7. アドレスブック

Linux サーバ上の LDAP データベースの非常に便利な特徴として、 組織に内部ネットワークがあれば外部の連絡先をすべて一箇所に集めておける というのがあります。それをグループ、あるいは部に分割することも できます。もはや従業員ひとりひとりに別々のアドレスブックを 渡す必要はないのです。これは、LDAP を使わなければ Microsoft Exchange Server や Lotus Domino, また Active Directory [1] でもできることです (訳注:Exchange 等々のディレクトリサービスも実は LDAP を使っていると思われます)。

Microsoft の「アドレス帳」とそれに依存するプログラム、つまり Microsoft Outlook や Microsoft Outlook Express, また Microsoft Outlook 2000 といったものを使うぶんには、LDAP の基本設定を変える必要はありません。とはいえ、 手を加える必要のあるものがふたつあります。

第一に、アドレスや関連データを記録するための ディレクトリツリーを作成しなくてはなりません。Section 12 に、どんなエントリがこのツリーに使われるのかが書いてあります。

第二に、ローカルネットワーク上のあらゆるホストが このツリーの読み込み権限を確実に持っているようにしなくてはなりません。 これは Section 11 で扱われることになります。

Microsoft の電子メールのプログラムはすべて LDAP ディレクトリサービスを使えます。人物を検索したいなら「アドレス帳」 を使ってください。電子メールの新規メッセージを書くときは 名前に適当な電子メールアドレスが自動で付加されます。 これは cn, sn, givenname そして mail のフィールドを検索して行ないます。Microsoft の電子メールプログラムで LDAP サーバを自分のアドレスブックとして使ったり 電子メールアドレスの検索用に設定したいときには、 以下のことをする必要があります。

  1. 好みの電子メールプログラムを起動して アドレス帳を開いてください。これは、そのプログラムから 「ツール → アドレス帳」 を選択すればできます。あるいはスタートメニューから 「スタート → プログラム → アクセサリ → アドレス帳」 を選んでください。

  2. 「ツール → アカウント」をクリックして インターネットアカウントのウィンドウを開きます。

  3. 「追加」(訳注:さらに「ディレクトリサービス」を選ぶらしいです) をクリックしてください。するとインターネット 接続ウィザードのウィンドウが出てきますから、 自分の LDAP サーバの IP アドレスかホスト名を入力して 「次へ」をクリックします。

  4. 次のウィンドウでは、「はい」と答えて、自分が このディレクトリを使ってアドレスをチェックしたいのだ ということを確定してください。もしくは、そうしたくないなら 「いいえ」と答えてください。では「次へ」と「完了」をクリックしてください。

  5. するとインターネットアカウントウィンドウに戻ります。 新しく追加されたアカウントを選択して「プロパティ」をクリックしてください。

  6. プロパティウィンドウの「詳細設定」タブをクリックしてください。

  7. 「検索ベース」のフィールドに、 アドレスが記録されるサブツリーの最上位のエントリを入力します。 例としては ou=Addressbook,dc=yourorg,dc=com というようになります。 (訳注:Windows アドレス帳で確認したところでは、ここに何も入力しないと c=JP を指定したことになります (US 版で c=US となるかは未確認)。 検索ベースを本当に空にしたい場合には NULL と入力する必要があります。)

  8. 「OK」を押してウィンドウを閉じ、 「閉じる」をクリックしてインターネットアカウント ウィンドウも閉じます。するとアドレスブックの メインウィンドウに戻ってくるはずです。

これで、「To:」のフィールドに名前を入れておくと、 (訳注:送信時もしくは名前確認時に) 電子メールアドレスが LDAP ディレクトリから探し出されて、自動的に 決定されます。候補が見付からなかったらウィンドウが現われますので、 打ち間違いがあれば直して、新規に検索をすることができます。

Notes

[1]

訳注:原文では Netscape Active Directory とありますが、 「Netscape」は「Microsoft」の間違いと思われます。