JF Linux Kernel 2.6 Documentation: /usr/src/linux/Documentation/sysctl/kernel.txt

sysctl/kernel.txt

/proc/sys/kernel/* に関する文書 [プレインテキスト版]


/proc/sys/kernel/* に関する文書     カーネルバージョン 2.2.10
        (c) 1998, 1999,  Rik van Riel <riel@nl.linux.org>

一般的な情報と法的宣言については、README を見てください。

==================================================================

このファイルには /proc/sys/kernel 内の sysctl ファイルに関する
文書が含まれており、Linux カーネルバージョン 2.2 に対して有効
です。

このディレクトリ内のファイルは、Linux カーネルのオペレーションに
おける種々雑多な全体的事項をチューニングしたりモニタリングしたり
するために使用することができます。システムをメチャメチャにしてし
まいうるファイルもあるので、実際に調整をおこなう前に、文書および
ソースコードの両方を読むことをお勧めします。

現在のところ、(設定によりますが) 次のファイル群が /proc/sys/kernel
以下にあらわれます。

  - acct
  - core_pattern
  - core_uses_pid
  - ctrl-alt-del
  - dentry-state
  - domainname
  - hostname
  - htab-reclaim                [ PPC のみ ]
  - hotplug
  - java-appletviewer           [ binfmt_java, obsolete ]
  - java-interpreter            [ binfmt_java, obsolete ]
  - l2cr                        [ PPC のみ ]
  - modprobe                    ==> Documentation/kmod.txt
  - msgmax
  - msgmnb
  - msgmni
  - osrelease
  - ostype
  - overflowgid
  - overflowuid
  - panic
  - pid_max
  - powersave-nap               [ PPC のみ ]
  - printk
  - real-root-dev               ==> Documentation/initrd.txt
  - reboot-cmd                  [ SPARC のみ ]
  - rtsig-max
  - rtsig-nr
  - sem
  - sg-big-buff                 [ 汎用 SCSI デバイス (sg) ]
  - shmall
  - shmmax                      [ sysv ipc ]
  - shmmni
  - stop-a                      [ SPARC のみ ]
  - sysrq                       ==> Documentation/sysrq.txt
  - tainted
  - threads-max
  - version
  - zero-paged                  [ PPC のみ ]

==================================================================

acct:

highwater lowwater frequency

BSD スタイルのプロセスアカウンティングが有効になっている場合、
その動作はこれらの値で制御されます。ログが出力されるファイルシス
テムの空き領域が <lowwater>% 未満になった場合、アカウンティングは
中断します。空き領域が <highwater>% を超えると、アカウンティング
は再開します。<frequency> は、空き領域の量をチェックする頻度を秒
単位で指定するものです。デフォルト値は次のとおりです。

  4 2 30

つまり、残りの空き領域が 2% 以下のときアカウンティングは中断し、
4% 以上になると再開します。30 秒間有効である空き領域量の情報を、
考慮に入れます。

==================================================================

core_pattern:

core_pattern はコアダンプファイルのパターン名を指定するのに使用
します。

  * 最長 64 文字。デフォルト値は "core"

  * core_pattern は出力ファイル名のパターンテンプレートとして使用
    されます。特定の文字列パターン ('%' ではじまるもの) は、それ
    ぞれの実際の値で置き換えられます。

  * core_uses_pid との後方互換性があります。
      core_pattern に "%p" が含まれておらず (デフォルトでは含まれ
      ません)、かつ core_uses_pid がセットされている場合、.PID が
      ファイル名の末尾に付加されます。

  * コア名フォーマット指示子
      %<NUL>    '%' は削除されます
      %%        '%' を一つ出力します
      %p        プロセス ID
      %u        ユーザ ID
      %g        グループ ID
      %s        シグナル番号
      %t        ダンプの UNIX 時刻
      %h        ホスト名
      %e        実行形式ファイル名
      %<OTHER>  両方とも削除されます

==================================================================

core_uses_pid:

デフォルトのコアダンプファイル名は "core" です。core_uses_pid を
 1 にセットすることにより、コアダンプファイル名は core.PID になり
ます。core_pattern に "%p" が含まれておらず (デフォルトでは含まれ
ません)、かつ core_uses_pid がセットされている場合、.PID がファ
イル名の末尾に付加されます。

==================================================================

ctrl-alt-del:

このファイル内の値が 0 のとき、ctrl-alt-del は捕捉され、丁寧な再
起動をおこなうよう init(1) に渡されます。しかし値が 0 より大きい
ときは、Vulcan Nerve Pinch (tm) (訳注:ソフトウェアブートもしくは
ROM モニタへのジャンプをおこなうキー組合せのこと。参照:
http://www.catb.org/~esr/jargon/html/V/Vulcan-nerve-pinch.html)
に対する Linux の反応は、ダーティバッファの同期さえおこなわない
即時リブートです。

注意:(dosemu のように) プログラムが 'raw' モードでキーボードを
使用している場合は、ctrl-alt-del は、カーネルの TTY レイヤに届く
前にそのプログラムによって捕捉されます。ctrl-alt-del で何をするか
を決めるのは、そのプログラムです。

==================================================================

domainname & hostname:

これらのファイルは、domainname コマンドや hostname コマンドと全く
同じように、マシンの NIS/YP ドメイン名とホスト名を設定するために
使用することができます。つまり、

  # echo "darkstar" > /proc/sys/kernel/hostname
  # echo "mydomain" > /proc/sys/kernel/domainname

は次のものと同じ効果があります。

  # hostname "darkstar" > /proc/sys/kernel/hostname
  # domainname "mydomain" > /proc/sys/kernel/domainname

例えば darkstar.frop.org は "darkstar" というホスト名と "frop.org"
という DNS (Internet Domain Name Server) ドメイン名で構成されて
いますが、これを NIS (Network Information Service) / YP (Yellow
Pages) ドメイン名と混同してはいけませんので、注意してください。
この二つのドメイン名は一般に異なります。詳細な議論については
hostname(1) の man ページを参照してください。

==================================================================

htab-reclaim: (PPC のみ)

これをゼロ以外の値にセットすると、システムがアイドルループになる
たびに PowerPC htab (Documentation/powerpc/ppc_htab.txt を参照)
が切り詰められます。

==================================================================

hotplug:

ホットプラグポリシーエージェントのパスです。デフォルト値は
"/sbin/hotplug" です。

==================================================================

l2cr: (PPC のみ)

このフラグは、G3 プロセッサボードの L2 キャッシュを制御します。
0 の場合、キャッシュは無効です。ゼロ以外ならば有効です。

==================================================================

osrelease, ostype & version:

  # cat osrelease
  2.1.88

  # cat ostype
  Linux

  # cat version
  #5 Wed Feb 25 21:49:24 MET 1998

osrelease と ostype ファイルが何なのかは十分明確でしょう。しかし、
version は少し説明が必要です。'#5' は、このソースベースからの 5
番目のカーネルビルドであることを意味し、後に続く日時は、カーネル
がビルドされた時刻を示しています。これらの値をチューニングする
唯一の方法は、カーネルを再ビルドすることだけです :-)

==================================================================

overflowgid & overflowuid:

アーキテクチャが 32 ビット UID を常にサポートしていたわけではない
ならば (つまりアーキテクチャが arm, i386, m68k, sh, sparc32 なら),
実際の UID または GID が 65535 を超える場合、古い 16 ビット UID/
GID システムコールを使用しているアプリケーションには固定 UID/GID
が返されます。

これらの sysctl ファイルで、その固定 UID/GID の値を変更できます。
デフォルト値は 65534 です。

==================================================================

panic:

このファイル内の値は、パニック発生時、リブートする前にカーネルが
待機する秒数を示しています。ソフトウェアウォッチドッグを使用して
いる場合、推奨される設定は 60 です。

==================================================================

panic_on_oops:

oops または BUG に至ったときのカーネルの動作を制御します。

  0: オペレーションの継続を試みます。

  1: 数秒待機し (klogd に oops 出力を記録する時間を与えるため),
     その後パニックとします。もしも `panic' sysctl ファイルもゼロ
     以外ならば、その後マシンはリブートされます。

==================================================================

pid_max:

PID 割当ての巡回値。カーネルの次の PID 値がこの値に到達したとき、
PID 最小値に戻されます。pid_max 以上の値の PID は割り当てられま
せん。

==================================================================

powersave-nap: (PPC のみ)

セットされている場合、Linux-PPC は省電力の 'nap' モードを使用し
ます。そうでない場合は、'doze' モードが使用されます。

==================================================================

printk:

printk 内の 4 つの値はそれぞれ、console_loglevel,
default_message_loglevel, minimum_console_loglevel,
default_console_loglevel を意味します。

これらの値は、エラーメッセージの表示またはログ出力の際の printk()
の動作に影響を与えます。異なるログレベルに関する詳細な情報につい
ては、'man 2 syslog' を参照してください。

  - console_loglevel: これよりも高い優先度のメッセージは、コン
    ソールに表示されます。
  - default_message_level: 明示的な優先度を与えられていないメッ
    セージは、この優先度で出力されます。
  - minimum_console_loglevel: console_loglevel にセットできる
    最小の (最も高い) 値。
  - default_console_loglevel: console_loglevel のデフォルト値。

==================================================================

printk_ratelimit:

速度が制限されている警告メッセージがあります。printk_ratelimit は、
このようなメッセージ間の最小時間間隔を jiffies 単位で指定するもの
です。デフォルトでは、5 秒ごとに一つのメッセージ出力が可能です。

値を 0 にすると、速度制限は無効になります。

==================================================================

printk_ratelimit_burst:

一つのメッセージごとに printk_ratelimit 秒という長い時間が強制
される一方で、メッセージ群を集中的に出力させることも可能です。
printk_ratelimit_burst は、速度制限が作動する前に送出することが
可能なメッセージの数を指定するものです。

==================================================================

reboot-cmd: (Sparc のみ)

??? これは、Sparc ROM/Flash ブートローダに引数を与えるための手段
のようです。おそらく、リブート後に何をすべきかを指示するための
ものでしょう。???

==================================================================

rtsig-max & rtsig-nr:

rtsig-max ファイルは、システム内で使用可能な、POSIX リアルタイム
(キューイングされる) シグナルの最大値をチューニングするために使用
することができます。

rtsig-nr は、現在キューイングされているリアルタイムシグナルの数
を示しています。

==================================================================

sg-big-buff:

このファイルは、汎用 SCSI (sg) バッファのサイズを示しています。
これをチューニングすることはまだできませんが、include/scsi/sg.h
を編集して SG_BIG_BUFF の値を変更することにより、コンパイル時に
値を変更することができます。

この値を変更する理由は無いはずです。もしも理由を思い付くことが
できるならば、いずれにしても、あなたはおそらく自分が何をしている
のか分かっているはずです :)

==================================================================

shmmax:

この値は、生成可能な共有メモリセグメントの最大サイズの実行時制限
を、問い合わせたり設定したりするのに使用できます。現在のところ、
1Gb までの共有メモリセグメントがカーネルでサポートされています。
デフォルト値は SHMMAX です。

==================================================================

tainted:

カーネルが汚染されている場合、非ゼロになります。数値であり、下記
のものと論理和をとることができます。

  1 - 非 GPL のモジュールがロードされました。これにはライセンスの
      無いものも含まれます。
  2 - 'insmod -f' により、強制的にモジュールがロードされました。
      2.4.9 以上の modutils と module-init-tools によりセットされ
      ます。
  4 - 安全でない SMP プロセッサ群です。SMP 用に設計されていない
      CPU を用いた SMP です。

==================================================================

zero-paged: (PPC のみ)

有効の場合 (非ゼロの場合), Linux-PPC は、アイドルループ内でゼロ
クリアされたページを用意します。たぶん、get_free_pages が速く
なります。これは、アイドルループが実行することにしか影響しない
ので、これを有効にして何か変化があるか確認してみるべきです。


------------------------------------------------------------
翻訳団体: JF プロジェクト < http://www.linux.or.jp/JF/ >
最終更新: 2004/07/29
翻訳者:   川崎 貴彦 <takahiko(a)hakubi.co.jp>
校正者:   Seiji Kaneko <skaneko(a)a2.mbn.or.jp>

Linux カーネル 2.6 付属文書一覧へ戻る