Chapter 2. mtekscan v0.2 に附属のマニュアル (ファイル名: mtekscan.1)

         mtekscan(1)    mtekscan manual
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NAME
       mtekscan - driver for MicroTek SCSI scanners

SYNOPSIS (概要)
       mtekscan [options]

説明
       mtekscan は、MicroTek SCSI スキャナを Linux 上で使用出来るようにするた
       めのドライバです。画像をスキャンし、標準出力(または指定したファイル)に
       出力するためのコマンドラインのユーティリティです。オリジナルは、
       MicroTek ScanMaker E6 用に開発されましたが、他の MicroTek SCSI スキャ
       ナでも動作することが確認されています。
       今までのところ下記の機種でテストされ動作しています。
       ScanMaker II,   ScanMaker III, ScanMaker E3,
       ScanMaker 35t+, ScanMaker E6,
       Adara ImageStar I, Genius ColorPage-SP2, Primax DeskScan Color.

オプション
       全てのオプションと引数は、スペースで分離しなければなりません。
       '-cpVt' のように結合したオプションの指定はできません。
       同じコマンドライン上に互いに排他的なオプション (例えば '-c  -g' のよう
       な)が指定されると、最後のオプションが前のオプションを上書きします。
       (-T と -G オプションに関しては明示的に指定するのでなければ。下記参照)
       スキャナのモデルによっては、いくつかのオプションは使えないものがあるの
       で注意して下さい。

       -o <file>
              これが指定されると mtekscan は標準出力の代わりに <file> に出力
              します。

       -f <x1> <y1> <x2> <y2>
              スキャンするフレームを、左上 <x1>,<y1> と右下 <x2>,<y2> の長方
              形であると定義します。座標はインチで計測され、原点はスキャンエ
              リアの左上の角です。

       -r <resolution>
              スキャンの解像度を dpi で設定します。
              MicroTek のスキャナは、解像度を最大値の 1% または 5% きざみで
              設定できるので、最適な値を選択できます。

       -b     ラインアート(黒と白)のスキャンを選択します。

       -a     ハーフトーンのスキャンを選択します。原稿は -H オプションで選択
              可能なハーフトーンのパターンを使ってディザ処理されます。

       -g     グレースケールのスキャンを選択します。

       -c     カラーのスキャンを選択します。

       -s <n> シャドウ調整の値(黒レベル)を <n> で設定します。
               <n> は 0から255 までの10進数です。
              この値と同じかそれ以下の全てのピクセル値は 0にセットされ、残っ
              た値が 0から255 の範囲にマッピングされます。

              このオプションは、マルチビット・スキャンモード(カラーまたはグ
              レースケール)の場合のみ動作します。デフォルト値は、0です。

       -l <n> ハイライト調整の値(白レベル)を <n> で設定します。
               <n> は 0から255 までの10進数です。
              この値と同じかそれ以上の全てのピクセル値は 255にセットされ、
              残った値が 0から255 の範囲にマッピングされます。

              このオプションは、マルチビット・スキャンモード(カラーまたはグ
              レースケール)の場合のみ動作します。デフォルト値は、255です。

       -m <n> 中間調の調整値を <n> で設定します。
              <n> は 0から255 までの10進数です。
              <n> と同じかそれ以上の全てのピクセル値は 128から255の範囲にマ
              ッピングされ、<n> 以下の全てのピクセル値は 0から 127 の範囲に
              マッピングされます。

              このオプションは、マルチビット・スキャンモード(カラーまたはグ
              レースケール)の場合のみ動作します。デフォルト値は、128です。

       -d <n> [ <n> <n> ]
              デジタル輝度調整値を <n> で選択します。
              <n> は -100 から 100 までの範囲の10進数です。
              このオプションの次に数値が1つだけ指定された場合は全般的な輝
              度を決定します。3つの値が指定された場合は赤、緑、青のチャネ
              ル輝度調整を個別に決定します。

              デフォルト値は、0です。

       -e <n> 露光時間の調整(アナログ輝度調整)を <n> で設定します。
               <n> は、通常 -18 から 21 までの範囲の10進数です。
              (これより高い値を受け付けるスキャナモデルもあります)
              この値は、3の倍数でなければならないことに注意して下さい。
              そうでない場合は、最も近い値が選択されます。

              デフォルト値は、0です。

       -k <n> コントラストの調整を <n> で設定します。
               <n> は、通常 -42 から 49 までの範囲の10進数です。
              (これより高い値を受け付けるスキャナモデルもあります)
              この値は、7の倍数でなければならないことに注意して下さい。
              そうでない場合は、最も近い値が選択されます。

              デフォルト値は、0です。

       -G <n> [ <n> <n> ]
              ガンマ補正を <n> で設定します。
              -G の後に、数値が1つだけ指定された場合は全般的なガンマ補正値で
              3つの値が指定された場合は赤、緑、青のチャネルのガンマを個別に
              決定します。

              デフォルト値は、3つのチャネル全てが 1.0です。

               【訳注】
                 ガンマ補正とは、輝度レベルの入力と出力の関係を設定するもの
                 です。
                 1.0 は入力と出力の関係が直線的で
                 1.01 〜 4.99 だとハーフトーン(中間調)が明るく
                 0.99 〜 0.01 だと暗くなります。

       -T <file>
              ガンマ補正テーブルを <file> からロードします。
              これを指定すると、-G オプションで指定したガンマの設定は全て上
              書きされます。コマンドラインで -G の前に -T オプションが指定さ
              れた場合でも、です。

              デフォルトでは、ファイルから補正テーブルをロードしません。

       -t     透過原稿ユニットがインストールされているときに、透過スキャンニ
              ングを選択します。

       -n     ネガティブスキャンニング(リバースカラー:陰画)を選択します。

       -H <n> 組み込み済みのハーフトーンのパターン <n> を選択します。
              <n> は、0 から 11 までの範囲の10進数です。
              ハーフトーンのパターンは、中間調の画像をスキャンする (-a オプ
              ション)際に画像をどのようにディザ処理するかを定義します。

       -p     プリスキャンモードをイネーブルにします。結果は速く得られます
              が精密さに欠けます。

       -v <n> スキャン速度を <n> で設定します。
               <n> は、1 から 7 までの範囲の10進数です。(大きい値ほどスキャ
              ン時間が長くなります) 分割スキャンが必要な場合、大きい値を設定
              するほど高画質になります。(下記の -B オプションを参照のこと)

              デフォルト値は 1(最も高速)です。

       -B     スキャンセグメント間のバックトラッキングを禁止します。
              汎用 SCSI ドライバの転送バッファが小さすぎる場合、スキャン処理
              はいくつかのステップ、またはセグメントに分けられます。
              通常、スキャンヘッドは新しいセグメントを開始する前にわずかに後
              方に移動します。このスイッチを指定すると、これを禁止できます。
              結果は速く得られますが、精密さに欠けます。

       -C     スキャンの開始時の再調整を禁止します。これはスキャン時間が短く
              なりますが画質は少し落ちます。

              このオプションを指定すると、スキャナが少なくとも一度も自分自身
              でキャリブレートしなかった場合、(例えばスキャナが電源 ON した
              ばかりの時) SCSI バスの lock-up を起こすことに注意して下さい。
              このオプションを使われる前に、少なくとも一度はスキャンしておか
              なければなりません。

       -P     '-p -C' と同じです。(上をご覧下さい)

       -V     冗長モードです。スキャナの設定と動作中の情報が標準出力に書き込
              まれます。

       -i     スキャナによってサポートされているオプションを短いフォーマット
              で表示します。最初の値は、原稿サイズと解像度の最大値、および受
              け入れ可能なコントラストと露光時間の値です。続いて、スキャナに
              よってサポートされているオプションの文字のリストです。
              この情報は、グラフィカル・スキャンニング・フロントエンドで使用
              するために提供されます。

       -I     スキャナ内部のデータを長い、人が解読可能なフォーマットで表示し
              ます。

       -S     スキャナのハードウェアのセルフテストをしてから、終了します。

       -h     mtekscan が受け付けることのできるコマンドライン・オプションの
              リストを表示します。

バグ
      mtekscan は、カーネルパニック、システムクラッシュ、SCSI バスのロックア
      ップ、その他色々の不快なことを本当に起こす可能性があります。
      -d オプションの輝度調整で負の値を設定すると、少なくとも ScanMaker E6
      では、奇妙な(そして明らかに悪い)結果を招きます。
      輝度調整で赤、緑、青のチャネルを異なる値に設定すると、希望した結果には
      なりません、しかし全般的な輝度には作用します。
      (再度言いますが、少なくともScanMaker E6 では、です)
      そして、たぶん 1000 以上のバグがあると思います。

作者
       mtekscan は、Copyright (C) 1996, 1997 by Jan Schoenepauck,
       <schoenep@uni-wuppertal.de> です。
       プログラムのいくつかのパーツは、Torsten  Eichner
       <eichner@rhrk.uni-kl.de> による Mustek スキャナ用の muscan ドライバか
       ら持ってきました。
       3パス・スキャナのサポートは、Warwick Allison <warwick@cs.uq.edu.au>
       によるパッチにほとんど依存しています。