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1. 何が必要か

本書では、ひとつのパーティションに Red Hat のようなディストリビューションを インストールし、もうひとつのパーティションを新しい Linux システムの構築のため に使うこととする。 構築中のシステムを 「ターゲットシステム」 と呼び、それを構築するため に使っているシステムを 「ソースシステム」 と呼ぶ。(「ソースコード」という言葉 も使うが、そちらと混同しないようにしてほしい)

それゆえ、ふたつの空いたパーティションのあるマシンが必要になる。可能なら、大 切なものが何も乗っていないマシンを使ってほしい。ソースシステムとして既にイン ストールされた Linux を使うこともできるが、わたしはお薦めしない。実行するコマ ンドのひとつにパラメータを付け忘れただけで、システムに偶然余計なものをインス トールすることがある。それがシステムに不整合と不和を引き起こすことがあり得る からである。

486 やそれ以前のふるい PC ハードウェアには、bios に困った制限がある。bios が、ハードディスクの最初の 512M を越えた領域を読み込めないのである。Linux の 場合、一旦立ち上がれば bios を通さずに直接ディスクにアクセスできるのでそれほ ど問題ではないのだが、Linux がそうした旧いマシンにロードされるためには、カー ネルが 512M 以下の領域になければならなくなる。もしそうしたマシンを持っている なら、512M の境界を越えたパーティションを活かすために、512M の境界以下に /boot としてマウントされることになる完全に独立したパーティションを作る 必要がある。

最近わたしが実験をした時には、ソースシステムとして Red Hat 6.1 を使った。そして ベースシステムに加えて、次のパッケージをインストールした。

わたしは文書が簡単に読めるように X-window と Mozilla(Netscape) も加えたが、 これは必須ではない。その作業が終わった時点で、350M のディスクスペースを使って いた。(思ったよりも大きいのだが、なぜだろう?)

完成したターゲットシステムは 650M の容量を占めた。ただ、これにはすべてのソース コードと構築のときの中間ファイルが含まれている。容量が厳しい場合は、それぞれ のパッケージをビルドした後で 'make clean' をすればよい。それにして も、この予期せぬ肥大化は少し心配である。

最後に、これから構築しようとするシステムのためのソースコードが必要になる。 この文書で述べてきた「パッケージ」というのがあり、それらはソース CD やインター ネット上で手に入る。USA のサイトと Australia のミラーサイトの URL を以下 に書いておく。(訳注:翻訳時において、この Australia のミラーサイトはアクセス できませんでした)

以上を整理すると、構築に必要なのは、

ソースシステムについては、手助けがなくとも、自分でインストールできると思う。 ここからは、すでにそれがなされていることを前提にする。

この小さなプロジェクトの最初の到達点は、カーネルが起動して、init を見つけられないためにパニックを起こすところまで持っていくことである。これは、 カーネルと lilo をインストールすることを意味する。しかし、 lilo をすんなりインストールするには、ターゲットシステムの /dev ディレクトリにデバイスファイルが必要となる。 lilo はブートセクタに書込みをするためにローレベル(low level)のディス クアクセスを必要とするからである。MAKEDEV はそうしたデバイス ファイルを作るスクリプトである。(もちろんソースシステムからそれらをコピーす ることもできるが、それではごまかしになってしまう。)しかし、まず最初に、これら すべてを収容するためのファイルシステムが必要だ。


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