16. user_call プログラムの設定

user_call」プログラムとは実際は ax25_call プログラムと netrom_call プログラムのことです。 これらは ax25d から呼出されることを意図した、リモー トホストに対するネットワーク接続自動化用のとてもシンプルなプログラムで す。 もちろん ax25d 以外のシェルスクリプトや node プログラムのようなデーモンから呼出されること もあります。

やはりシンプルなプログラムである call と似ていま すが、これらのプログラムではデータの内容をいじるといったことは全くしま せん。 したがって、改行コードの取扱などは自分自身で面倒を見る必要があります

では、どの様に使うかの例を見ていきましょう。まず家庭内の小さなネットワー クを想像してください。 そして 1 台の Linux マシンが他のマシンに対して Linux 無線ゲートウェイ として働いているとします。 他のマシンとは、例えば、イーサネットで接続された BPQ ノードということ にしておきましょう。

無線ユーザーが BPQ ノードに接続するためには、通常、Linux 経由でデジピー トさせるか、または Linux マシンのノードプログラムに一旦接続してから再 度目的のノードに接続をかけることになります。 ax25_call プログラムを ax25d プログラムから呼出すようにすれば、この手順を簡単にすることができます。

BPQ ノードのコールサインは VK2KTJ-9 で、その Linux マシンには「bpq」という名前の AX.25 / イーサネットポートがあ るとしましょう。 またゲートウェイになる Linux マシンには「radio」と いう名前の無線ポートがあるとしましょう。

/etc/ax25/ax25d.conf に以下のような行を追加すると、

[VK2KTJ-1 via radio]
default    * * * *   *   *  *
		root /usr/sbin/ax25_call ax25_call bpq %u vk2ktj-9

VK2KTJ-1」 (その実体は ax25d デーモン) に接続したユーザーは自動的にインターフェイス 「bpq」から「VK2KTJ-9」へ AX.25 の接続を行うようになります。

他にも試すとよい設定は多くあります。 「netrom_call」や「rose_call」 ユーティリティは同じような使い方ができます。 このユーティリティを使えばリモートの BBS への接続がより簡単になります。 普段、リモートの BBS に接続を行うには長い命令を手で打ち込まなければな りませんが、ax25d にリモートへの接続の代理動作を 行なう行を追加すれば、まるでローカルネットワークに BBS があるかのよう にすることができます。