始めるにあたり、自分のマシンに入っている Outlook が IMAP サーバと話せる ことを確認する必要があります。このハウトゥを書いた当初は、Outlook と言えば ただひとつの Outlook を指すという前提でいました。でも違うのです。もし Outlook が インターネットモード (POP/IMAP サーバと話すモード) でなくて 企業/ワークグループモード (Exchange と話すモード) になっているならば、 モードを切り換えなければいけません。
大丈夫かどうかテストするために、Outlook の「ツール」メニュに「アカウント」 という項目があるかどうか見てください。あれば大丈夫です。2.2 項に移る ことができます。なければ、汗拭きを用意して続きをお読みください。
モード変更は簡単なことではありませんが、親切な読者 (Matt Huyck) が 下記の解説を送ってくださいました。これは危険なように思えます。しかも 私は試したことがありません。
「ツール」メニューから「オプション」を選び、出てきたオプションダイアログで 「メール配信」のタブに移ります。そのタブのいちばん下に「メールサポートの 再設定」というボタンがあります。息を止めてクリックしてください。 新しいウィンドウが出てきます。タイトルバーは「Outlook 2000 スタートアップ」 で、冒頭に「メールサービスオプション」とあるウィンドウです。 ふたつのなかから選択するラジオボタンがあるはずです ― 「インターネットのみ」 と「企業/ワークグループ」です。「インターネットのみ」を選んで「次へ」を クリックしてください。すると非常に長いメッセージボックスで確認を求められ ます。これは注意深く読むべきです。Exchange クライアントの設定に重大な (とは いえ元に戻せる) 変更を与えようとしているからです。まだ気を失なって おられなければ、もう息を止めるのをやめて結構です。そうしろとはっきり 書いてあるわけではありませんが、「はい」をクリックする前にマイクロソフト Office インストール CD のコピーがあることを確認したいと思われることでしょう。 では、「はい」をクリックして、完了までの数分のあいだ Outlook に仕事をさせて ください。そしてふたたび Outlook を立ち上げます。ここでインストール CD が 要求されるはずです。この再設定が終了すれば、このハウトゥの 2.2 の段階に 進む準備ができています。
Outlook の元の設定に戻るためには、同じやり方に従ってください。 しかし確実に 『別のほうの』 ラジオボタンをクリックするようにしてください。
もし Exchange を使ってきたならば、もう一つ異なる点があります。 2.4 の段階の最後で見るとおり、「元の『From 』行」は保護されません。 しかし、「幸いにもその情報は実際は必要ない」という説明は Exchange の 利用者にとっては全然あてはまりません。その失われる「From 」ヘッダは、 内部 Exchange サーバで送られたメッセージ、つまりどこのインターネット ゲートウェイをも通らなかったメッセージにおいて、送信者の身元を明らかに する唯一のものなのです。私は「From 」ヘッダを保護するために、 メールフォルダの中身を「ファイル」メニューの「インポートとエクスポート」で テクストファイルとして保存しました。なにか、ひねった Perl や Grep のコード をハックして、その「From 」ヘッダを Linux の mbox ファイルに入れ直させ ようと考えています。もしうまくいったらお知らせします。
インストールに関しては Linux ディストリビューションで異なりますので、 一例として RedHat 7.0 を用います。まず最初に正しいパッケージを インストールする必要があります。これは一般的に「imap」という名前に なっています。
cd /home/redhat-7.0-cd/RedHat/RPMS
rpm -i imap*
実際には、私は「ワークステーション」のインストールをしたので、xinetd パッケージもインストールしなければなりませんでした ― そうするようにと rpm がエラーを出してくれたのです。もちろんこれは RedHat 7.0 の二枚目の CD にあります。Debian 利用者は「apt-get」を使えばそうした問題を心配 しないですみます。(訳注: Vine にも apt-get がありますし、Kondara でも mph-get があるので簡単です)
次に、IMAP サーバを使用可能にする必要があります。これは普通、
/etc/inetd.conf
というファイルの中のこういう行で制御されます:
#imap stream tcp nowait root /usr/sbin/tcpd /usr/sbin/imapd
上に挙げた行はコメントアウトされています ― 冒頭の # マークを除いてください。
RedHat 7.0 以降の xinetd を使うシステムでは、その代わりに
/etc/xinetd.d/imap
を編集して、「disable=yes」を「disable=no」に
変更してください。
それから、こうやって inetd や xinetd を再起動します。
/etc/rc.d/init.d/inetd restart
または
/etc/rc.d/init.d/xinetd restart
両方ともだめでしたら、システムを再起動してください。
(訳注: 新しいディレクトリ構造のシステムでは /etc/rc.d/init.d
ではなく、/etc/init.d
に (x)inetd があるかもしれません。
例えば 2.0 以降の Kondara はそのようです)
この IMAP サーバをそれほど長く使用可能なままにしておきたいとは思われない はずです。このサーバは root 権限で動作しますし、過去にセキュリティの バグもありました。このため、ずっと使っていたいというのでない限り、使用 可能なまま放っておくべきではありません。第 4 段階で使用不可能にします。
Outlook をこの IMAP サーバに接続させるためには、その Linux マシンの ホスト名か IP アドレスを知っている必要があります。
一切の電子メールをサーバにコピーするために、Outlook クライアントにこの 新サーバについて知らせなくてはなりません。「アカウント」を「ツール」 メニューから選び、「追加」で「メール」の新規アカウントを指定してください。 重要な項目は、サーバが電子メールを受け取るために IMAP を使うこと、 受信メールサーバが第 1 段階で調べた Linux マシンのホスト名か IP アドレス だということ、そして、ユーザ名とパスワードがその Linux マシン上の自分の ユーザ名とパスワードだということです。(通常、Linux の root アカウントを このために使うのは危険なことです)
いったん「完了」を押してから、この新アカウントを既定値にするため、そこ を反転させて「既定に設定」をクリックしてください。Outlook は IMAP サーバ に接続するはずですし、その IMAP サーバの名前がフォルダ一覧のいちばん下に あるはずです。それをクリックしてください ― Inbox フォルダがあるはずです。 (もし「/var/mail/ユーザ名」が Linux マシンに存在しないなら、メッセージ を INBOX にドラッグしていくことはできないでしょう …… そして、エラー メッセージで頭が混乱することになります。とはいえ、今はそういうことを しようとしているのではありません)
この時点で、電子メールをフォルダごと Outlook から IMAP サーバ名の所へと ドラッグしていくことができます。これで電子メールを、添付ファイルも全部 含めて Linux マシンにコピーすることになります。しかし残念ながら、こう すると一瞬にして Outlook からメールが削除されてしまいます。消さずに コピーするためには、(「フォルダ一覧」の) フォルダ名の上で右クリックして 「(フォルダ名) のコピー」を選びます。その送り先として、リストのいちばん 下にある Linux マシンを選んでください。
とはいえ、人生はそんな単純なものではありません。Outlook はフォルダの中に
フォルダがあって、その中にまたメッセージがあるというものも扱えます。
Linux の IMAP サーバはそれを扱うことができません ― というのも、フォルダは
メッセージを含む普通のファイルか、サブディレクトリやファイルを含む
ディレクトリのいずれかなのです。そのため、メッセージもサブフォルダも
両方含むフォルダが Outlook にあるときは、その階層全体をいっぺんに Linux
の IMAP サーバにコピーすることはできません。もうひとつ Linux の IMAP
サーバの非互換性として、新しいフォルダがサブフォルダやメッセージを含む
ときにはそれを事前に教える必要があるということがあります。これはフォルダ
を造るとき、そのフォルダ名にスラッシュ (/
) を追加するということ
です。このスラッシュはフォルダが造られるときには見えなくなります。
それで、フォルダの階層を Linux の IMAP サーバにコピーするためには、 まず既存のフォルダ構造の複製を Linux の IMAP サーバ上に作成する必要が あります。それをしながら、既存フォルダのうち、どれがサブフォルダと メッセージの両方を含んでいるかメモしておいてください。そのメッセージを どこか別の場所へ移すことが必要になるからです。まずいったん階層全体を 造ってしまって、それから一連のフォルダを Linux の IMAP サーバにコピー できるようになるというわけです。
おぼえておくべき最後の非互換性は、Linux の IMAP サーバが、名前に スラッシュ (/) を使っているフォルダを許可しないということです。 そうしたフォルダは、コピーしたり移したりする前に改名しておくことが 必要になります。
Linux マシン上では、フォルダは自分のホームディレクトリに、ファイルや ディレクトリとして見えます。このファイルの書式は Unix の普通のメール 書式で、Unix および Linux のほとんどのメールツールが、直接に扱ったり、 その形式から変換したり、その形式へ変換することができます。添付ファイル は MIME で添付されています ― それで、フォルダごとに (意味不明の) ヘッダ のメッセージがひとつずつ存在しています。
(ひとつ無傷ですまないデータがあります。それは元の「From 」行です。 それは電子メールのエンベロープアドレスを含んでいるものです。 幸い、この情報は実際には必要ありません)
全部の電子メールを転送してしまったなら、前述したセキュリティ上の理由で、 Linux マシンから IMAP サーバをアンインストールしたいと思うことでしょう。 これにはサーバをインストールするときと同じふたつの段階が関係しています。
rpm -e imap
/etc/inetd.conf
か /etc/xinetd.d/imap
から行を削除する
ほら! あなたは脱マイクロソフト生活へ向けて、もう一歩踏み出したことに なるのです。