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18. LDP 宣言(LDP Manifesto)

以下は、Linux Documentation Project(LDP) の 「趣意宣言(Manifesto)」 である。

(訳注: 原著では、1998 年 9 月 21 日発行の Michael K. Johnson による LDP Manifesto が記載されていますが、翻訳時では既に更新されているので、 最新版を掲載します。)

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改訂者: David S. Lawyer (dave@lafn.org)
最終改訂日: 2000年7月18日

この文書は、Linux Documentation Project の目標と現状、文書作成の方法、 およびライセンス条項について述べたものです。

18.1 概要

Linux Documentation Project は、GNU/Linux オペレーティングシステムについて の良質でフリーな文書を開発するために活動しています。LDP の最大の目的は、Linux に関するすべての事柄の文書化を、共同で押し進めることです。HOWTO や Guide の作成 がこれにあたります。さらにわれわれは、簡単に利用と検索ができる文書システムを構 築したいと考えています。man ページや info 文書、HOWTO その他 の統合はこれにあたります。

LDP のゴールは、Linux に関する正式なフリー文書のセットを作ることです。 オンラインでの(ダウンロード可能な)文書は、Linux を取りまく世界の様々な変化に 対応して頻繁にアップデートできるという利点がありますが、われわれは、同じ文書 をオフラインで読むために CD-ROM や印刷された書籍としても提供したいと考えて います。 LDP の文書の出版に興味がある方は、 「LDP 文書の出版」をご覧ください。

LDP は、本質的に ボランティアによる緩やかな共同体であり、最小限の中枢組織 しか持っていません。運営に興味のある方は、是非活動に参加してください。 われわれは、参加者がインフォーマルに協調し、メーリングリストで議論することが、 最良のやり方であると思っています。意見が食い違うときは、互いの考え方の違いを 理解し、納得のいく合意に達するようにしています。

18.2 現在のプロジェクトとその参加方法

現在の LDP の主要な活動は、HOWTO を書くことです。何らかの HOWTO を書こうと 思った場合は、既に同一のトピックがないかどうかまずチェックしてください。 もし既に存在するときは、その文書の 管理者に連絡を取って、手助け を申し出るのが よいと思います。HOWTO がない場合は、新規の HOWTO の作成を考えることになるでしょ う。詳細については、 LDP Author Guide (以前は HOWTO-HOWTO と呼ばれていたもの です) と HOWTO-INDEX をご覧ください。

Guide は、システム管理などの幅広いトピックを扱う書籍サイズの LDP 文書 です。われわれは、C プログラミングやデバイスの man ページも管理しています。

他にも、HOWTO の間違いや不明確なところのチェックや、ウェブサイトの改善、 Linux の統合文書システムの開発といった仕事があります。そうした(HOWTO の執筆 以外の)プロジェクトに興味があれば、現在の LDP コーディネイターである Guylhem Aznar ( guyhem@metalab.unc.edu )と連絡を取るか、LDP の feedback@@linuxdoc.org にメールを送ってください。

18.3 LDP ウェブサイト

LDP には、世界中に 250 以上のミラーサイトがあるので、そこから LDP 文書の検索 やダウンロードが可能です。メインサイトは、 http://www.linuxdoc.org です。 そこでミラーサイトのリストを見つけて、近くのミラーサイトを利用してください。

18.4 文書作成の方法

以下は、LDP 文書で現在利用されている約束ごとです。これとは異なる方法で 新規文書を書こうとする場合は、まずそのプランをわれわれに教えてください。

18.5 ライセンス上の必要事項

誰でも、LDP 文書(あるいは、それ以外の LDP の成果)を、あらゆるメディアや フォーマットで、複製や配布(販売、譲渡)することができなければなりません。 著者に著作料金を支払わなくてよいことが必要です。文書を任意に変更できること までは要求されていませんが、推奨はされています。

上記の条件を満たす独自のライセンス条項を付けることができますが、予め用意 されたライセンスを使うことも可能です。LDP では、自由に利用できるライセンスの 鋳型を用意しています。GPL を利用しようとする人たちもいますが、自分で ライセンスを作る人たちもいます。文書専用の GPL を作成しようとするプロジェクト が進行中なので、そのライセンスを使うがおそらく非常に妥当な選択となるでしょう。 (訳注: 現在 GFDL の名称で入手が可能です。日本語訳は 「ウェブと FTP サイト」を参照してください。)

個々の文書のコピーライトには、主要な著作者の名前を記してください。"The Linux Documentation Project" は、正式な権利帰属主体ではないので、 コピーライト保持者としては使用できません。

18.6 ライセンスの鋳型

以下は、著作権表示のサンプルとライセンスの鋳型ですので、これを作品に対して 使用することもできます。(訳注: ライセンスは原文と併記しています。)

Copyright (c) 2000 by John Doe (あなたの名前に変えてください。)

Please freely copy and distribute (sell or give away) this document in any format. It's requested that corrections and/or comments be fowarded to the document maintainer. You may create a derivative work and distribute it provided that you:

この文書は、任意のフォーマットで、自由に複製及び(販売や譲渡による)配布が 可能です。訂正ならびにコメントは、文書管理者宛てにお送りください。 二次的著作物の作成とその配布は、以下の条件を満たす限り許可されます。

  1. Send your derivative work (in the most suitable format such as sgml) to the LDP (Linux Documentation Project) or the like for posting on the Internet. If not the LDP, then let the LDP know where it is available.

    作成した二次的著作物は、(SGML などの最適なフォーマットで)インターネット上の LDP (Linux Documentation Project) かそれに類する団体まで送付すること。LDP 以外 に送付するときは、どこで入手可能かを LDP に知らせること。

  2. License the derivative work with this same license or use GPL. Include a copyright notice and at least a pointer to the license used.

    二次的著作物にはこの文書と同一のライセンスか GPL を付与すること。 それには、著作権表示、及び(使用したライセンスの全文もしくは全文掲載ができない 場合は)少なくともそのライセンスを参照できるポインタを含めること。

  3. Give due credit to previous authors and major contributors.

    原作品の著者並びに主要な貢献者の氏名を明記すること。

If you're considering making a derived work other than a translation, it's requested that you discuss your plans with the current maintainer.

翻訳以外の二次的著作物の作成を考えている場合は、現在の文書管理者とその プランについて話し合ってください。

18.7 LDP 文書の出版

もしあなたが、LDP 文書の配布(出版)に関心を持つ出版社の方なら、以下をお読み 下さい。

上記に示したライセンス要項に照らして、誰でも LDP 文書の逐語的複製を出版 や配布することが可能です。わざわざ許可を求める必要はありません。しかし、 LDP 文書に基づく翻訳や二次的著作物を配布しようとしている場合は、ライセンスが それを必要とする限り、配布前に著者と連絡を取って許可を得る必要があります。

営利目的で LDP 文書を販売することも、もちろん可能です。われわれは、そうして 欲しいと考えています。しかし、LDP は自由な配布が可能なので、誰でもそれを 複製し、配布できることには留意してください。したがって、自由にコピーされた その本の一部は、他の部分の著作権を侵害することなく、コピーしやすい個別の実体 として流通する可能性があります。

われわれは、LDP 文書の販売で得た何らかの利益から著作権料を支払うよう要求は しません。しかし、営利目的で LDP 文書を販売した場合は、著者に著作料を提供 するか、その収益の一部を著者か LDP 全体、あるいは Linux コミュニティーに寄付 することを提案したいと思います。販売している LDP 文書のフリーコピーを 何冊か著者に送付しようと思うかもしれないでしょう。LDP と Linux コミュニティー に対してあなたが示したサポートは、非常に高い評価を受けるでしょう。

われわれは、LDP 文書の出版や配布のプランがある場合は、知らせてほしいと思って います。どういう形で入手可能になるのか知りたいからです。もし LDP 文書を 出版している場合、あるいは出版を計画している場合は、 feedback@linuxdoc.org までメールで連絡してください。誰が何をしているのか知りたいのです。

われわれは、Linux ソフトウェアの配布元が、ソフトウェアと一緒に CD-ROM で、 LDP 文書を配布するようお願いしています。LDP 文書は、「正式な」Linux 文書として 利用されることを意図したものであるので、配布元がソフトウェアに LDP 文書を バンドルしているのを見るのが楽しみなのです。


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