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8. システム設定

この節では、アナログ入力あるいは CD-ROM から音声を録音するために、 Linux システム設定の基礎について述べます。

この節では、RedHat が動いている Intel ベースの Linux システムを基本と します。しかし、当然各ディストリビューションについて普遍的な記述でもあ るはずです。著者はまもなく SPARC 版 HOWTO の執筆にとりかかる予定です (もし他のハードウェア上でこの HOWTO を用いて成功したなら、私に連絡を取っ てください)。

当たり前ですが、前提条件はサウンドカードが動作していることです。これに ついては、Jeff Tranter が書いた優れた Linux Sound HOWTO を読むよ う勧めます。その後、Yoo C. Chung による Linux Sound Playing HOWTO を熟読してください。上に挙げた HOWTO は両方とも、私が書けるよりもずっ と優れた内容で、Linux でサウンドシステムを動作させる詳細について扱って います。

[ 訳注 : JF プロジェクトによる日本語訳 Sound-HOWTO, Sound-Playing-HOWTO があります。]

8.1 アナログ音声録音の設定

まず、オーディオの設定をしてください。Linux Box へ音声を伝える方法 は多数あり、一般的な手法は以下の通りです :

オーディオ装置のライン出力とサウンドカードのライン入力をつなぎます。多 くのオーディオ装置にはライン出力端子があります。ライン出力レベルはオー ディオ装置が送り出す電圧を規定している標準です。私の記憶が確かなら、家 庭用およびセミプロ用装置が 500mV で、プロ用装置が 750mV です。大部分の サウンドカードの標準は 500mV でしょうけど、いくつかの新しいプロ用オー ディオ装置は高品位の標準に基づいているかもしれません。高水準の録音をし ない限り、たいした違いはないはずです。

通常、ラインレベル出力は HI-FI 装置をアンプに接続するために用いるので、 テープデッキ、チューナ、CD プレイヤー、DAT および MD プレイヤーは問題 なく接続できるはずです。アナログレコードプレイヤーはより多くの問題があ るかもしれないので、以下の更なる情報をご覧ください。

VTR から音声も高品質で録音できます。多くの VTR は音声のライン出力があ るはずですし、あるいはお使いの VTR に SCART ソケットがあるのなら、そこ からライン出力を取り出せます。

[ 訳注 : SCART ソケットとは欧州で VTR や TV を接続するための PAL 規格に規定のあるコネクタです。(アナログ RGB マルチと同じ)角型の 21 ピ ンのコネクタで、1 個のコネクタの中に、ステレオ音声、コンポジット、そし て Y/C (輝度/色) などの信号があります。このコネクタの付いたケーブル1 本あれば、VTR や TV 間を迷わずに接続できるようになっています。NTSC 規 格を採用している日本や米国では、縁のないものです。]

アンプのテープ出力をサウンドカードのライン入力へ、サウンドカードのライ ン出力をアンプのテープ入力へ接続してください。この作業は HI-FI アンプ につながっている昔ながらのテープレコーダの代わりに、Linux システムを使 用することを意味します。テープへ入るサウンドカードのライン出力で録音レ ベルを確認できます。

マイクはサウンドカードのマイク入力へつないでください。マイクが発生する 電圧はラインレベルよりはるかに小さく、マイクをサウンドカードのライン入 力へ接続しても何も録音できないでしょう。

警告: この逆に、ラインレベル装置をサウンドカードのマイク入力へ接続 すると、サウンドカードに損傷を与えるかもしれません。

アナログレコードプレイヤーはマイク入力へつなぎます。

Mark Tranchant さん、以下の情報をありがとう。

アナログレコードからの、そのままの出力は非常に低いレベルです。し かし、アナログレコードをマイク入力へ直接接続して、良い結果を期待するこ とはできません。アナログレコードでは、動いているレコード針の物理的特性 に合わせて、低音を少なくし高音が多くなるよう最適化しマスタリングします。 従って、出力を補正する必要があります。この補正は厳密に定義されており、 RIAA 補正と呼ばれています。まず出力をアナログレコード用のプリアンプに 通し、ライン入力へ接続する必要があります。

[訳注 : RIAA = Recording Industry Association of America, 米国レ コード工業会 ]

音楽用キーボードおよびシンセサイザはサウンドカードのライン入力へ接続す べきで、ギターは DI ボックス (Direct Injection : 信号をラインレベルへ 変換するために使用する) を経由してライン入力へ接続します。

サウンドカードへ何かを接続する前に、ボリュームが最小になっていることを 確かめてください。マイクを使用するなら、マイクが切ってあるか、あるいは スピーカから離してあるかどうか、確かめてください。

8.2 CD-ROM 音声録音の設定

CD-ROM から音声データを取り出すために Linux システムを設定することは、 かなり簡単です。

サウンドカードへ接続したスピーカやアンプを通じ CD-ROM で再生しているト ラックが聴こえるなら、それを録音するのは難しくありません。

8.3 追加の設定

システムに普通にログインし、ミキサープログラムを用いて、録音レベル を大きすぎず音がひずまない程度の、充分な大きさへ設定してください。通常、 筆者は耳で聞いて判断しているだけですが、しばらくすればあなたも自分の道 具にちょうどいいレベルが分かってくるでしょう。

音源からエンコードする際には特に、不必要なすべてのサービスを停止するか、 シングルユーザモードへ移ることを勧めます。これは不要なサービスのない最 小限の状態で動かし、録音時におけるシステムの一時的な不安定要因をできる だけ少なくするためのものです。

著者は資源を独占的に使用して録音ができるよう SCSI ドライブを分離して設 定していて、以下 /mp3 と表記します。性能向上を主目的として、SCSI ドラ イブを使っています。また、明らかなことですが、音声データを書き込んでい る際にディスクヘッドが突然他の部分へ飛んで行かないよう、専用のドライブ で録音すると良いでしょう。:)

複数のディスクを持つ Linux システムを設定する詳細については、Stein Gjoen による Multi-Disk-HOWTO をよく読んでください。きっと役立つ でしょう。

[ 訳注 : JF プロジェクトによる日本語訳 Multi-Disk-HOWTO があります。]


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