1. はじめに

Csound, PD, jMax, Spiral Synth Modular のようなソフトウェアシンセサイザは、 既知や未知、尋常もしくは奇抜な音響体験を創造するほとんど無限の自由を提供します。 ソフトウェアシンセサイザは、高価なハードウェアシンセサイザや、 安価なサウンドカードの、音質が悪いことが多い MIDI シンセサイザ機能 (いずれにしても Linux でサポートされていればですが) を置き換えることもできます。一方、それらの ソフトウェアシンセサイザを使って作曲するのは退屈な作業になることもあります― たとえば Csound では、表計算ソフトのような作法で果てしない数列を記述しなくては ならないのです。これは、音楽を作るのに快適なやりかたではありません。

MIDI シーケンサアプリケーションは、こういった作業により適しています。 シーケンサは、音符を挿入したりデータを制御したりするインタフェースを 使いやすいやりかたで―楽譜の音符、ピアノロールのマーク、MIDI イベントのリストといった好みに応じた表現方法で―提供します。 他の種類の MIDI シーケンサには、音符を入力するのにトラッカーのような ステップ入力方式を提供するものがあります。 多くの人達が、このやりかたがシーンでの最先端だった 古き良き時代から慣れ親しんでいる方式です。 最後に、忘れてはならない方式があります。 MIDI シーケンサの中には、鍵盤や他の物理デバイスでの演奏を記録できるものもあります。 これは、多くのユーザにとって最も自然な作曲方法です。

ところで、MIDI シーケンサは、通常は音符を MIDI デバイスに出力します。 普通、MIDI イベントを世界の外側―すなわちハードウェアシンセやサンプラー― に送信するということです。でも仮想 MIDI デバイスを使えば、MIDI データを コンピュータの内側にキープし、同じマシンで実行している他のソフトウェアを 制御させることができます。 この HOWTO では、この目的に達するために必要なすべてを述べます。