3.2. フィードバック このドキュメントに関するコメントや更新や提案を私宛に送ってください。 <94004531@postoffice.csu.edu.au> すばやくフィードバックをもらえれば、 すばやくドキュメントを訂正/更新することができます。私は最近ほとんど ニュースを読んでいませんので、なにか問題を見つけたら直接私宛に電子メイ ルを送ってください。 4. このドキュメントで使われている主な用語 このドキュメントの中では「クライアント」と「サーバ」という用語が頻繁に でてきます。このドキュメントの中ではこれらの用語を通常使われる特殊な意 味ではなく、以下のように、少し一般化した定義をします。 クライアント いろいろなサービスやデータを得ることを目的として、アクションや接 続の要求をおこなうマシンやプログラム サーバ 複数のリモートマシンからの接続を受け付け、それらに対してサービス やデータを提供するマシンやプログラム この定義にしてもたいして信頼できるものではないですが、SLIP や PPP な ど、真の意味でのクライアント/サーバの区別がない終端同士を区別すること ができます。 その他の用語: IPX Internet Packet eXchange の略。Novell によって、Netware(TM) 製品 のインターネットサポートのために提供されている。IPX プロトコルは TCP/IP における IP プロトコルと同様の機能を果たす。 IPX network address 特定の IPX ネットワークをユニークに識別するのに使われる番号。通 常 0x23a91002 のように、16進表記で記述される。 IPX インターナルネットワーク 仮想的な IPX ネットワーク。物理的なネットワークに直接対応しない という意味において仮想的である。特定の IPX ホストを識別、アド レッシングするために使われる。一般的には、ファイルサーバのように 複数の物理 IPX ネットワークにまたがって存在するホストに対して意 味がある。アドレスは物理IPXネットワークと同じ形式。 RIP Routing Information Protocol の略。 IPX ネットワークにおいて、 ネットワーク経路情報を自動的に伝搬させるのに使われるプロトコ ル。TCP/IP における RIP プロトコルと同様の機能を果たす。 NCP NetWare Core Protocol の略。 NetWare 製品のために Novell によっ て開発されたネットワークファイルシステムプロトコル。TCP/IP にお ける NFS と同様の機能。 SAP Service Advertisement Protocol の略。 Netware 環境において、ネッ トワークサービスを通知するために Novell が設計したプロトコル。 ハードウエアアドレス メディアアクセス層において物理ネットワーク中でホストをユニークに 識別するための番号。イーサネットは一般に ':' で区切られた6個の 16進数で表記される。例) 00:60:8C:C3:3C:0F ルート パケットが目的地に達するときに通過する経路のこと 5. /proc ファイルシステムの下のIPXに関係するファイル /proc ファイルシステムの下には、Linux の IPX 機能に関係するファイル類 がたくさん存在します。以下の通り: /proc/net/ipx_interface このファイルには、そのマシンで設定されている IPX インターフェー スに関する情報がはいっています。コマンドによって手動で設定された ものと、自動的に検出され設定されたものの両方が含まれます。 /proc/net/ipx_route このファイルには IPX ルーティングテーブル中に存在するルート情報 がはいっています。コマンドによって手動で付加されたものと、 IPX ルーティングデーモンによって自動的に付加されたものの両方が含まれ ています。 /proc/net/ipx このファイルにはそのマシン上で使われるためにオープンされている IPX ソケットのリストがはいっています。 6. Greg Pages の IPX ツール Caldera Incorporated の Greg Page は IPX を設定する ためのツール一式を書き、Linux カーネルの IPX 機能を拡張しました。 このカーネルの拡張によって、Linux は完全な形での IPX ブリッジまたは IPX ルーターとしての機能をもつことができます。この IPX サポート拡張機 能はすでに主流のカーネルに反映されていますので、恐らくあなたはすでにこ の機能を持ったカーネルを使っているでしょう。 このネットワーク設定ツールにを使って、あなたのネットワークデバイスで IPX を利用できるように設定したり、IPX ルーティングを制御したりすること ができます。この Linux IPX ネットワークツールは Greg のサイトから直接 ダウンロードできます。 ftp.caldera.com です。 . 6.1. IPX ツールの詳細 ipx_interface このコマンドはネットワークデバイスに対して手動で IPX 機能の付 加・削除・チェックをおこなうために使われます。通常、ネットワーク デバイスは eth0 などのイーサネットデバイスでしょう。少なくともひ とつの IPX インターフェースを -p フラグで primary インターフェー スとして指定する必要があります。例えばイーサネットデバイス eth0 で IPX 機能を使い、IEEE 802.2 フレームタイプで、IPX ネットワーク アドレスを 39ab0222 とするならば、以下のような指定になります : # ipx_interface add -p eth0 802.2 0x39ab0222 ipx_configure このコマンドはインターフェースの設定/プライマリーインターフェー スの設定を自動的におこなうかどうかを指定します。 --auto_interface オプションで新しいネットワークデバイスを自動設 定するかどうかを制御します。--auto_primary オプションでIPX ソフ トウエアが自動的に primary インターフェースを選択するかどうかを 制御します。両方とも自動でおこなう際の標準的なコマンドラインの例 は: # ipx_configure --auto_interface=on --auto_primary=on ipx_internal_net このコマンドはIPXインターナルネットワークアドレスを設定したり、 解除したりするために使われます。インターナルネットワークアドレス は省略可能ですが、このコマンドで設定されたインターフェースは常に primary インターフェースとなります。IPX ネットワークアドレス ab000000、 IPX ノード 1 に設定するためのコマンドラインの例は : # ipx_internal_net add 0xab000000 1 ipx_route このコマンドは IPX ルーティングテーブルを手動で書き換えるために 使われます。例えば IPX ネットワーク 39ab0222 に到達するために IPX ネットワーク 39ab0108 上のノード番号 00608CC33C0F を経由する ルートをテーブルに付加するには以下のコマンドを使います: # ipx_route add 0x39ab0222 0x39ab0108 0x00608CC33C0F 7. Linux マシンを IPX ルータとして設定するには たくさんの IPX セグメントが存在し、それらの間をネットワークで接続しな ければならない場合には、ルータが必要になります。Novell 環境では二つの 情報がネットワーク間で伝搬される必要があります。Novell RIP プロトコル で伝搬されるネットワークルーティング情報と、Novell SAP プロトコルで伝 搬されるサービス通知情報です。ほとんどの状況において、使い物になるため にはすべてのルータはこれら両方のプロトコルをサポートしなければなりませ ん。 Linux はこれら両方のプロトコルをサポートしています。また、Novell に準 拠したルータとして機能させる事もとても簡単です。 Linux カーネルの IPX サポート機能は実際には IPX ルーティングテーブルに 記述されたルールに基づいて IPX パケットをインターフェース間でフォワー ドすることで管理しています。IPX ルーティングテーブルを正しく構成するた め、またネットワークの変更のステータスを反映するための情報を周期的に アップデートするために、Linux にも Novell の RIP に相当するものが必要 です。 "NCP Server" の章で述べられている lwared パッケージには、Novell の RIP デーモンと、Novell の SAP デーモンを実現したソフトウエアが含まれていま す。 ftp.ists.pwr.wroc.pl にも同様のものがあります。 には便利なデーモンが存在し ます。 Linux マシンをルータとして機能させるために設定するのはとても簡単です。 以下の手順です: 1. カーネルを IPX ・イーサネット・/proc 機能をイネーブルして構築しま す。 2. IPX と SAP デーモンプログラムを入手して、コンパイル・インストールし ます。 3. 新しいカーネルでブートします。それぞれのイーサネットカードが正しく 認識されていることと、ハードウエアコンフリクトがないことを確認して ください。 4. 上に述べた ipx_interface コマンドを使って、それぞれのインターフェー スで IPX プロトコルをイネーブルします。 5. IPX デーモンと SAP デーモンを起動します。 次のような単純なネットワークを考えます: IPX Addr: 0x01000000 802.2 |--------------------------| | \_________________________ \ Linux Router IPX Addr: 0x02000000 802.2 \ |--------------------------| \ eth0/-----------\ | \--====| | \_________________________ | IPX route | \ eth1| Table | IPX Addr: 0x02000000 etherII \----====| ^ | |--------------------------| | | | | eth2| IPXd | \______________________________/====| | | SAPd | IPX Addr: 0x02000000 etherII eth3| | |--------------------------| /====| | | | \___________/ \______________________________/ 上のようなネットワークに対する設定は例えば以下の通りです: # ipx_interface add eth0 802.2 0x0100000000 # ipx_interface add eth0 802.2 0x0200000000 # ipx_interface add eth0 etherii 0x0300000000 # ipx_interface add eth0 etherii 0x0400000000 # ipxripd # ipxsapd しばらく待ってから /proc/net/ipx_route ファイルを見てください。あなた の設定したネットワーク設定と、ネットワーク中の他のルータから得られた IPX ルートの情報が入っているはずです。 8. Linux マシンを NCP クライアントとして設定するには IP と IPX プロトコルが混在するネットワークや、Linux マシンからネット ワーク上の Novell ファイルサーバのデータをアクセスしたい場合にはどうす ればいいでしょうか。このような目的のために Novell は NFS サーバを提供 していますが、小さな会社や、ごく少数の人しかこのような目的に興味を示さ ない場合などには、この商用パッケージのコストが認められるかどうか、難し いものがあります。 Volker Lendecke は Novell NCP のサブセットを サポートしたファイルシステムカーネルを書きました。これによって、別の製 品を購入することなしに、Novell の Volume を Linux からマウントすること ができます。このソフトウエアによって、Linux は Novell workstation の ファイルサービスをエミュレートできます。また、このソフトは Novell プリ ントキューに対してプリントするための簡単なユーティリティを含んでいま す。 Volker はこのパッケージを ncpfs と名付けました。開発に必要だった情報の 主なものは、Manfred Hill and Ralf Zessin の "Netzwerkprogrammierung in C" から派生しています。もっと詳細なことに関しては ncpfs パッケージに含 まれている README ファイルを参照してください。また、Greg Page の書いた IPX tools も使用されています。 8.1. ncpfs を入手するには ncpfs パッケージはバージョン 1.2.13 カーネルまたは 1.3.53 以降のカーネ ルで使用するために設計されました。現在、あなたがこれらに該当するカーネ ルを使っていないのであれば、それらのカーネルを使う必要があります。バー ジョン 1.3.0〜1.3.52 のカーネルではIPX機能がうまく働かないことが知られ ています。 ncpfs パッケージは anonymous ftp を使って Volker のホームページから入 手する事ができます: linux01.gwdg.de 叉は sunsite.unc.edu 叉はそのミ ラーサイトこれを書いている時点での最新バージョンは: ncpfs-0.11.tgz で す。 8.2. カーネル 1.2.* で ncpfs を構築するには イーサネットとIPX機能をイネーブルしてカーネルを構築する まず最初にあなたのカーネルがIPX機能をイネーブルして構築されてい ることを確認する必要があります。バージョン 1.2.13 のカーネルで は、以下に示すように 'The IPX protocol' の質問に対して 'Y' と答 えていることを確認する必要があるだけです: ... ... Assume subnets are local (CONFIG_INET_SNARL) [y] Disable NAGLE algorithm (normally enabled) (CONFIG_TCP_NAGLE_OFF) [n] The IPX protocol (CONFIG_IPX) [n] y * * SCSI support ... ... あなたの使用するイーサネットカードに対応したドライバを含んでいるこ とを確認する必要もあります。もしこれについてどうやればいいかを知ら なければ Ethernet-HOWTO を読んでください。 . カーネルを構築する準備は整いました。構築が完了した後には lilo を走 らせて、新しいカーネルをインストールすることを忘れないでください。 ncpfs ソフトウエアを解凍するには # cd /usr/src # tar xvfz ncpfs-0.9.tgz ncpfs を make する 特になんの設定もせずにきれいにコンパイルできるはずです。 # make IPX ツールを都合のよいところにコピーする make が正しく完了したら、すべての必要なツールが ncpfs/bin ディレ クトリにできあがっているはずです。以下のように、これらのツールを /usr/local/sbin ディレクトリにコピーする事をお薦めします: # cd bin # for i in ipx* ncp* slist nprint pqlist ; do cp \*(dRi /usr/local/sbin; done ncpfs.o モジュールを都合のよいところにコピーする make が正しく完了すれば、ncpfs/bin ディレクトリに ncpfs.o という ファイルもできあがっているはずです。これは ncpfs のカーネルモ ジュールです。これもどこか都合のよいところにコピーしておきましょ う。私の debian システムでは、 /lib/modules/1.2.13/fs ディレクト リにコピーし、ncpfs を /etc/modules ファイルに追加しました。これ によってブート時に ncpfs が自動的に起動されます。もしあなたが他 のパッケージを使っているのならば、どこが適切かを調べてください。 またはただ単に/etcディレクトリにコピーするするか、です。 手動でモジュールをロードするには次のコマンドを使います: # insmod ncpfs.o 8.3. 1.3.54 以降のカーネルで ncpfs を構築する 1.3.53 版のカーネルの ncp 機能はうまく動作しないので、もしあなたがバー ジョン 1.3.53 カーネルを使用しようとした場合には警告を受けます。1.3.54 以降のカーネルを使用してください。 1.3.54 以降のカーネルを使用する場合には、すでにカーネルのソースの中に ncpfs 機能は含まれています。以下の質問に対して、'Y' と答えるだけです: ... ... The IPX protocol ? ... ... NCP filesystem support (to mount NetWare volumes) ? ... ... IPX ツールを構築するためには、 1.2.* カーネルのための指示にも従う必要 があります。Makefile を少しだけ変更する必要があることに注意してくださ い。変更点はファイルの中にも記述されていますが、簡単に言って、以下の変 更を Makefile に加える必要があります: # SUBDIRS += kernel-1.2/src # INCLUDES = -I$(TOPDIR)/kernel-1.2 これは、1.2.* 版のカーネルの場合にのみ必要な変更です。 8.4. ncpfs の設定と使い方 IPX ネットワークソフトウエアの設定 IPX ネットワークソフトウエアの設定には、二種類の方法があります。 IPX ネットワークの情報について、すべての情報を手動で設定する方法 と、ソフトウエア自身に自動的に適正な情報を決定させる方法です。ほ とんどのインストールの場合、この自動的な方法でうまくいくでしょ う。もしこれがうまくいかない場合には、手動設定するために以下の "IPXツール" の章を読んでください。 # ipx_configure --auto_interface=on --auto_primary=on 設定のテスト IPX ネットワークの設定が終わったら、slist コマンドを使うことに よって、あなたのネットワーク上にあるすべての Novell ファイルサー バを見ることができるはずです: # slist もし slist コマンドが 'ncp_connect: Invalid argument' などのメッ セージを表示した場合には、恐らくカーネルが IPX をサポートしていない のでしょう。ちゃんと正しいカーネルでブートしたかどうかなどを確認し てみましょう。もし slist コマンドがすべてのファイルサーバを表示しな い場合には、手動でネットワークの設定をおこなう必要があるかもしれま せん。 Novell(TM) のボリュームをマウントする IPX ネットワークソフトウエアがうまく動作していれば、Novell の ファイルサーバボリュームを Linux ファイルシステムにマウントでき るはずです。この目的のために ncpmount コマンドが使われますが、少 なくとも以下の情報を指定する必要があります: 1. ファイルサーバの名前。 2. ファイルサーバのログインID。パスワードがついている場合にはそ れも必要。 3. マウントポイント (すなわち、どこにマウントしたいか) 以下の例は、ファイルサーバ ACCT_FS01 にユーザ guest で、パスワー ド無しで、/mnt/Accounts ディレクトリにマウントログインする場合の 例です: # ncpmount -S ACCT_FS01 /mnt/Accounts -U guest -n この例では、-n オプションによってログインにパスワードが不要なことを 指定しています。同様のログインでパスワード指定が必要な場合には以下 のようになります。 # ncpmount -S ACCT_FS01 /mnt/Accounts -U guest -P secret -n オプションも -P オプションも指定しなかった場合、パスワードの入力 を促されます。 マウント機能をチェックする マウントがうまくいけば、マウントポイントの下のディレクトリとし て、ログインに使われたユーザ ID でアクセス可能なボリュームが見え るはずです。また、ディレクトリ構造を渡り歩く (traverse) ことがで きるはずです。NCP は uid/gid による所有権 (ownership) を提供して いないため、すべてのファイルは、マウントポイントディレクトリの所 有権をひきつぐことになります。Linux ユーザ間でマウントを共有する 場合には、この点について留意してください。 プリント機能をチェックする プリント機能がうまく動作しているかどうかをチェックするには nprint コマンドを使います。nprint コマンドを使うと、Nerware プリ ントキューに対してファイルをプリントすることができます。pqlist を使うと Netware サーバ上で使用できるプリントキューを見る事がで きます。どちらのコマンドもユーザーネームとパスワードが必要ですの で、簡単にプリントするためには、なにかシェルスクリプトを作るのが よいでしょう。例えば例としては: # pqlist -S ACCT_FS01 -U guest -n # nprint -S ACCT_FS01 -q LASER -U guest -n filename.txt ncpmount コマンドと同様のログオン方法です。上に述べた例 は、ACCT_FS01 というファイルサーバにパスワードなしの guest アカウン トで、LASER というプリントキューが存在し、それに対して guest がプリ ントを許されているという場合の例です。 自動的にマウントされるように設定する ncp マウントを恒久的に設定する必要がある場合には上で述べたような コマンドを rc ファイルから実行する事によって、ブート時に自動的に おこなうことができます。私のお薦めは /etc/rc.local ファイルにこ れらの設定を記述しておくことです。私は /etc/init.d ディレクトリ の下の NetWare というファイルにこれらの設定を記述してお き、/etc/rc2.d ディレクトリに適切なシンボリックリンクを張ってい ます。例えば以下のようにするのもいいかもしれません: # # Start the ncp filesystem /sbin/insmod /lib/modules/1.2.13/fs/ncpfs.o # configure the IPX network ipx_configure --auto_interface=on --auto_primary=on # guest login to the Accounting fileserver ncpmount ACCT_FS01 /mnt/Accounts -U guest -n # NCP マウントの設定には、$HOME/.nwclient ファイルを作る、というもう ひとつの方法があります。このファイルには一時的またはユーザごとに必 要なNCPマウントを記述しておきます。これにより、毎回マウントの詳細を 指定することなく、詳細なマウント方法を記述しておくことができます。 このファイルの形式は明快です: たとえば次のコマンドを実行すると、ロ グイン名 TERRY で、/home/terry/docs ディレクトリに DOCS_FS01 をマウ ントします(ACCT_FS01 ではなく)。DOCS_FS01 が選択されなかったのは、 マウントコマンドのオプションにファイルサーバを指定しなかったからで す。 $ ncpmount /home/terry/docs また、次のコマンドを実行すると、DOCS_FS01 のかわりに ACCT_FS01 をロ グイン名 GUEST でマウントします。 $ ncpmount -S ACCT_FS01 /home/terry/docs 注意: この機能がうまく動作するためには、$HOME/.nwclient ファイルの パーミッションが、0600 になっている必要があります。これには、次のコ マンドを実行します: $ chmod 0600 $HOME/.nwclient ルート以外のユーザにこの機能を使う事を許すのであれば、ncpmount コマ ンドの Root の Set Userid ビットを立てておくことが必要です。これに は次のコマンドを実行します: # chmod 4755 ncpmount 9. Linux マシンを NCP サーバとして設定する Linux を Novell ファイルサーバとして機能させるためのパッケージには二種 類あります。どちらのパッケージを使っても、Linux 上のファイルを Novell NetWare クライアントソフトウエアのユーザと共有する事ができます。本物の Novell ファイルサーバと同じように、ファイルシステムをマシン上のローカ ルドライブにマップすることや、アタッチすることができます。両方のパッ ケージを使ってみて、あなたの目的にはどちらのパッケージが適しているかを 判断するのがよいでしょう。 9.1. mars_nwe パッケージ Martin Stover が開発したパッケージです。 Netware クライアントに対してファイルとプリントサービスを提供します。 mars_nwe は Martin Stovers Netware Emulator の 略です。 9.1.1. mars_nwe のできること mars_nwe は Novell NCP のサブセットを実現しています。ファイルサービ ス、ディスクベースの bindery サービス、プリントサービスが実現されてい ます。バグを含んでいるようです。(@@) 9.1.2. mars_nwe を入手するには linux01.gwdg.de . から入手できます。 これを書いている時点での最新バージョンは: mars_nwe-0.96.pl2.tgz. 9.1.3. mars_nwe パッケージを構築する イーサネットとIPX機能をイネーブルしてカーネルを構築する まず最初にあなたのカーネルが IPX 機能をイネーブルして構築されて いることを確認する必要があります。バージョン 1.2.13 のカーネルで は、以下に示すように 'The IPX protocol' の質問に対して 'Y' と答 えていることを確認する必要があるだけです: ... ... Assume subnets are local (CONFIG_INET_SNARL) [y] Disable NAGLE algorithm (normally enabled) (CONFIG_TCP_NAGLE_OFF) [n] The IPX protocol (CONFIG_IPX) [n] y * * SCSI support ... ... より新しい版のカーネルでは、プロンプトなどが多少異なるかもしれませ んが、同様の方法で大丈夫です。 あなたの使用するイーサネットカードに対応したドライバを含んでいるこ とを確認する必要もあります。もしこれについてどうやればいいかを知ら なければ Ethernet-HOWTO を読んでください。 . カーネルを構築する準備は整いました。構築が完了した後には lilo を走 らせて、新しいカーネルをインストールすることを忘れないでください。 ncpfs ソフトウエアを解凍するには # cd /usr/src # tar xvfz mars_nwe-0.96.pl2.tgz mars_nwe を make する パッケージを make するのはとても簡単です。まず、config.h を眺め て、もし必要ならばエディットします。これによって、インストール ディレクトリや、サーバがサポートするセッションやボリュームの最大 数などを設定することができます。次に: # make # make install これによってサーバが構築され、適切なディレクトリにインストールされ ます。また、インストレーションスクリプトは /etc/nwserv.conf という 設定ファイルをインストールします。 サーバを設定する 設定はとても簡単です。/etc/nwserv.conf ファイルをエディットしま す。はじめてこのファイルの内容を見るとそのフォーマットはちょっと 謎めいて見えますが、実はとても明瞭です。それぞれの行にひとつの設 定が記述されています。それぞれの行は、その行の内容を意味する数字 で始まり、空白で区切られています。'#' の後の文字はコメントとみな され、無視されます。パッケージの中にもMartinの提供する設定例が含 まれていますが、別のもっと単純な例をここに挙げておきます。 # VOLUMES (max. 5) # Only the SYS volume is compulsory. The directory containing the SYS # volume must contain the directories: LOGIN, PUBLIC, SYSTEM, MAIL. # The 'k' option converts all filenames in NCP requests to lowercase. # The default is upper case. # Syntax: # 1 1 SYS /home/netware/SYS/ # SYS 1 DATA /home/netware/DATA/ k # DATA # SERVER NAME # If not set then the linux hostname will be converted to upper case # and used. # Syntax: # 2 2 LINUX_FS01 # INTERNAL NETWORK NUMBER (not yet implemented) # Syntax: # 3 [] # NETWORK DEVICE(S) # This entry configures your IPX network. If you already have your # IPX network configured then you do not need this. # Syntax: # 4 [] # Frame types: ethernet_ii, 802.2, 802.3, SNAP 4 0x39a01010 eth0 802.3 1 # SAVE IPX ROUTES AFTER SERVER IS DOWNED # Syntax: # 5 # 0 = don't save routes, 1 = do save routes 5 0 # NETWARE VERSION # Syntax: # 6 # 0 = 2.15, 1 = 3.11 6 0 # MINIMAL GID UID rights # permissions used for attachments with no login. # Syntax: # 10 # 11 # are from /etc/passwd, /etc/groups 10 200 11 201 # SUPERVISOR password # May be removed after the server is started once. The server will # encrypt this information into the bindery file after it is run. # Syntax: # 12 [] 12 SUPERVISOR root secret # USER ACCOUNTS # This associates netware logins with unix accounts. Password are # optional. # Syntax: 13 [] 13 TERRY terry 13 MAR mar # PRINT QUEUES # This associates Netware printers with unix printers. The queue # directories must be created manually before printing is attempted. # Syntax: # 21 21 EPSON SYS:/PRINTJ/PSON lpr -h 21 LASER SYS:/PRINT/LASER lpr -Plaser # DEBUG FLAGS # Syntax: # # # 100 = IPX KERNEL # 101 = NWSERV # 102 = NCPSERV # 103 = NWCONN # 104 = use NWCLIENT # 0 = disable debug, 1 = enable debug 100 0 101 0 102 0 103 0 104 0 # RUN NWSERV IN BACKGROUP AND USE LOGFILE # Syntax: # 200 # 0 = run NWSEV in foreground and don't use logfile # 1 = run NWSERV in background and use logfile 200 1 # LOGFILE NAME # Syntax: # 201 201 /tmp/nw.log # APPEND LOG OR OVERWRITE # Syntax: # 202 # 0 = append to existing logfile # 1 = overwrite existing logfile 202 1 # SERVER DOWN TIME # This item sets the time after a SERVER DOWN is issued that the # server really goes down. # Syntax: # 210