Linux Kernel 2.6 Documentation:
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ldm.txt
LDM (Logical Disk Manager) - 論理ディスクマネージャ (動的ディスク)
[プレインテキスト版]
- 原著作者: Richard Russon <ldm@flatcap.org>
- 翻訳者: 川崎 貴彦 <takahiko(a)hakubi.co.jp>
- バージョン: 2.6.5
- 翻訳日時: 2004/05/04
LDM (Logical Disk Manager) - 論理ディスクマネージャ (動的ディスク)
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概要
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Windows 2000 および XP は、新しいパーティショニング機構を使用しています。
それは、MSDOS スタイルのパーティションを完全に置き換えるものです。物理
ディスクの末尾に置かれるジャーナルされた 1MiB のデータベースに、情報が
格納されます。パーティションのサイズは、ディスクスペースのみにより制限を
受けます。パーティション数の最大値は、約 2000 です。
LDM で作成されたパーティションは全て「動的ディスク (Dynamic Disk)」と
呼ばれます。プライマリパーティションや拡張パーティションというものは、
もはや存在しません。普通の MSDOS スタイルのパーティションは、現在では
基本ディスク (Basic Disk) と表現されます。
スパンボリューム、ストライプボリューム、ミラーボリューム、または RAID 5
ボリュームを使用したい場合は、動的ディスクを使わなければなりません。ジャー
ナリングにより、リブートの必要なく、Windows でこれらのパーティションや
ファイルシステムを変更することができます。
LDM ドライバによりディスクが分割されれば、MD ドライバを使ってマルチパー
ティション・ボリューム、たとえばストライプボリュームや RAID 5 ボリュームを
アセンブルすることができます。
旧来のアプリケーションがディスクを再パーティショニングすることを防止する
ため、LDM は 1 ディスクサイズのパーティションを含む、ダミーの MSDOS パー
ティションを作成します。
例
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ここに、7 つのパーティションに分割された 50MiB のディスクがあります。
注意:ディスク末尾の 1MiB の欠落は、LDM データベースが格納されている
場所です。
Device | Offset Bytes Sectors MiB | Size Bytes Sectors MiB
-------+----------------------------+---------------------------
hda | 0 0 0 | 52428800 102400 50
hda1 | 51380224 100352 49 | 1048576 2048 1
hda2 | 16384 32 0 | 6979584 13632 6
hda3 | 6995968 13664 6 | 10485760 20480 10
hda4 | 17481728 34144 16 | 4194304 8192 4
hda5 | 21676032 42336 20 | 5242880 10240 5
hda6 | 26918912 52576 25 | 10485760 20480 10
hda7 | 37404672 73056 35 | 13959168 27264 13
LDM データベースは、ディスク上の順番どおりにはパーティションを保存しない
かもしれません。しかし、ドライバがソートをおこないます。
Linux がブートするとき、次のような出力がなされるでしょう。
hda: 102400 sectors w/32KiB Cache, CHS=50/64/32
hda: [LDM] hda1 hda2 hda3 hda4 hda5 hda6 hda7
LDM サポートのコンパイル
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LDM を有効にするには、次の二つのオプションを選択してください。
"Advanced partition selection" CONFIG_PARTITION_ADVANCED
"Windows Logical Disk Manager (Dynamic Disk) support" CONFIG_LDM_PARTITION
ドライバが期待したとおりに動作していないと思われる場合、追加のデバッグ
コードを有効にすることができます。これにより、大量の出力がおこなわれます。
オプションは次のものです。
"Windows LDM extra logging" CONFIG_LDM_DEBUG
注意:パーティションコードは、モジュール形式へとコンパイルはできません。
全てのパーティションコードと同様に、パーティションタイプの署名をドライバが
認識できない場合は、他のドライバへと制御を渡します。このため、ドライバを
有効にしても、害はありません。
動的ディスクがあるにもかかわらずドライバを有効にしていない場合、全ディスク
にわたるダミーの MSDOS パーティションだけが見えます。どのようなボリュームも
そのディスク上にマウントすることはできません。
ブート
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LDM サポートを有効にしているなら、LILO により、検出されたどのパーティ
ションからでもブートすることができます。しかし、GRUB は、LDM パーティ
ショニングを理解せず、動的ディスクからブートすることができません。
他の文書
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完全なテクニカルドキュメントとともに、LDM 概要がオンラインにあります。
HTML 版をダウンロードすることもできます。
http://linux-ntfs.sourceforge.net/ldm/index.html
http://linux-ntfs.sourceforge.net/downloads.html
Web サイト上で回答されていない LDM に関する質問がある場合は、私にメール
してください。
Cheers,
FlatCap - Richard Russon
ldm@flatcap.org
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翻訳団体: JF プロジェクト < http://www.linux.or.jp/JF/ >
翻訳日: 2004/05/04
翻訳者: 川崎 貴彦 <takahiko(a)hakubi.co.jp>
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