携帯用のシステムの場合はもちろんのこと、卓上機でも APM (Advanced Power Management) がつかえる機種が多くなっています。この章ではLinux のカーネル が備えている APM 機能を使用する方法を説明します。経験豊富な Linux ユーザー は退屈で読み飛ばしてしまいたくなるかもしれません。
APM の効能を詳述するのがこの節の目的ではありません。詳しくは Linux APM ド ライバのページ ( http://www.cs.utexas.edu/users/kharker/linux-laptop/apm.html を参照してください。知っておく必要があるのは「APM を使えば CPU が BIOS に "今はたいしたことをしていないから、BIOS 自身で電力節減に努め なさい"という指令を伝えられるようになるということだけです。CPU のクロッ クを遅くする、ハードディスクの回転を止める、ディスプレーのバックライトを 消す等は BIOS の仕事なのです。
システムを一時停止(あるいは休眠)状態にしたり、ハードディスクを一時停止 (または冬眠)状態にするのも APM の機能です。このほかかっこはいいけれどあ まり重要とはいえない機能としては、 shutdown -h でシステムを停止させずオ フにしてしまうというのがあります。
まともな APM BIOS を装備している会社ばかりではありません。つまり、Linux の APM ドライバと相性が悪いラップトップも中にはあるのです。(うまく行かな い場合には、立ち上げ時あるいは「一時停止状態」から復帰したときに固まって しまうことが多いようです)
簡単至極、カーネルを再構築するだけです。やり方を御存じない方は、 Kernel-HOWTOを御覧下さい。
設定書式の "character devices" の項には APM BIOS の部分があり、初 期設定では以下の通りすべての機能を利用するようになっています(2.0.30 以上 の場合)
Advanced Power Management BIOS support: Yes
Ignore USER SUSPEND: No
Enable PM at boot time: Yes
Make CPU Idle calls when idle: Yes
Enable console blanking using APM: Yes
Power off on shutdown: Yes
設定書式のヘルプ文書を御読み下さい。各選択項目の詳細な説明はこのヘルプ文 書に記載されているので、ここでは割愛させて頂きます。
御使いのシステムが APM BIOS 基準の機能を完全には満たしていないような場合 に特定の選択項目を利用すると、システムがクラッシュしてしまうかもしれま せん。新しいカーネルを使う際には APM 機能を一通り試して、うまく稼働する かどうかを確認してください。
(画面の消灯に関する註記: David Bateman 氏の報告によると、現行バージョン である XFree 3.2 とは相性が悪いので「画面消灯機能」は使えないとのことで す。同氏は「X を起動すると、画面が消灯してしまうという症状がでます。この 症状は任意のキーを押してやると解消できるのがふつうです。これは些細な問題 ですが、いらいらの種となるのも確かです。次の XFree は様々なラップトップ チップセット用の DPMSをしっかりとサポートする予定で、その中には LCD をオ フにする機能も含まれるはずです。XFree 3.2A にある xset のマニュアルを参照 してください」と述べています。同氏はさらに「ディスプレーのバックライトの 寿命は、点滅の回数によって決まります。したがって、電池の持ち時間をとるか、 バックライトの寿命をとるかという点で妥協が必要なのです」とも報告している)
カーネルの再構築を済ませた後には、忘れずに Linux の PCMCIA ドライバも再 構築するようにしてください。
大抵の配布に同梱されている構築済みの PCMCIA ドライバでは APM が使えないよ うになっています。したがって、BIOS はカードアダプタを「切」にすることが できません。
カーネルを新しい版にした場合やもとの版が "module version information"「あ り」で構築したものであった場合には、ドライバの再構築が必要です。("module version information" の選択項目はカーネル設定の "loadable module support" の項にあります)
PCMCIA ドライバを構築する方法の詳細については PCMCIA-HOWTO を御読 み下さい。あるいは Linux PCMCIA ドライバのホームページである http://hyper.stanford.edu/HyperNews/get/pcmcia/home.html をお訪ね下さい。
APM の組み込みを済ませたら、apmd パッケージを Linux APM ドライバの頁から 取得してください。これは絶対に必要というものではありません。しかしこれに は有用なプログラムが集まっています。apmd デーモンは電池の挙動を記録し、 電池が消耗すると警告を発してくれます。apm はシステムを一時停止させるため のシェルコマンドです。また、xamp は電池の現況を表示するものです。
(注:一時停止状態から復帰した際に PCMCIA カードに問題が発生するような場合 には、別の apmd パッケージを http://www.cut.de/bkr/linux/apmd/apmd.html から入手してください。これは一時停止状態にはいる前に PCMCIA ドライバモジュ ールを取り除き、復帰時にこれを再ロードする機能を備えています)
コンピューターの BIOS が省電力機能を全くサポートしていない場合(apm がない 古い BIOS でも少なくともハードディスクやディスプレーを待機状態にすること は可能なはずです)にも、 hdparm -S でハードディスクの待機時間を設定するこ とができます。これだけでも効果は絶大です。ハードディスクは大量の電力を消 費するからです。hdparm は組み込み済のはずですから、hdparm のマニュアルを 読んで命令の書き方を調べてください。