3. Linux に女性を招くための「べき・べからず」集

女性を Linux に招くということは「やるべきこと」と「やめておくべき こと」の両方を学ぶということです。ここで私達の考え方を「やるべき」と 「やめておくべき」ことのセットにして伝えるのは、どちらか一方では両方揃っ たときほどの効果は得られないからです。あなたにとっては当たり前で分かりきったことかもしれませんが、それが当たり前でない人も多くいるのです。ここでの提 案の全てが、この考え方を知らない人と実生活で出会った複数の体験に基づい ています。この一部たりとも切捨てないようにしてください、これはあなたが Linux の魅力を共有したいと思っている実際の女性達からの現実的な提案です。またここでの提案は女性だけに適用されるものでは なく、どんな性格の人をも Linux に惹きつけるために役に立つものです。

3.1. 性差別的なジョークを言わないこと

性差別的なジョークはどんなグループからも女性を遠ざける一番の原因であり、 かつ人々が思っている以上に巷にあふれています。性差別に関するジョークを言わないと公言する男性が舌の根も乾かないうちに妊婦や月経時の気分の高ぶりに関するジョークを言い放つ場面に私は何度も遭遇しました。 その男性は性差別的なジョークを言ったと思っていないこともあります、 例えば「ブロンドジョーク」は実際には「おろかな女」をネタにしたジョークです。 またそういう男性は私に向かってジョークが真実か、面白ければ(誰にとって?) 構わないと言ったこともあります。いかなる種類の性的なジョークもその前後関係は一切関係なく女性を笑いものにし、 多くの女性を怒らせるものであることが理解できない人もいます。 男性についての性差別的なジョークを先に言っておいた上で、 後で女性について同様なジョークを言うようなやり方は全く救いになりません。

女性があまり神経質にならないようにすべきだと言う主張は結構ですが (私は同意しかねますが)、それでもどちらにしろ、コメントやジョークにより女性達は遠ざかっていきます。 それを望まないのであれば性差別的なジョークは慎むべきです。 自分のジョークが性差別的なものかどうか判断がつかないのであれば、 他の内容を話すようにしてください。

3.2. 性差別的なジョークには断固たる態度で応ずること

次に女性に関するジョークを言う人を地元のメーリングリストで見たり会ったりしたときは、 抗議しましょう。抗議することで逆に冷やかされたりすることは避けられませんが、 女性にとってこういったジョークに抗議するのは男性がそれをするよりも更に難しいのです。 女性達は性差別的なジョークを言われても、抗議した途端に神経過敏とか怒りっぽい、 あるいは「フェミナチ (faminazi) 」扱いされるので黙っています (註―「フェミナチ (faminazi) 」という言葉は決して使ってはいけません、この言葉はフェミニスト達を貶め、ナチスの大量虐殺の犠牲者を矮小化するものです。Rush Limbaugh のような人々を「男性の狂信的な愛国主義者 (male chauvinazis) 」 と呼ぶことが馬鹿げて聞こえることを考えれば、 「フェミナチ (faminazi) 」という言葉がどんな感情を呼び起こすか理解できるでしょう。)

訳者註― Rush Limbaugh 氏は米国のマスコミによく登場するコメンテイ ターで愛国者的な発言で有名ですが、リベラルな人達からは、特定の愛国主義 的な団体の助力でマスコミに登場しているだけで自分自身には定見の無い三流 コメンテイターと見られているようです。

性差別的なジョークに対してはユーモアで応酬するのが最も良いやり方です。 女性による専門的な業績を取り上げた投稿に対して「彼女は独身ですか」 というような応答をする者がいた場合は、「はいはい Jeff さん、 あんたと結婚する物好きがいたら見てみたいよ」と返しましょう。 女性は性差別的なジョークやコメントを見かけると例外なく怒りを覚え、 仲間はずれにされたような気がし、けなされたように感じます。性差別的なジョークなどに対して抵抗する男性がいれば、その女性は仲間にされており尊重されているといつでも感じるでしょ う。

3.3. 人をあばずれ呼ばわりしない

「あばずれ (bitch) 」(及び類義語)を使うことは、 どんな女性を指すにせよ女性に対する侮辱です。 私が「あばずれ」という言葉をわざわざ「べからず」集に加えたのは、 「あばずれ」が「侮辱である」という認識が、 私が思っていたほどにわかりきったことではないからです。 最近でも Linux 開発者が「あばずれ」という言葉を真面目な態度で 明らかに無頓着に使う場面に出会いましたので。

3.4. 相手のことを尊重する態度を示すこと

心惹かれている女性だけでなく全ての女性について話題にするときにはもちろん、 女性だけでなくあらゆる年齢・風体の人について語るときには尊敬の意を込めるようにしてください。 そうでなければ女性達は、自分達があなたが侮辱している人と同じように扱われるだろうと感じ、 あなたを避けるようになります。

3.5. キーボードを取り上げないこと

このことは他人に新しいことを教えるときにはいつも起こる問題です が、女性に教えるときに特によく起こります。質問をした者がいるときに、質 問に答える代わりにキーボードを取り上げて自分でコマンドを打ち込んでしま います。これをやってはいけません!これをやってしまうと教わる側は余計に覚えにくくなり、 おまけに腹立たしい気持ちになり、無力感にとらわれます。 本人に覚える気持ちがあるのであれば、 よほどのことが無い限りは自分自身で試してみて覚える機会を作ってあげてください。 となりの女性が席を外している間に Apache の設定ファイルを修正してあげることであなたは友達によいことをした 気分かもしれませんが彼女が Apache の設定について学ぶ気持ちがあった場合、 あなたのやったことは彼女への手助けとはなりません。

3.6. 指示と説明は明確に

何をすべきか、なぜそうすべきかを根気よく時間を掛けて説明し、入力するコマンドのスペルを教えるのは確かに大変なことです。 しかし長い目で見れば、そうすることは有益で教えられた人は学んであなた自身は同じ 質問に2度答えなくとも済むようになります。特に女性は自分自身でコマンド を打つように仕向けられることで自分の能力に自信を持てるようになります。

3.7. 女性に対して口説き文句を言わない

スポーツファンで満員のバーやパブを想像してみてください、 そのバーの客達はあなたが詳しくないあるいは好きでもないゲームのファンです。 客達はみなあなたより背が高くて屈強な体つきをしていて、あなたにはわけのわからない用語を、 連発し、自分達が好きなスポーツに熱を上げていない者を軽蔑しています。 ここで、そのバーに入って行くときに「どんなスポーツだって好きじゃない」 というシャツを着ている光景を想像してみてください。しばらく考えてみて、 どのように感じましたか?心細い?心配?違和感?あるいは疎外感でしょうか?

あなたは大勢の男性の集まりに女性が入ったときに似た、 ローティーンの女の子の気持ちが少しは分かってきましたね。

この章の残りの部分を読む際には今の心細い気分を心に留めながら読んでください。 あなたが LUG やオンライン上で女性をすぐに口説くと、その女性はコミュニティから疎外され、 攻撃にさらされ、あなたをはねつけたり機嫌を損ねたりすると村八分にされる危険にさらされているような気分になります。 親密な一対一の状況では彼女は心置きなくあなたをはねつけますが、 そうではないことを忘れないように、彼女は前述のような大勢のスポーツファンに囲まれているに等しいのです。 彼女はグループに溶け込み、その一員になろうとしています、 彼女に言い寄ることで集団から切り離し、グループから孤立させているのです。 ばかばかしく思えるかもしれませんが、女性は成長の過程で常に男性から攻撃されることを怖れ、 警戒しており、彼女の行動に影響を与えています。それが男性にとってどれほど安全でありふれ たものであろうと関係ありません。

男性同様に女性も友人を作り、ありのままの自分を認めてもらいたいと思っています。 デートに誘う電子メールを受け取ると、 女性は自分がグループの一員であると見なされる代わりに、異質な、欲望の対象と見られており、 間違いなく彼女の技術のみでは判定されていないことに気付きます。

これは我慢するのは難しいことですが、Linux のイベントに現れる女性 に少なくともその場で言い寄るべきではありません。おそらく、 彼女に対して慌てて接近しなくとも本当の愛情を得る機会を失うことはありませんが、 いきなり愛を告げることで Linux コミュニティに楽しい新メンバーを迎える機会は失われるでしょう。 それでもあなたが本当の愛情を得る機会を失うと思っているのであれば、 LUG に登場したりローカルメーリングリストに参加するような勇気のある女性はどのみち自分から告白することが少なくないと言うことを覚えておいてください。 初めて会ったときに彼女達を口説いたりすれば彼女達はあなたを怖れ、 コミュニティに参加した一人目の女性が居続ければ、興味を持ってくれたかもしれない 女性達をも怖れさせてしまいます。

電子メールや IRC で出会う女性にとってはこのことは二倍の重みがあります。 「結婚は未だ?」というようなメッセージを、 あなたはウィットに富んだ柔らかいものだと思っていても受け取る側の女性は、 何百万回も聞かされているのです。 ジョークのつもりであっても、既にガールフレンドがいたり結婚していてもこんなことはしないでください。

3.8. 友好的に振舞うこと

女性が口説かれることがないと、今度は逆に完全に無視されてしまうことが多くなります。 これでは少しも良くなっていません。グループに新しく入った女性が求めるものは男性のそれとたいていは同じです ― 歓迎され、共通の話題について語り、仲間を作ることを望んでいます。 女性が何かを言ったときは友好的な態度で耳を傾け、返事をしてください。 会話を始めてお互いが興味を持てるような話題を見つけるようにしてください。 女性だからと言ってステレオタイプな興味や意見を示すと決め付けず、 虚心坦懐に彼女が興味を持っていることを探る糸口を聞き出すようにしてください。 十中八九、Linux に興味をもっているような女性の興味は髪形や化粧、 映画スターにとどまりません。

女性達には男性が彼女達と話すときに「なぜ女性がコンピュータを敬遠するか」 という話題ばかりを選ぶことについて不満をいう者が多くいます。この問題は大切なことですが、 女性達は普段はもっと他の話題について話をしたいと思っていて、 特に初めて自分達がグループに加わったときに妙な雰囲気を味わいたくないと思っています。 その問題に興味を持っていてもグループに加わった女性がグループに定着し、 心地よく感じるようになるまで話題にするのを待っていてください。

3.9. 女性がコンピューター業界にいないことに愚痴を言わないこと

せっかくの楽しくてやりがいのあるコンピューター業界を敬遠している女性の視点から、 業界に女性が居ないことについて論議するのは有意義で建設的なことです。 一方、自分の恋愛運の無い人生をコンピューター業界に女性が居ないせいにしている男性の視点から業界に女性が居ないことについて問題提起するのは惨めで情けないことです。 コンピューター業界に女性が少ないことについて語るのに最も女性をいらだたせ敬遠するように仕向けるのは後者の話題の振り方です。 身の回りに女性が少ないことに愚痴をこぼす男性の言い草に対するごく一般的な女性の反応は次のようなものです。

ご覧の通り、女性がいないことに愚痴をこぼせば、女性を煩わすばかりか、 ここにいる女性達はますます去っていきます。こんなことをして女性達がデートの誘いに応じてくれることはまずありえません。

3.10. コンピューターに向かう女性を励ますこと

女性がいないことに不満をいう代わりに、何かできることを始めてください。 女性達の不満に真面目に耳を傾け(この HOWTO から始めてください)、 女性が一般にコンピューターや数学、科学を避ける理由に関する研究を読み、 あなたなりのやり方で女性を手助けする方法を見つけてください。他の人々が、 女性がコンピューターを敬遠する事に関して議論する場でも女性の肩を持つように してください。機会があれば女性を指導してください。指導するとはガイドす ることであり、励ますことであり、教育や職業訓練の場で導くことです。誰に でも他人を指導できるわけでなく、師匠と弟子のどちらにとっても相性のよい相手を見つけるのは難しいことですが、うまく行った場合の結果は素晴らしいものです。しかし指導することとガールフレンドを見つけることを一緒くたにし ないでください、指導者が教え子との関係以外から得るのは教え子が受ける賞賛を分かち合う喜びと他の人が成長する のを見る喜びです。

3.11. 女性が着いたときにじろじろ見たり指差したりしない

じろじろ見られたり指差されたりするのが好きな人は誰もいません。 女性達には Linux 愛好家が大勢いる部屋に入っていくと、突然会話が止んで全員が、 振り返ってこちらを見、あまつさえ皆が凝視している対象を、 仲間が見落とさないように指差す者すらいると不満を言う者も少なくありません。 これは恐ろしげで不快なことで、女性が二度と戻ってきたくないと思うのに十分です。

女性 Linux 愛好家の Mia がいいことを言っています―

「 LUG にわざわざ出席したことはないけど、オタクイベントには何度か行ってみたわ、 私が入っていくとみんなが振り返ってじろじろ見るの。そう、 まるで西部劇でよそ者がバーに入って来るシーンのような感じだったの」。

3.12. 新参者を礼儀正しく迎えること

女性が LUG のミーティングに入っていったり、メーリングリストに投稿 したりしたときは何気なく振舞ってください。彼女に接するにはできる限りあ なたのグループの一員として望ましいメンバーと同じように接してください。 周りの人間が彼女のことをユニークで特別で貴重で、珍妙だと感じさせるような扱いは、 彼女に歓迎されないことを忘れないでください。女性が Linux コミュニティのありふれた メンバーであるように何気なく振舞えば、女性が参加する Linux コミュニティ実現のための 長い道のりに踏み出したことになります。

3.13. 女性を十把一絡げに扱わないこと

女性だからといって料理や裁縫、赤ん坊が好きだと決めてかかったり、 女性が LUG に参加している理由を単に彼女のボーイフレンドや息子、夫が Linux に興味があるからだと思ったりしないでください。ある女性がこう語ってくれました、 LUG で何かを説明してくれる人はたいてい料理や赤ん坊を例えにする、 私にとってはその例えが一番分かりやすいと思っているんでしょうけど。 女性たちが車や数学、戦闘機やロボット工学に興味がないと決めてかからないでください。 女性がカーネルのコンパイルのやり方を知らないものと決めてかからないで― 私の知る限りでは自前のカーネルをコンパイルできる女性は少なくとも15人いますし、 そのなかでも5-6人はカーネルコードも書くことができます。めぐり合わせがよければ、 あなたのいる LUG やメーリングリストにそのうちの誰かが現れるでしょう、 あなたは彼女が自分のマシンにインストールすることすらできないと決め付けて彼女を侮辱してはいけません。女性はチャットやインスタントメッセージが好きだからコンピューターに興味を持ったと思わないでください。 女性も男性と同じくらい悪態をつくのが好きです−−女性の前で悪 態をついたからといって慌てて言い直す必要はありません。カーネルコードを読 んだことのある女性なら(特に arch/sparc/ なんかを)、すでに「 fuck 」という 単語は耳にしたことがあります。

3.14. 女性を特別扱いしないこと

できる限り女性をあなたのいるグループの普通のメンバーとして扱って ください。私達は普通の人に過ぎません。「女性を普通に扱おうとしているの に、女性たちは性差別的なジョークを周りで言わないで欲しいと言うんだ!、 これじゃ矛盾してるよ!」と不満を言う人もいます。そう、「普通の人」が 「いつも付き合っている男友達」を指すのであればこれは矛盾しています。です が「普通の人」の定義に女性を加え、普通の人に対しては公平で礼儀正しく接しているならば、 女性を特別扱いする必要はありません。

女性に対する応対にまだ自信が持てないのであれば、次のことを守るよ うにしてみてください―横柄でなく友好的に、何気なく、いつもと同じように 会話を始めて、会話が終わったら離れましょう。男性全体の中でも特に変わっ た集団で過ごす時間が長い人は全く違った社会的な背景の男性と話すときと同 じように振る舞いを変えるべきでしょう。もし女性を傷つけないためには根本 的に振る舞いを変える必要があるような人は全ての状況下での振る舞いを変え ることを考えるべきです。女性が回りにいるときには性差別的なジョークを言 うのを止めて、女性がいない(とあなたが思っている)ときに同じジョークを続 けるようなやり方をしても誰もだまされません。

3.15. 度を越した非難をしないこと

女性は男性に比べて非難されることにはるかに傷つきやすいように育て られているだけでなく男性と比べて内省的でもあります。その結果女性は男性 に比べてずっと、激しい非難や不当な非難により退いてしまいやすいものです。 誰かを非難しようという気になったときには、生まれながらにして Linux のカー ネルコンパイルの方法を知っている者はおらず、あなた自身もかつては Linux の ことを全く知らなかったということを思い出してください。人が何かが不得手だと自覚すると興味を失ってしまいます、Linux への興味を持たせ 続けておきたい女性に対しては、彼女が Linux に対して全く自信を失うほど非難 しないようにしてください。

3.16. ほめること

女性は平均的な男性と比べてもずっと自分に自信がありませんし、他人 に比べて自分をとても厳しく評価しています。ほめることで女性達は自信を持 ち、問題への関心を保ち続けます。Linux は不得意だと思い込んだ女性は、 Linux を使うのを止めてしまうでしょう。

以下に示すのは誰かをほめるときに役立つ指針です―

あなたはもう間違いなく女性の髪形や顔立ち、体型やおしとやかな気質をほめたりすることは無いでしょう。 Linux に関心のある女性であれば、お約束通り、オタクであり、 頭が切れて有能でバリバリ仕事をすることをほめてもらいたがっています。 初めて Linux のインストールができたことをほめ、次に女性のカスタマイズ済みのデスクトップをほめ、 更に前回のミーティングで彼女が出した気の利いて興味深い質問をほめてください。 ほかの事についてほめた りすると、女性に口説き文句だと思われてしまい(ほとんどの場合そうだからで す)、女性が居心地悪く感じ、自信をなくすでしょう。

3.17. 男性の講演者だけを招かないこと

いつも男性ばかりが講演者だと、女性はそのことに気付き、歓迎されて いないと感じます。人々が共感できるような役割分担モデルはある分野への興 味を持続する上で大切です。

3.18. 女性に講演を頼むこと

技術的に優れた女性コンピューター科学者を見つけてあなたのグループに講演に来てもらうのは案外簡単です。あなたがコンピューター業界の女性を励ますつもりであることを話せば、 大勢の女性科学者が更に気安くイベントに来てくれるでしょう。たぶん女性の講演者を招くのがイベントへ女性に来てもらうには一番いいやり方です。イベントに来る女性たちは講演者を見てよいお手本を見出し、彼女達の体験について質問をして、少なくとも数時間はコンピューターに興味を持つ女性は一人だけと感じることがないでしょう。女性の講演者を招けばイベントにとって、特に女性向によい宣伝になることは請け合いです。

ある女性によると彼女のいる LUG は男性の講演者に比べると女性の講演 者に対して注意を払わず無礼な態度を示すと言います。彼女はそれが LUG のメ ンバーが女性の講演者は彼らの知らないことを知っている可能性は無いと決め てかかっているせいかもしれない思っています。あなたが招く女性講演者に対してはこ んなことが起こらないようにしてください。

3.19. 特定の分野に深入りしないこと

あなたと友人達にとって地域の LUG に毎週顔を出して同じ話題(最新のビ デオカード、「 Quake 」のようなシューティングゲームやロボット)について話 すのはとても楽しいでしょう。しかしどんな理由であれ、男性によ く見られるように微細な点への興味が果てしなく続くということは、女性には ほとんどありません。話し手全員に対して特定の分野に深入りしすぎないよう に、いつも同じロボット工学の話ばかりしないようにさせてください。

3.20. より一般的な話題について話すこと

講演者を手配するときには技術的に専門的な議題だけでなくより広範な議題 について話す人物を選んでください。女性はコンピューターを取り巻く政治的 ・社会的な話題により関心を示し、コンピューター科学の普遍的な話題に関心 を抱く傾向があります。もしいつも USB に関する話題に終始してしまうのであれ ば、コンパイラーについての討議もスケジュールに入れたり、バイナリしか公 開されない Nvidia のモジュールについて延々と繰り返し討議するのであればオー プンソースライセンス概説もスケジュールに入れるようにしてください。

3.21. ミーティングを出席しにくくしないこと

およそ最悪の LUG のミーティングとは、月曜日の午後10時にダウンタウ ンの倉庫で開かれ、人通りが少なく薄暗い路地に目立たない入り口があり、 しかも近くには公共交通機関が全く無いというものです。そして出てくるも のはピザ(選べるのは、ミート、ダブルミート、激辛ミート)と安物のビール。 私は後でスポーツバーに行こうなんて言いましたっけ?

3.22. ミーティングに出席しやすくすること

当たり前のことですが、次のような提案を守ればミーティングは誰にとっても 出席する気をそそるものになります。家族や学校から心配されないような時間 に開くこと、夜遅いのはダメです。安全で明るくて、 公共交通機関があるのならどれでもいいから利用しやすいところを選ぶこと。 今まで来たことの無い人を招くのであればはっきりと見つけ やすい目印をつけるべきです。飲み物や食べ物を出すのであればメニューに少 し変化をつけること。非公式な調査の結果、女性はピザよりもサンドイッチや フルーツ、野菜を好むことが確認されています。中華料理のお持ち帰りを使えば簡単 に変化がつけられるでしょう。菜食主義者用のオプションを忘れないようにし てください。LUG のメンバーがミーティング以外でも親しくしたければ、 異なる背景を持った人にも歓迎されるようなやり方を試してみてください。

3.23. 新参加者によそよそしい思いをさせないこと

新しい人がやってきたときに常連の人々が話し掛けたり存在を認めるのを拒めば、 その人は2度とやって来なくなるでしょう。常連達はただ挨拶するのが気恥ずかしかっただけでしょうが、 結果は同じことです。更に新参者がいうことを他の人がすぐさま攻撃したり、疑問を呈したり、 単に無視しただけでも、彼女は戻りたいとは思わないでしょう。

3.24. 新参加者が加わりやすいように手助けすること

新しく参加した人には自己紹介と自分の計画や関心について少し話して もらうように頼んでください。講演者と静かな聴衆というような形式でなく、 くだけたミーティングのやり方で質疑応答の時間、あるいはテーブル を囲んでの議論をするようにしてみてください。LUG のメンバーにそれぞれの計 画について少しずつ話すように仕向けると、新参加者は同好の士に気付き話し 相手を見つけるでしょう。新参者に話し掛けることを厭わない人がいたら、その 人にホスト役を務めて新人をグループやメーリングリストに歓待するように頼 んでください。

3.25. ガールフレンドや妻だからといって過小評価しないこと

Linux に熱中している女性にはデートする相手や結婚相手に同じ 興味を持つ男性がいるひとが多くいます。これを聞いてその女性が彼氏や夫の影響で Linux に 興味を持っているに過ぎないと決め込む人が少なからずいます。ボーイフレン ドに感化されて Linux を知った女性も時にはいます(このことは決して彼女の関 心を貶めるものではありません)が、それよりまず Linux やコンピュー ターに興味を持つようになり、この分野で友人を得たり人に会い、そしてこの 分野には女性がほとんどいないので、当然のことながら同じ分野でデートする 相手を見つけるのは大抵は難しくなかったということが多いのです。Linux 界の女性のほとんどが同じ 分野の人と結婚したりデートしているからと言って、女性が Linux に興味を持つ のは男性との関係のみが原因だと決め付けないでください。女性たちにとって Linux への関心は彼女の現在の相手よりも時期がさかのぼることが多いのです。 私個人の場合は、Linux に関心を持つようになった頃は英語学専攻科学生と デートしていましたが、彼はオペレーティングシステムが何者か、もしそれが近づいて きて噛みついたとしても分からなかったでしょう。

LinuxChix のあるメンバーが、初めてカンファレンスに招かれて話したのは 「ハッカーの妻」という題のパネリストの一員としてだったと報告しました。 パネルディスカッションを持ちかけたオープンソース界の名だたる名士は彼女 が侮辱を感じた理由が理解できなかったそうです。要するに彼女のオー プンソースでの功績は、彼女が有名なカーネルハッカーの妻であるということに 比べるとあきらかに軽視されていたのです。

3.26. ガールフレンドや妻を独立した人格として扱うこと

Linux に関心がある人のガールフレンドや妻達も各々の生き方があり嗜 みがあります、それが Linux であったりオープンソースであったりコンピュー ターであることもよくあります。彼女をボーイフレンドや夫の添え物扱いし ないで、彼女自身の関心や専門分野を認めて、そのことについて彼女と話すよ うにしてください。