2. インストール

本パッケージをインストールするには、 以下のものが必要になります。

2.1. バイナリの RPM ファイルを使う

自分でソースの展開や構築をするのは時間と労力の浪費だ、と思っている場合は、 RPM 形式でも ATM ツールを配布していますから、それを使って下さい。 これは、次のようにすればインストールできます。

2.2. ソースツリーを使う

この場合は、まず ATM on Linux ディストリビューションを展開します。

ディストリビューションを展開すると、 linux-atm-x.x.x/ ディレクトリができ、その下にサブディレクトリがいくつかできます。 中でも重要なのは、次のディレクトリです。

doc/

(この HOWTO を含む)SGML DocBook 形式の文書があります。

src/sigd/

UNI 3.0 と UNI 3.1、および UNI 4.0 のシグナル処理デーモン atmsigd があります。

src/saal/

シグナル処理用 AAL ライブラリ (SSCOP と SSCF、および SAAL) があります。

src/qgen/

Q.2931 形式のメッセージ処理があります。

src/ilmid/

ILMI アドレス登録デーモン ilmid があります。

src/maint/

次の ATM 保守プログラムがあります。:atmaddr, atmdiag, atmdump, atmloop, atmtcp, enitune, esi, sonetdiag, saaldump, および zntune

src/test/

次の テストプログラムがあります。:align, aping, aread, awrite, br, bw, isp, ttcp_atm, window

src/arpd/

ATMARP 用のツールとデーモン atmarpatmarpd があります。

src/led/

LAN エミュレーションデーモン zeppelin があります。

src/lane/

LAN エミュレーションサーバー buslecs、および les があります。

src/mpoad/

マルチプロトコル・オーバー・ATM デーモン mpcd があります。

src/debug/

次のデバッグツールがあります。:delay, ed, encopy, endump, svctor, zndump, および znth

src/lib/

アプリケーション、およびデーモン用ライブラリがあります。

src/man/

種々雑多なマニュアルページがあります。

src/extra/

追加パッケージと RPM の spec ファイルがあります。

src/config/

設定と rc ファイルのサンプルがあります。

src/switch/

スイッチ・ファブリック・コントロールがあります (開発中)。

2.3. カーネルの設定

カーネルのディストリビューションを展開後、 Linux カーネルのソースツリーのトップレベルで、 いつもの、 make configmake menuconfig、あるいは make xconfig を行なって下さい。 まず、以下のオプションを有効にします。
Prompt for development and/or incomplete code/drivers
  (CONFIG_EXPERIMENTAL)
それから、次のオプションを見つけて、有効にして下さい。
Asynchronous Transfer Mode (ATM, EXPERIMENTAL) (CONFIG_ATM)
  Use "new" skb structure (CONFIG_ATM_SKB)
  Classical IP over ATM (CONFIG_ATM_CLIP)
    Do NOT send ICMP if no neighbour (CONFIG_ATM_CLIP_NO_ICMP)
  LAN Emulation (LANE) support (CONFIG_ATM_LANE)
    Multi-Protocol Over ATM (MPOA) support (CONFIG_ATM_MPOA)
ATM over TCP (CONFIG_ATM_TCP)
Efficient Networks ENI155P (CONFIG_ATM_ENI)
  Enable extended debugging (CONFIG_ATM_ENI_DEBUG)
  Fine-tune burst settings (CONFIG_ATM_ENI_TUNE_BURST)
    Enable 16W TX bursts (discouraged) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_TX_16W)
    Enable 8W TX bursts (recommended) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_TX_8W)
    Enable 4W TX bursts (optional) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_TX_4W)
    Enable 2W TX bursts (optional) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_TX_2W)
    Enable 16W RX bursts (discouraged) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_RX_16W)
    Enable 8W RX bursts (discouraged) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_RX_8W)
    Enable 4W RX bursts (recommended) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_RX_4W)
    Enable 2W RX bursts (optional) (CONFIG_ATM_ENI_BURST_RX_2W)
ZeitNet ZN1221/ZN1225 (CONFIG_ATM_ZATM)
  Enable extended debugging (CONFIG_ATM_ZATM_DEBUG)
  Enable usec resolution timestamps (CONFIG_ATM_ZATM_EXACT_TS)
IDT 77201 (NICStAR) (CONFIG_ATM_NICSTAR)
  Use suni PHY driver (155Mbps) (CONFIG_ATM_NICSTAR_USE_SUNI)
  Use IDT77015 PHY driver (25Mbps) (CONFIG_ATM_NICSTAR_USE_IDT77105)
Madge Ambassador (Collage PCI 155 Server) (CONFIG_ATM_AMBASSADOR)
  Enable debugging messages (CONFIG_ATM_AMBASSADOR_DEBUG)
Madge Horizon [Ultra] (Collage PCI 25 and Collage PCI 155 Client)
  Enable debugging messages (CONFIG_ATM_HORIZON_DEBUG)
Interphase ATM PCI x575/x525/x531 (CONFIG_ATM_IA)
  Enable debugging messages (CONFIG_ATM_IA_DEBUG)

ENI ドライバの"burst settings"を有効にすれば、 細かい調整ができるようになります。 デフォルトの設定では、 PCI チップセットがバッファオーバーランしてしまうようなら、 このオプションが必要かも知れません。 "burst settings"の変更に関連する詳細な説明については、 オンラインヘルプの "CONFIG_ATM_ENI_TUNE_BURST" を参照して下さい。

drivers/atm/nicstar.h ファイルには、IDT 77201 ドライバ用に、 いくつか変更可能な設定項目があることは覚えておいて下さい。

中には、互換性のあるカードでも使えるドライバがあります。 カードの互換性に関する最新情報は、 ATM on Linux information のページにあります。

その後、カーネルを構築してリブートして下さい。

2.4. ドライバのメッセージ

ENI155p-MF ドライバを使用するようにした場合は、 以下のようなメッセージが 2 行出るはずです (512kB は -C バージョンで、2048KB は -S バージョンです)。

一方、ZN1221/ZN1225 ドライバを使用するようにした場合は、 以下のようなメッセージになります。

Triton ベースのシステムで使いたい場合は、 最低でもリビジョンレベル 3 のボードが必要ですから、 注意して下さい。

"ATM over TCP" デバイスは、 atmtcp を用いて、後で生成するので、 "ATM over TCP" ドライバしか使わないようにした場合は、 スタート時のメッセージは出ません、注意して下さい。

2.5. メモリのデバッグ

メモリアロケーション用のオプションでデバッグ機能を有効にしたい場合は、 ATM ツールのコンパイル前に、MPR をインストールする必要があります。

バイナリの RPM パッケージをダウンロードすることにしたのなら、 MPR は次のようにすればインストールできます。

ソースを使うことにした場合は、 以下のようにして、mpr-x.x.tar.gz を展開して下さい。

それから次のコマンドを実行します。

MPR をインストールした状態でプログラムをコンパイルすれば、 mallocfree の一般的な誤用に関しては、自動的に検出します。 また、MPRPCMPRFI を設定しておけば、メモリの割り当て追跡機能が有効になります。 詳細は、MPR ディストリビューションにある、 doc/mpr.html や、あるいは doc/mpr.ps を参照して下さい。

メモリのデバッグ機能を入れても、 この二つの環境変数を設定しなければ、 実行時のオーバーヘッドはわずかなものにすぎません。

2.6. ATM ツール

さあ、最終段階です。ATM ツールの構成と構築を行ないます。 構成が必要なのは、スイッチに UNI 3.1 か 4.0 を使っているか、 もしくは何かバグがある場合だけです。 構成オプションは、linux-atm ディストリビューションにある、 ./configure に適切なオプションを渡す方法にしました。

ATM ツールは、次のコマンドを使って構築します。

./configure の起動時に、特に何も指定しなければ、 実行可能ファイルは make install で、 それぞれ /usr/local/bin/usr/local/sbin にインストールします。 設定ファイルは /usr/local/etc にインストールします (ただし hosts.atm は別です。 このファイルは /etc にインストールします)。 ライブラリはとヘッダーファイルはそれぞれ、 /usr/local/lib/usr/local/include にインストールします。 マニュアルページは、 /usr/local/man にインストールします。

2.7. 追加パッケージ

一部のプログラムは、 ATM 関連以外で既に配布されている、 大規模パッケージが元になっているものがあります。 いくつかのパッケージについては、 ATM on Linux のディストリビューションにパッチが入っており、 src/extra ディレクトリに置いてあります。

現時点で使用可能な追加パッケージは、次のとおりです。

tcpdump

ネットワークトラフィックのダンプ (ATM 用に拡張済み)。

ANS

ATM ネームサーバー (元は、named 4.9.5)

text2atm は、ANS が使えれば自動的に使用しますので、注意して下さい。 ですから、ans のインストールが必要なのは、 ネームサーバーの諸機能を提供しているシステムか、 ATM 関連の保守ツール (nslookup 等々) が必要な場合だけです。

hosts2ans.pl スクリプトは、 /etc/hosts.atm ファイルを ANS のゾーンファイルに変換するもので、 src/extra/ANS/ ディレクトリに置いてあります。 使用方法はこのファイルの冒頭で説明しています。