UDP
Section: Linux Programmer's Manual (7)
Updated: 2009-09-30
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名前
udp - IPv4 の ユーザーデータグラムプロトコル
書式
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
udp_socket = socket(AF_INET, SOCK_DGRAM, 0);
説明
これは RFC 768 で記述されている User Datagram Protocol の実装である。
UDP はコネクションレスの、信頼性の低いデータパケットサービスである。
パケットは到着前に並び替えられたり複製されたりする。
UDP は転送エラーを検出するためにチェックサムを生成・チェックする。
UDP ソケットが生成されるとき、
ローカルアドレスやリモートアドレスは指定されない。
正しい行き先アドレスを引数として
sendto(2)
や
sendmsg(2)
を呼べば、データグラムはただちに送信される。
ソケットに対して
connect(2)
を呼ぶと、デフォルトの行き先アドレスが設定され、
send(2)
や
write(2)
を使って、行き先アドレスの指定なしにデータグラムを送信できるようになる。
この場合でも、行き先アドレスを
sendto(2)
や
sendmsg(2)
に渡せば、デフォルト以外のアドレスに送信可能である。
パケットを受信するために、まずソケットを
bind(2)
を用いてローカルなアドレスにバインドさせることもできる。
そうでない場合は、ソケット層は自動的に
/proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range
で定義されている範囲の外で空いているローカルなポートを割り当て、
ソケットを
INADDR_ANY
にバインドする。
受信動作はパケットを一つだけ返す。渡したバッファよりもパケットが
小さければ、そのパケットの大きさのデータだけが返される。
逆にバッファよりも大きい場合はパケットは丸められ、
MSG_TRUNC
フラグがセットされる。
MSG_WAITALL
はサポートしていない。
IP オプションは、
ip(7)
に記述されているソケットオプションを用いて読み書きできる。
これらは適切な
/proc
パラメータが有効な場合に限ってカーネルによって処理される
(しかし無効になっている場合でもユーザーには渡される)。
ip(7)
を参照のこと。
MSG_DONTROUTE
フラグが送信時にセットされている場合には、
行き先アドレスはローカルなインターフェースアドレスから
参照できなければならない。パケットはそのインターフェースにしか送られない。
デフォルトでは、Linux の UDP は Path MTU Discovery を行う。
つまり、カーネルは特定の宛先 IP アドレスの MTU (Maximum Transmission Unit;
最大転送単位) を記録し、UDP パケットの書き込みが MTU を超えた場合
EMSGSIZE
を返す。
EMSGSIZE
を返された場合、アプリケーションはパケットサイズを小さくすべきである。
ソケットオプション
IP_MTU_DISCOVER
または
/proc/sys/net/ipv4/ip_no_pmtu_disc
ファイルを使って Path MTU Discovery を無効にすることもできる
(詳細は
ip(7)
を参照)。
Path MTU Discovery を無効にした場合は、パケットサイズが
インタフェースの MTU よりも大きいと UDP はそのパケットを
フラグメント化して送出する。
しかしながら、性能と信頼性の理由から Path MTU Discovery を
無効にするのは推奨できない。
アドレスのフォーマット
UDP は IPv4 の
sockaddr_in
アドレスフォーマットを用いる。これは
ip(7)
に記述されている。
エラー処理
致命的なエラーは、たとえソケットが接続されていなくても、
すべてエラー戻り値としてユーザーに渡される。
これにはネットワークから受け取る非同期エラーも含まれる。
同じソケットを使って送信した昔のパケットに関するエラーを受け取るかもしれない。
この振る舞いは他の BSD ソケットの実装の多くとは異なる。
これらではソケットが接続されていない場合はエラーを全く返さない。
Linux の振る舞いは
RFC 1122
での指定に従ったものである。
Linux 2.0 と 2.2 では、古いコードとの互換性のために、
SO_BSDCOMPAT
SOL_SOCKET
オプションを設定すれば、ソケットが接続されている
場合に限ってリモートのエラーを受信するようにできた
(EPROTO と EMSGSIZE
を除く)。
ローカルで生成されたエラーは常に渡される。
このソケットオプションのサポートはそれ以降のバージョンの Linux で
削除された。詳細は
socket(7)
を参照。
IP_RECVERR
オプションが有効になっていると、
すべてのエラーはソケットのエラーキューに保存される。
これは
MSG_ERRQUEUE
フラグをセットして
recvmsg(2)
を呼べば受信できる。
/proc インタフェース
システム全体の UDP パラメータ設定には、
/proc/sys/net/ipv4/
ディレクトリ内のファイルの読み書きでアクセスできる。
- udp_mem (Linux 2.6.25 以降)
-
これは 3 つの整数からなるベクトル値で、
UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数を制御する。
-
- min
-
このページ数より少なければ、UDP はそのメモリ使用に関して
干渉されない。
UDP に割り当てられたメモリ総量がこの値を超過すると、
UDP はメモリ使用量を調整し始める。
- pressure
-
この値は
tcp_mem
の形式
(tcp(7)
参照) と合わせるために導入された
- max
-
UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数。
-
これらの 3 つの値のデフォルト値は、
ブート時に利用可能なメモリ総量から計算される。
- udp_rmem_min (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
-
メモリ使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる受信バッファの最小値
(バイト単位)。
UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
udp_mem
pressure を超過している場合であっても、
各 UDP ソケットはデータの受信にこのサイズ分だけは使用することができる。
- udp_wmem_min (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
-
メモリ使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる送信バッファの最小値
(バイト単位)。
UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
udp_mem
pressure を超過している場合であっても、
各 UDP ソケットはデータの送信にこのサイズ分だけは使用することができる。
ソケットオプション
UDP ソケットオプションを設定または取得するには、
取得には
getsockopt(2)
を、設定には
setsockopt(2)
をオプションレベル引数に
IPPROTO_UDP
を指定して呼び出す。
- UDP_CORK (Linux 2.5.44 以降)
-
このオプションが指定されると、このソケットの全てのデータ出力は
一つのデータグラムに蓄積され、このオプションが無効化された時に
送信される。
このオプションは移植性を考慮したコードでは用いるべきではない。
ioctl
以下に示す ioctl は
ioctl(2)
を使ってアクセスできる。
正しい文法は以下の通り。
-
int value;
error = ioctl(udp_socket, ioctl_type, &value);
- FIONREAD (SIOCINQ)
-
integer のポインタを引数として取る。
次に待機しているデータグラムのサイズをバイト単位の整数で返す。
待機しているデータグラムがない場合は 0 を返す。
- TIOCOUTQ (SIOCOUTQ)
-
ローカル送信キューにあるデータサイズをバイト単位で返す。
Linux 2.4 以上でのみ対応している。
さらに、
ip(7)
と
socket(7)
で述べられている全ての ioctl も対応している。
エラー
socket(7)
や
ip(7)
に記述されている全てのエラーが、
UDP ソケットの送受信で返される可能性がある。
- ECONNREFUSED
-
行き先アドレスに関連づけられている受信者がいない。
これは以前のパケットがそのパケットを
上書き送信してしまっているからであることが多い。
バージョン
IP_RECVERR
は Linux 2.2 の新しい機能である。
関連項目
ip(7),
raw(7),
socket(7),
udplite(7)
RFC 768 : User Datagram Protocol
RFC 1122 : ホストの必要条件
RFC 1191 : path MTU discovery の記述
Index
- 名前
-
- 書式
-
- 説明
-
- アドレスのフォーマット
-
- エラー処理
-
- /proc インタフェース
-
- ソケットオプション
-
- ioctl
-
- エラー
-
- バージョン
-
- 関連項目
-
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Time: 03:26:59 GMT, April 25, 2010