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2. 手順

2.1 準備

始めるにあたり、自分のマシンに入っている Outlook が IMAP サーバと話せる ことを確認する必要があります。このハウトゥを書いた当初は、Outlook と言えば ただひとつの Outlook を指すという前提でいました。でも違うのです。もし Outlook が インターネットモード (POP/IMAP サーバと話すモード) でなくて 企業/ワークグループモード (Exchange と話すモード) になっているならば、 モードを切り換えなければいけません。

大丈夫かどうかテストするために、Outlook の「ツール」メニュに「アカウント」 という項目があるかどうか見てください。あれば大丈夫です。2.2 項に移る ことができます。なければ、汗拭きを用意して続きをお読みください。

モード変更は簡単なことではありませんが、親切な読者 (Matt Huyck) が 下記の解説を送ってくださいました。これは危険なように思えます。しかも 私は試したことがありません。

「ツール」メニューから「オプション」を選び、出てきたオプションダイアログで 「メール配信」のタブに移ります。そのタブのいちばん下に「メールサポートの 再設定」というボタンがあります。息を止めてクリックしてください。 新しいウィンドウが出てきます。タイトルバーは「Outlook 2000 スタートアップ」 で、冒頭に「メールサービスオプション」とあるウィンドウです。 ふたつのなかから選択するラジオボタンがあるはずです ― 「インターネットのみ」 と「企業/ワークグループ」です。「インターネットのみ」を選んで「次へ」を クリックしてください。すると非常に長いメッセージボックスで確認を求められ ます。これは注意深く読むべきです。Exchange クライアントの設定に重大な (とは いえ元に戻せる) 変更を与えようとしているからです。まだ気を失なって おられなければ、もう息を止めるのをやめて結構です。そうしろとはっきり 書いてあるわけではありませんが、「はい」をクリックする前にマイクロソフト Office インストール CD のコピーがあることを確認したいと思われることでしょう。 では、「はい」をクリックして、完了までの数分のあいだ Outlook に仕事をさせて ください。そしてふたたび Outlook を立ち上げます。ここでインストール CD が 要求されるはずです。この再設定が終了すれば、このハウトゥの 2.2 の段階に 進む準備ができています。

Outlook の元の設定に戻るためには、同じやり方に従ってください。 しかし確実に 『別のほうの』 ラジオボタンをクリックするようにしてください。

もし Exchange を使ってきたならば、もう一つ異なる点があります。 2.4 の段階の最後で見るとおり、「元の『From 』行」は保護されません。 しかし、「幸いにもその情報は実際は必要ない」という説明は Exchange の 利用者にとっては全然あてはまりません。その失われる「From 」ヘッダは、 内部 Exchange サーバで送られたメッセージ、つまりどこのインターネット ゲートウェイをも通らなかったメッセージにおいて、送信者の身元を明らかに する唯一のものなのです。私は「From 」ヘッダを保護するために、 メールフォルダの中身を「ファイル」メニューの「インポートとエクスポート」で テクストファイルとして保存しました。なにか、ひねった Perl や Grep のコード をハックして、その「From 」ヘッダを Linux の mbox ファイルに入れ直させ ようと考えています。もしうまくいったらお知らせします。

2.2 Linux マシンに (一時的に!) IMAP サーバをインストールする

インストールに関しては Linux ディストリビューションで異なりますので、 一例として RedHat 7.0 を用います。まず最初に正しいパッケージを インストールする必要があります。これは一般的に「imap」という名前に なっています。

 cd /home/redhat-7.0-cd/RedHat/RPMS
 rpm -i imap*

実際には、私は「ワークステーション」のインストールをしたので、xinetd パッケージもインストールしなければなりませんでした ― そうするようにと rpm がエラーを出してくれたのです。もちろんこれは RedHat 7.0 の二枚目の CD にあります。Debian 利用者は「apt-get」を使えばそうした問題を心配 しないですみます。(訳注: Vine にも apt-get がありますし、Kondara でも mph-get があるので簡単です)

次に、IMAP サーバを使用可能にする必要があります。これは普通、 /etc/inetd.conf というファイルの中のこういう行で制御されます:

 #imap    stream  tcp     nowait  root    /usr/sbin/tcpd        /usr/sbin/imapd

上に挙げた行はコメントアウトされています ― 冒頭の # マークを除いてください。 RedHat 7.0 以降の xinetd を使うシステムでは、その代わりに /etc/xinetd.d/imap を編集して、「disable=yes」を「disable=no」に 変更してください。

それから、こうやって inetd や xinetd を再起動します。

 /etc/rc.d/init.d/inetd restart

または

 /etc/rc.d/init.d/xinetd restart

両方ともだめでしたら、システムを再起動してください。 (訳注: 新しいディレクトリ構造のシステムでは /etc/rc.d/init.d ではなく、/etc/init.d に (x)inetd があるかもしれません。 例えば 2.0 以降の Kondara はそのようです)

この IMAP サーバをそれほど長く使用可能なままにしておきたいとは思われない はずです。このサーバは root 権限で動作しますし、過去にセキュリティの バグもありました。このため、ずっと使っていたいというのでない限り、使用 可能なまま放っておくべきではありません。第 4 段階で使用不可能にします。

Outlook をこの IMAP サーバに接続させるためには、その Linux マシンの ホスト名か IP アドレスを知っている必要があります。

2.3 Outlook クライアントをサーバに接続する

一切の電子メールをサーバにコピーするために、Outlook クライアントにこの 新サーバについて知らせなくてはなりません。「アカウント」を「ツール」 メニューから選び、「追加」で「メール」の新規アカウントを指定してください。 重要な項目は、サーバが電子メールを受け取るために IMAP を使うこと、 受信メールサーバが第 1 段階で調べた Linux マシンのホスト名か IP アドレス だということ、そして、ユーザ名とパスワードがその Linux マシン上の自分の ユーザ名とパスワードだということです。(通常、Linux の root アカウントを このために使うのは危険なことです)

いったん「完了」を押してから、この新アカウントを既定値にするため、そこ を反転させて「既定に設定」をクリックしてください。Outlook は IMAP サーバ に接続するはずですし、その IMAP サーバの名前がフォルダ一覧のいちばん下に あるはずです。それをクリックしてください ― Inbox フォルダがあるはずです。 (もし「/var/mail/ユーザ名」が Linux マシンに存在しないなら、メッセージ を INBOX にドラッグしていくことはできないでしょう …… そして、エラー メッセージで頭が混乱することになります。とはいえ、今はそういうことを しようとしているのではありません)

2.4 あらゆるメールをコピーする

この時点で、電子メールをフォルダごと Outlook から IMAP サーバ名の所へと ドラッグしていくことができます。これで電子メールを、添付ファイルも全部 含めて Linux マシンにコピーすることになります。しかし残念ながら、こう すると一瞬にして Outlook からメールが削除されてしまいます。消さずに コピーするためには、(「フォルダ一覧」の) フォルダ名の上で右クリックして 「(フォルダ名) のコピー」を選びます。その送り先として、リストのいちばん 下にある Linux マシンを選んでください。

とはいえ、人生はそんな単純なものではありません。Outlook はフォルダの中に フォルダがあって、その中にまたメッセージがあるというものも扱えます。 Linux の IMAP サーバはそれを扱うことができません ― というのも、フォルダは メッセージを含む普通のファイルか、サブディレクトリやファイルを含む ディレクトリのいずれかなのです。そのため、メッセージもサブフォルダも 両方含むフォルダが Outlook にあるときは、その階層全体をいっぺんに Linux の IMAP サーバにコピーすることはできません。もうひとつ Linux の IMAP サーバの非互換性として、新しいフォルダがサブフォルダやメッセージを含む ときにはそれを事前に教える必要があるということがあります。これはフォルダ を造るとき、そのフォルダ名にスラッシュ (/) を追加するということ です。このスラッシュはフォルダが造られるときには見えなくなります。

それで、フォルダの階層を Linux の IMAP サーバにコピーするためには、 まず既存のフォルダ構造の複製を Linux の IMAP サーバ上に作成する必要が あります。それをしながら、既存フォルダのうち、どれがサブフォルダと メッセージの両方を含んでいるかメモしておいてください。そのメッセージを どこか別の場所へ移すことが必要になるからです。まずいったん階層全体を 造ってしまって、それから一連のフォルダを Linux の IMAP サーバにコピー できるようになるというわけです。

おぼえておくべき最後の非互換性は、Linux の IMAP サーバが、名前に スラッシュ (/) を使っているフォルダを許可しないということです。 そうしたフォルダは、コピーしたり移したりする前に改名しておくことが 必要になります。

Linux マシン上では、フォルダは自分のホームディレクトリに、ファイルや ディレクトリとして見えます。このファイルの書式は Unix の普通のメール 書式で、Unix および Linux のほとんどのメールツールが、直接に扱ったり、 その形式から変換したり、その形式へ変換することができます。添付ファイル は MIME で添付されています ― それで、フォルダごとに (意味不明の) ヘッダ のメッセージがひとつずつ存在しています。

(ひとつ無傷ですまないデータがあります。それは元の「From 」行です。 それは電子メールのエンベロープアドレスを含んでいるものです。 幸い、この情報は実際には必要ありません)

2.5 Linux マシンから IMAP をアンインストールする

全部の電子メールを転送してしまったなら、前述したセキュリティ上の理由で、 Linux マシンから IMAP サーバをアンインストールしたいと思うことでしょう。 これにはサーバをインストールするときと同じふたつの段階が関係しています。

  1. RPM を削除する
      rpm -e imap
    
  2. /etc/inetd.conf/etc/xinetd.d/imap から行を削除する
  3. inetd または xinetd を再起動する。あるいはシステムを再起動する

ほら! あなたは脱マイクロソフト生活へ向けて、もう一歩踏み出したことに なるのです。


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