2. 始める前に

2.1. Linux 上での印刷に必要なもの

Debian でのプリンタ設定に必要な主なものは以下のとおりです。

2.2. 必要なパッケージ

プリンタの設定に必要なプログラムやライブラリは標準の Debian アーカイブに用意されており、 普通の Debian パッケージングツールを使ってダウンロード、インストール可能です。 必要なパッケージ は以下のとおりです。

以上のパッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

apt-get update
apt-get install cupsys cupsys-bsd cupsys-client foomatic-bin samba smbclient gs-esp a2ps

プリンタによっては、上に示したパッケージ以外のパッケージを必要とする場合があります。 たとえば、HP 社のインクジェットプリンタには、 hpijs パッケージのインストールが必要です。

2.3. CUPS ローカルプリンタ設定

lpadmin コマンドでプリンタを設定します。たとえば、 CUPS でレーザープリンタを設定するには以下のコマンドを実行します。

/usr/sbin/lpadmin -p Laser -v parallel:/dev/lp0 -P /root/laser.ppd
/usr/bin/enable Laser
/usr/sbin/accept Laser
/usr/sbin/lpadmin -d Laser

ここで bash シェルには enable ビルトインコマンドがあるので、bash をご使用の場合、 プリンタを使用可にするにはフルパス (/usr/bin/enable) で実行してください。

一行目のコマンドでは、プリンタを新規に作成しています。 -p オプションで "Laser" というプリンタ名を指定、 -v オプションで初めのパラレルポートへの接続を指定、 そして-P オプションで PPD ファイルとして /root/laser.ppd の使用を指定しています。次に、 "Laser" プリンタを使用可能にし、印刷ジョブを受け付けられるようにするため、 enableaccept コマンドがあります。最後のコマンドで、 "Laser" プリンタをデフォルトプリンタに設定しています。 詳しくは、CUPS のドキュメントを参照してください。

2.4. Linux プリントの基礎知識

lpr、あるいはlp コマンドにファイル 名を渡すことで印刷が行えます。また、lpstat -olpstat -p コマンドで、プリントキューやプリンタの状況を見ることができます。 印刷ジョブを取り消すには、cancel、 または lprm コマンドに続いてジョブIDを入力します。

cupsd という CUPS スプーラデーモンは、まず文書を PostScript へ変換し、 さらにプリンタにネイティブなフォーマットへ変換するという機能を提供します (Figure 1参照)。PostScriptに対応していないプリンタには、 ラスター化したフォーマット, あるいは bitmap フォーマットを使います。 ラスター化したフォーマットの弱点は、オリジナルの PostScript 版よりも 文書サイズがかなり大きくなってしまう点と、 プリンタへの送信にかかる時間が長くなるという点です。

フィルタ(Filter)は、文書のフォーマット変換に使われるプログラムです。 CUPS スプーラーは、送られてきた文書に適したフィルタを探します。 適したフィルタが見つからない場合、次のようなエラーメッセージが表示されます。 lpr: unable to print file: client-error-document-format-not-supported.

多くのアプリケーションは、そのアプリケーションの文書フォーマットに対応 するフィルタを用意していません。このようなアプリケーションで作成された文書は、 PostScript または他の標準フォーマットに変換しないかぎり、 そのアプリケーションでしか印刷できません。