5.9. Binutils-2.20 - 2回め

Binutils パッケージは、リンカやアセンブラなどのようにオブジェクトファイルを取り扱うツール類を提供します。

概算ビルド時間: 1.3 SBU
必要ディスク容量: 259 MB

5.9.1. Binutils のインストール

ビルドのためのディレクトリを再び生成します。

mkdir -v ../binutils-build
cd ../binutils-build

Binutils をコンパイルするための準備をします。

CC="$LFS_TGT-gcc -B/tools/lib/" \
   AR=$LFS_TGT-ar RANLIB=$LFS_TGT-ranlib \
   ../binutils-2.20/configure --prefix=/tools \
   --disable-nls --with-lib-path=/tools/lib

configure オプションの意味:

CC="$LFS_TGT-gcc -B/tools/lib/" AR=$LFS_TGT-ar RANLIB=$LFS_TGT-ranlib

Binutils をネイティブにビルドすることが目的なので、ホストシステムに存在しているクロスコンパイラや関連ツールは使わず、ビルドしているシステム内のものを用いるように指定します。

--with-lib-path=/tools/lib

configure スクリプトに対して Binutils のコンパイル中でのライブラリパスを指定します。 リンカに対して /tools/lib ディレクトリを指定するものです。 こうすることでリンカがホスト上のライブラリを検索しないようにします。

パッケージをコンパイルします。

make

パッケージをインストールします。

make install

次章で行う「再調整」の作業に向けてリンカを準備します。

make -C ld clean
make -C ld LIB_PATH=/usr/lib:/lib
cp -v ld/ld-new /tools/bin

make パラメータの意味:

-C ld clean

サブディレクトリ ld にコンパイル生成されたプログラムをすべて削除します。

-C ld LIB_PATH=/usr/lib:/lib

サブディレクトリ ld の中に生成されるべきプログラムを再生成します。 Makefile ファイル内の変数 LIB_PATH をコマンドラインから与えることで、一時的なツール類の設定を上書き指定し、適切なパスを指示します。 この変数の設定はリンカに対するデフォルトの検索パスを指定するものであり、次章に向けた準備となります。

本パッケージの詳細は 6.12.2. 「Binutils の構成」 を参照してください。