本書のこれ以降で実行するコマンドはすべて root
ユーザーでログインして実行します。 もう lfs
ユーザーは不要です。
root
ユーザーの環境にて環境変数 $LFS
がセットされていることを今一度確認してください。
$LFS/tools
ディレクトリの所有者は今は lfs
ユーザーであり、これはホストシステム上に存在するユーザーです。 この
$LFS/tools
ディレクトリをこのままにしておくということは、そこにあるファイル群が、存在しないアカウントに対するユーザーIDによって所有される形を生み出すことになります。
これは危険なことです。 後にユーザーアカウントが生成され同一のユーザーIDを持ったとすると $LFS/tools
の所有者となってしまい、そこにあるファイルすべてを所有することになって、悪意のある操作に利用されてしまいます。
この問題を解消するためには、新しく作り出される LFS システムに lfs
ユーザーを作成することが考えられます。 その場合には同一のユーザーID、グループIDとなるように作ります。 もっと良い方法があります。
$LFS/tools
ディレクトリの所有者を root
ユーザーにすることです。以下のコマンドによりこれを実現します。
chown -R root:root $LFS/tools
$LFS/tools
ディレクトリは LFS
システムの構築作業を終えれば削除することができます。 一方これを残しておいて 本書と同一バージョンの LFS システムを新たに構築する際に利用することもできます。
$LFS/tools
ディレクトリをどのように残すかは読者の皆さんの好みに応じて取り決めてください。
この先の LFS システム構築に向けて一時的なツール類を残しておきたい場合は この時点で バックアップを取っておくのが良いでしょう。 第6章で実施する作業を通じて、今存在している一時的ツールは変更が加えられますので、将来、別のビルド作業を行う際には使えないものとなります。