9. TeX/LaTeX

9.1. TeX/LaTeX で使用するフォントの概説

TeX や LaTeX にフォントを追加する手順はいささかこみいっています。しかし、要領さえ呑みこんでしまえば簡単です(えてしてそういうものですね)。フォントの配布形式としては、メタフォントや Type1 フォントがあります。入手しやすいのはだいたい Type1 形式のほうです。とはいえ、メタフォントにははっきりとした強みがあります。 Type1 フォントや TrueType フォントの場合は、まったく同じ形のフォントをサイズに応じて拡大ないし縮小するだけですが、メタフォントで生成されるフォントはサイズ次第で形そのものを調整できるのです。この特徴がなぜ望ましいかといえば、小さめのフォントは幅を(比較的)広く、大きめのフォントは狭く取るのが理想的である、ということが主な理由として挙げられます。

ここでは Type1 フォントのみを取りあげます。入手しやすいこと、そしてインストールしづらいことが理由です。

まず LaTeX のフォントについて駆け足で解説しておきましょう。LaTeX が Type1 フォントを扱うときは、次のようなファイルを使うことになります。

TeX のディレクトリ構造を把握しておくのはよいことです。知っておくべき主なディレクトリを挙げましょう。

  • $TEXMF/fonts -- フォントを格納するメインのディレクトリ。

  • $TEXMF/fonts/type1 -- Type1 フォントのディレクトリ。

  • $TEXMF/fonts/type1/ベンダー名 -- 該当ベンダーの形態ファイルを格納するディレクトリ。

  • $TEXMF/fonts/type1/ベンダー名/フォント名 -- 該当フォントを格納するディレクトリ。たいていはごく普通の英名がついており、TeX でフォントを命名する際の暗号めいたルールにならう必要はない。

  • $TEXMF/fonts/afm/ベンダー名/フォント名 -- 該当ベンダーの該当フォントを定義する afm ファイルのディレクトリ。

  • $TEXMF/fonts/tfm/ベンダー名/フォント名 -- afm ディレクトリと同様。ただし、こちらには tfm ファイルが格納される。

  • $TEXMF/fonts/vf/ベンダー名/フォント名 -- 同上。ただし仮想フォントが格納される。

  • $TEXMF/fonts/source/ベンダー名/フォント名 -- 同上。ただしメタフォントのファイルが格納される。

  • $TEXMF/dvips/config/psfonts.map -- dvips 向けのフォントマップファイル。機能も形式も Ghostscript の Fontmap ファイルに近い。

  • $TEXMF/tex/latex/psnfss -- フォント定義ファイルをすべて格納するディレクトリ。

9.2. Type1 フォントを追加する