6. 付録: DSL の概略

DSL は電話回線で実現する技術で、既存のより対銅線を使って、専用で高速な インターネット接続を実現します。DSL(特に ADSL)の長所として大きいのは、 "POTS"(Plain Old Telephone Service)と言われるこれまでの音声 サービスと回線を共有できる点にあります。これは音声が利用する範囲(電話は 4 KHz まで)とは異なる、より高い周波数を利用することで実現しています。本来は これで 1 回線を 2 回線にできます。1 つは POTS、もう 1 つはインターネット 接続です。すべてがうまく動いていれば、"回線間"には何の影響 も生じません。このことは DSL を一般消費者ベースに広げていくことを可能に し、かつプロバイダのコストを最小限におさえることにもつながります。

DSL は個人自宅もしくは SOHO 市場にターゲットを当てていて、高速なインターネット 接続をリーズナブルな価格で実現したい人向けになっています。普通は専用で割り当て られるので、"常時"接続が可能で、ローエンドからミドルレンジの 帯域が必要なサーバ向けにも利用できます。また、小規模な LAN が接続するのにも 最適です。Linux のパワーユーザが広い帯域を欲しい場合にもぴったりです :-)。

電話会社やその他独立系の電気通信事業者(CLEC)は、DSL をケーブル TV 会社の サービスと同等のものとして広げています―ケーブル TV は、一般消費者や SOHO 相手のサービスの競合者です。これによって"市場の取り合い"が 泥沼化し、さらに競争が激化し(いいことです!)、消費者市場に多少の混乱が出る ものの、選択肢がかなり広がっています。DSL のプロバイダ(たいては電話会社 ですが、そうではない場合もある)は、DSL のインフラを提供しています。これは 回線であったり、DSLAM であったり、外部との物理的な接続であったりします。 これを従来からインターネット接続サービスを提供している ISP が利用して いるわけです。

一般消費者向けの DSL は、普通"ベスト・エフォート"サービス です。T1 並みの速度を豪語し、場合によってはそれを凌駕しますが、T1 ほど 信頼性があるわけではありません。ビジネス対象の DSL は一般消費者向けより もコストがかかりますが、割り高な分だけ信頼性と帯域が好条件となります。 全般的に見て、DSL のコストはこれまでの電話会社のサービス、たとえば T1 と 比較して、自宅や小規模なビジネスにとって魅力的であり充分に手頃です。

DSL プロバイダは、個人ユーザ向けにはサービス規約を定めていない場合がよく あります。一方ビジネス・クラスの DSL サービスは、普通 T1 回線で定めて いるような SLA(Service Level Agreements サービス水準についての規約)を 持っています。

マイナス面として、DSL はどこでも利用できるわけではない、という点があり ます。利用しやすさや利用できるビット・レート(速度)は、どこに住んでいるか、 電話会社があらかじめ用意しておく必要がある設備をどこに設置しているかに よります。どのくらい電話局にある DSLAM から離れているか、電話線(回線)の 質はどのくらいか、ということにも左右されます。

6.1. DSL の仲間

6.2. DSLAM

この技術は、DSLAM(Digital Subscriber Loop Access Multiplexer)が電話局や離れた 場所にうまい具合に配置されたことで、実現可能になりました。これは AlcatelCisco が供給しています。 DSLAM には、様々な形や大きさがあり、DSL 接続する中でただ 1 つ複雑で高価な 構成要素です。一定の品質を持つ電話回線にユーザ側がモデムで接続すると、高速な デジタル接続が確立します。一般的に局側では ATM もしくはフレームリレー網になっ ています。DSLAM は信号を音声チャネルとデータチャネルに分離します。音声は 電話会社のネットワーク上を伝わり、データは ISP(普通は)に伝わります。

図 4: 典型的な DSL 接続経路 -->


 Voice -+                                               +---> Voice 
        |<-- copper loop --> DSLAM/CO <--{ATM cloud}--->|
 modem -+                       |                       +---> Inet
        |                       |                       |
 ether..|..... DSL/ATM here ....|.... raw ATM here .....|.. TCP/IP ..
        |                                               |
 SOHO...|............ telco (ILEC or CLEC) .............|.. ISP ..| NSP
 
   

6.2.1. 同期

DSLAM への接続が良好に動作することを"同期する"と言います。たい ていはモデムの LED で確認できます。同期しなければ、何も起こりません。モデム はプロバイダが事前に設定した制限の値で同期速度を確立します。この制限値 もしくは"最高限度上限値"はプロバイダ側が決定し、提供される サービス内容の一部でもあります。 モデムは"最高限度値"より高い値で同期するかもしれませんが、 プロバイダ側が強制的に"最高限度上限値"にまで速度を落とします。 つまり ADSL は理論的には上りで 8 Mbps まで出ますが、その速度を体験することは できません―もちろん、プロバイダが 8 Mbps のサービスを提供していないなら。 たいていのサービスはこれを下まわります。

下記は、SpeedStream の 5660 モデム・ルータに telnet を使って得られた接続情報 です。この例だと、利用者は、下り 1.5 Mbps、上り 384 Kbps のサービスを受ける ようになっています。


 Command-> show dslstatus

 --- Channel Info               ATU-R                    ATU-C
  Current TX Rate  -           384000                  1500000
  Previous TX Rate -                0                        0
  CRC Block Length -                -                        -
  Interleave Delay -                -                        -
 
 --- Physical Layer Info        ATU-R                    ATU-C
  Current Attainable Rate -    448433                  3890243
  Current SNR Margin      -      10.5                     17.0
  Current Attenuation     -      54.5                     31.5
  Current Output Power    -       3.0                     16.0
  Current Status:
   Defects detected       -        No                       No
   Loss of Framing        -   No Loss                  No Loss
   Loss of Signal         -   No Loss                  No Loss
   Loss of Power          -   No Loss                  No Loss
   Loss of Signal Quality -   No Loss                  No Loss

 --- ATU-R Line Status
  Line Coding - DMT
  Line Type   - Fast or Interleaved

 Command->

まず最初に注目する点は、"ATU-C" の列にある "Current Attainable Rate" です。これはモデムと DSLAM がネゴーシエーションした 結果の下りの同期速度です。ここでは 3.5 Mbps という数字になっています。しかし、 実際の速度は制限され、下り 1.5 Mbps、上り 384 Kbps になっていることが、列の 最初の "TX Rate" からわかります。これはこの接続の理論的な制限 になります。この制限もしくは"最高限度値"は、DSLAM によって設定 でき、上りについてもこれと同様に行います。最初の列にある "TX Rate " がプロバイダが指定した制限より低い場合は、何か接続上で問題が生じて いることを示しています。恐らく距離によるものか、何かしらかの回線上の障害に よるものです。

実現可能な同期速度とは、数多くの要因を組み合わせた結果です。要因とは、DSLAM への回線距離や建屋内外部の配線の品質、回線の規格、その他様々な回線の要因が あげられます。一方において、実際に測定できる現実的なスループットは、まず同期 速度に依存するといってもいいでしょう。上記の例でも同期速度は低く、500 Kbps という値がその接続の最大値となっていました。利用者が 1.5 Mbps のサービスに お金を払っていてもです。

次に注目する点は、スループットが ISP のネットワークにも依存している点です。 その上流のプロバイダにも依存しています。だいたい 10 〜 20 % 程度 ネットワークによるオーバーヘッドで失われています。上記の例でも接続は 1.5 Mbps に制限されており、実際の現実的な最大のスループットは、オーバーヘッド を考えると 1.2 〜 1.3 Mbps 程になると思います。その上一度でもインターネット にきちんと接続したなら、スループットに影響を与える要因があまりにたくさん あるために、これまで準備したことが無駄になってしまいます。 過負荷で忙しいサーバに対しては、DSL 接続がいかに速かろうと遅くなってしまい ます。

6.3. DSL モデム

接続の末端にはモデムが存在します。モデムは、より対線経由で電話会社の 終端である DSLAM に直接接続していて、自宅側では壁にあるジャックに挿して あります。万事うまく行けば、モデムは DSLAM と "同期"し、 ISP と IP 接続されてインターネット接続を開始します!

Linux ユーザにとってモデムは大切な検討材料です! ISP から提供を受けるモデムの多くは Linux では利用できません。 外付けでイーサネットのインタフェースがあるモデム(もしくはモデムとルーター が組み合わされたもの)が確実な方法です。理由は他に選べるモデムの多く (PCI や USB、オンボードタイプ)には、現状ドライバが無いためです! イーサネットベースのモデムはうまく動作します(モデムのセクションにある最新の互換性のあるモデム の一覧表を見てください)。

イーサネットタイプのモデムで、唯一互換性の問題があるとすれば、それはネット ワークカード(NIC)です。(実際に互換性のある NIC なら問題なく動作します― 100 Mbps はまったく必要ありません) PCI や USB タイプのモデムは問題をいろいろ 起こしがちなので、多分 NIC の方がうまく行くと思います。加入したプロバイダ が互換性のあるモデムをオプションとして提供していない場合は、他のプロバイダ に当たるか、サードパーティの互換製品を購入しなければなりません。

いつものごとく例外があります。Xpeed は、2 種類の PCI モデム にカーネル組み込みドライバ(2.2.18 用)を用意しています。 これは素敵なことです。Alcatel の ADSL SpeedTouch USB モデムにも Linux 用のドライバが出ました。Diamond は 内蔵 PCI モデム用にバイナリのみですがドライバを用意しました。しかし広く 使われてはいません。Efficient Networks は、SpeedStream 3060 と 3061 という PCI モデムで Linux 用ドライバが動作しているという報告が あります。モデムに ATM カードを追加して、直接 ATM 接続もできるようです。 しかし私が知る限りでは米国でこのシステムは使われていませんので、実現可能 な選択肢とは考えるべきではありません。またこれにはカーネル 2.4 が必要となり ます。

現状実際に最も多く使われているモデムのタイプは、"ブリッジ"と モデムを組み合わせたものです。ブリッジは単純なデバイスで、普通はほとんど 設定がいりません。ネットワーク上のトラフィックは、ATM 側からイーサネット側 のブリッジへ双方向に無条件で流れます。モデムとブリッジが接続しているインタ フェース(普通は NIC)が公開されるところになります。

ISP の中には"ルーター"を用意しているところもあります。基本的 にはモデムとルーターの組み合わせで、NAT を利用できます。またポート・フォワー ディングができたり、ハブを内蔵していたりといった機能強化を行っている場合が あるかもしれません。これらはすべて外付けタイプなので、うまく動作するはず です。しかし恐らく Linux ユーザにはあまり関係はないと思います。というのも Linux はこれらの機能をより高度に実現できるからです。厳しく管理している Linux マシンは、ファイアーウォールやゲートウェイ、プロクシとして卓越した 機能を持っているからです!

ややっこしいのはオール・イン・ワンタイプのデバイスです。ブリッジとルーター とモデムを組み合わせたものは"ブルーター"と呼ばれることがあり ます。この場合、モデムはブリッジ・モードやルーター・モードとして設定する ことが可能になっています―しかし同時に両方は無理です。

プロバイダはすべて、何種類かのモデムを利用可能としているはずです。ISP の 多くは、1 種類以上のモデムをオプションとして用意しています。中には追加 料金無しでモデムを渡してくれるところもあります。無料のモデルを提供する ところもあり、もっと高機能で優れた別の機種に対して、費用を請求するところ もあります。ISP が提供するモデムの多くは通常の流通経路で販売していません。 自分で購入したいと思ったなら、中古製品のアウトレット(たとえば、ebay)を 当たるか、ISP がサポートしていないモデム(問題があってもサポートは何も得ら れないでしょうが)を購入することになるでしょう。

ISP の中には通常の流通経路では用意できないモデムを提供しているところが ありますが、DSL モデムで勢いに乗っている製造業者はたくさんあります。その ような業者は選択肢となりえる優れた製品を売り出しています。たいていは機能 を大幅に強化していています。現状では Alcatel や Intel、Zyxel、Cisco、3Com、 Cayman から製品が出ています。価格はモデルや利用できる機能にもよりますが、 US $100 を少し越えたところから $800 というところです。認証 やカプセル化(DHCP や PPPoE 等)を持っているものがほとんどです。

どのモデムがいいのでしょうか? 簡単に言うと、「いいものはありません」。 速度という点では、モデムにはそれほど要因となるものがありません。しかし、 たとえば診断機能やモデムとルーターの組み合わせなどの機能強化を行ったものは 存在します。イーサネット・モデムは一般的には信頼性があるものと考えられて います。IRQ の設定に問題があったり、ドライバのバグ等で困ることはほとんど ありません。したがって Linux ユーザがイーサネットモデムに追いやられるのは、 一見不幸せですが実は幸いなことなのです。他にいいものはないのでしょうか? ほとんどが新し過ぎるために、メーカーやモデルを比較検討した充分確かな実績が 残念ながらありません。言い換えると、古い外付けのイーサネットモデムでうまく いくはず、ということです―プロバイダの DSL にマッチしており、そのサービス 向けに設定してあるからです。間違っていることもありえるのを忘れないでください。

Warning

サードパーティ製のモデムやルーターを購入する場合は、DSL プロバイダと互換が とれていることを必ず確認してください。メジャーな ADSLの符号化は、2 種類(CAP と DMT。別名 Alcatel 互換)あり、IP のカプセリング化もいくつかの選択肢が あります。また種々の DSL(SDSL や IDSL 等)には、それぞれ独自のモデムが必要と なります。プロバイダは互換製品の一覧を用意しているはずです。また、その ISP のサービスに沿った設定をしなければならない場合もあるかもしれません。 どちらにしてもモデムなしでうまくいくとは思わないでください(実際、プロバイダ から支給していなくとも)。

6.4. ISP との接続

モデムは DSLAM に接続していて、DSLAM は電話会社の ATM ネットワーク(もしくは フレームリレー網)に接続しています。ISP はこの地点で接続します。普通 traceroute で最初のホップとして表示する地点が ISP のよう です。この地点までがすべて OK なら後は電話会社もしくは DSL プロバイダの管轄 となります。ISP は電話会社の ATM ネットワークを使って高速にデータ接続を 行っています。通常 ATM は DS3 (45 Mbps)あるいは OC-3 (155 Mbps)を利用して います。ここで大切なのは、ISP は接続するために電話会社と"契約を結ぶ "必要があるということです。ISP はこれまで行ってきたサービスである 電子メールや DNS、news 等を提供するのに、接続に 2 ステップを必要とします― あるプロバイダからの DSL 接続とあるプロバイダからのインターネット接続が それです―請求書は 1 つになっているかもしれませんが。

米国のすべての Baby Bell(RBOC)は、ISP 業務も行っています。もちろん自分たちの DSLAM に接続し、インターネット接続サービスを電話会社の子会社である ISP を 使って提供しています。独立系 ISP の多くは、ILEC の DSL サービスを利用して いて、つまるところ、ILEC の DSL サービスの"リセラー"になって います。基盤となるインフラも同様で、1 社以上の ISP が 1 つの電話局を結果的 に利用しています。消費者にとっては、機能や価格の面で選択ができ、好ましい ことだと思います。

現在米国市場において、CLEC(independent telco) は自分たちで DSLAM を設置して います。これは ILEC と真っ向から競争していることを意味します。この筋書きだと 同じ電話局内に 2 つ(もしくはそれ以上)の DSL プロバイダが存在することになり、 それぞれ自分たちの DSLAM を持ち、競合することになります。これは ISP の立場 をさらに複雑にし、DSL プロバイダはそれぞれ複数の ISP と"提携" することになります。運が良ければ、色々なプランや価格体系から選べるでしょう。

現状米国市場では淘汰が進んでいます。独立系はどこも地域電話会社の潤沢な資金 との戦いに四苦八苦しています。独立系で生き残ったところは、小規模なビジネスや ハイエンドな消費者を顧客としてターゲットを絞ってきています。これはコスト が更にかかりますが、より多くの利益を期待できるはずだからです。特に品質が 求められる分野では。

通常はサービス契約は ISP と結び、DSL プロバイダとは結びません。これは 実際に DSL を提供しているところが"黒子"になっていることを 意味します。場合によって変わることがありえます。というのも DSL プロバイダ と ISP の両者に対して別々に契約を結ぶことになるかもしれないからです。

付録のリスト Linux に好意的な ISP を参照して ください。

6.5. アベイラビリティ(可用性)

DSL を利用できるのは誰でしょうか? まず必要なのは、電話会社がユーザの近辺の どこかにハードウェアを設置していることです。通常は電話局になります。 電話局の選択の余地はユーザにはありません―自宅に来ている回線がどこで終端して いるかによります。電話局に DSLAM があり、他に必要な機材があるなら、DSL を利用 できる可能性が出てきたことになります。"事前品質検証"というステップ を踏んでサービスが受けられるようになります。

いよいよ"遠隔端末(別名 DSLAM)"が設置され、やっとのことで 電話局からはるばるとうれしい便りがやってきます。電話局との距離は一度 OK になれば 制約する要因とはなりません。

6.5.2. 品質認定

その地域で利用可能なことが分かれば、次は回線の"品質認定"です。 プロバイダは様々なテストを行って、DSL の信号が回線に乗るかどうかを確認 します。このテストで回線が DSL をどの程度利用できるかを判定し、ユーザは どのサービスを利用するのが適当なのかがわかります。たぶんこれに見合った サービスを申し込むことになると思います。このテストは、様々なテストを 組み合わせて行うので、かなり込み入っています。回線品質を"下げる "と考えられる要因はたくさんあります。最も大きい制限は距離です。

DSL はすべて距離という制限があります。ADSL は約 18,000 フィート(5.5 km)の 回線が限界ですが、実際はプロバイダによってまちまちです。遠ければ遠いほど 信号は弱くなり、接続品質が落ちる可能性が大きくなります。ADSL に関しては、 1.5 Mbps 近くの速度を得ようと思うなら、約 12,000 フィート(3.7 km)以内に いないと厳しいものがあります―他の条件がすべて同じなら。IDSL はより遠く まで可能になりますが、それは IDSL の最大速度が、上り下りとも 144 Kbps という著しく低い速度だからです。

充分に近くでも、回線の品質を下げる可能性のある要因はたくさんあります。 代表的な障害要因は、装荷コイルとブリッジ・タップです。これらはこれまでの 電話というインフラにとっては効果的なものと見なされていましたが、新しい デジタル化技術にとっては、邪魔ものになっています。このような思わぬ障害に ぶつかるか、ぶつからないかはほとんど運次第です。光ファイバが回線のどこか 途中にあっても品質は下がります。プロバイダは回線を"完璧に"する 作業をするかもしれません。どの程度まで遠くてもいいのかは、プロバイダによって まちまちですし、またさらに設置までの過程に余分な時間がかかるでしょう。

回線の品質が"問題なし"となったら、次のステップは条件に合った プランを決めることです。プロバイダはその回線で扱える信号がどのくらい強いのか によって、プランをいろいろ用意していると思います。ぎりぎりのところに居る なら、高速なプランは適切ではないでしょう。料金が気になるなら、段階分けして ある料金体系がいいでしょう。低速なプランは料金もその分低いからです。この 料金体系の段階の付け方も、プロバイダごとにまちまちです。DSL は新しい サービスなので、プロバイダは適正な料金と機能の組み合わせを模索しています。 この組み合わせ次第でユーザの大半を引きつけ、競争で優位に立てるからです。

通常のデータ転送速度は下記の通りです。

    
下り/上り

  128 Kbps/128 Kbps
      
  256 Kbps/256 Kbps 
      
  384 Kbps/128 Kbps 
      
  640 Kbps/90  Kbps
      
  1.5 Mbps/384 Kbps 
      
  2.0 Mbps/512 Kbps
      
  7.1 Mbps/1024 Kbps

  

この他にも、限りなく組み合わせがあります。速度が上がるほどプランの料金が 変わるのが一般的です。

回線の品質に問題があっても、他にも選択の余地があるなら、次の選択肢を 取りましょう。 適切な回線の長さを計算することは、厳密な科学とはとても言えません。あまりにも 間違いが入り込む余地があり過ぎるからです。またプロバイダの中には、回線を "整備する"ことで、より遠距離に対応するところもあります。また、 2 本以上の電話回線を引いていて、1 本が駄目だったなら、他の回線も試してくだ さい。というのも、どれもその場では終端してありますが、それで必ずしも電話局 から同じ距離であることを示しているわけではないからです! 電話会社のネット ワークは何があっても不思議ではないのです。

6.6. プロバイダを選ぶ

2 つ以上の選択肢を持つべきなので、ここではプロバイダのサービスを比較する場合 に気をつける点をいくつかあげておきます。人口が多い地域にいるなら、たくさん の選択肢があるかもしれません。その可能性は現状では極めて高い状況です。 あわせて覚えておいて欲しいのは、接続には 2 ステップあるということです。それは DSL プロバイダと ISP のことです。それぞれを選ぶことになるでしょう。

この他にもたくさんのオプションや機能があります。それらも見るに値するかもしれ ません。複数の IP アドレス、ドメインのホスティング(DNS)、無料の Web スペース、 電子メールのアカウントをたくさん持てる、Web メール等。あれこれ考えてみると、 確かに良いプランほどコストがかかっているのでしょう。