常識的には、最初にウェアラブルを本格的に使おうとするのは その仕事が生死の問題であるような人々、つまり軍隊です。
敵に対して優位に立つことは軍隊にとってきわめて重要です。 このことは歴史が示しています。さらにこの優位性を獲得 するために軍隊は巨額の資金を投入しようとします。
数年前に歩兵に対して様々な武器の部品を携帯するよう命令が出されたが、 その部品の元は様々で、ある武器全体の一部ということではありません でした。これを使って最善を尽くすようにという命令でした (その様子はフランケンシュタインみたいに見えました)。 このプロジェクトでは歩兵は統一的かつ補完的な武器および装備システム を構成する中心部品です。
オーストラリアでは Land 125 Soldier Combat System ( 元は "Wundurra"( アボリジニの言葉で戦士を意味する))と 呼ばれるプロジェクトがあり、それに関する情報は DTSO のサイトにあります。また ATSE によればこのプロジェクトは2000年から2001年にかけてフェーズ2 の段階になります。
DTSO によると兵士達は域内通信装置、暗視装置、自動照準装置および へッドアップ表示装置を装備する予定です。
フランスには FELIN ( Fantassin à Equipement et Liaison Integrées ( 統合された装備と連係手段を携えた歩兵 ) )とよばれるプロジェクトがあります。
兵士の活動能力を高めるため装置類は慎重な重量制限のもとに 開発されました - 歩兵は伝統的に荷物運搬用牛馬なみに扱われて いたので、 FELIN プロジェクトでは総重量を 25kg に制限しました。 兵士は(遮蔽物の陰から発砲できるように)無線装置、コンピュータ、テレビ 用カメラをその武器に装備しています。表示装置は単眼式へッドマウント ディスプレイです。
FIST ( Future Integrated Soldier Technology ) プロジェクト - 兵士がへッドアップ(へルメット表示)かへッドダウン(手首表示)の どちらかでパームトップを経由して、もし必要なら地図も使って情報に アクセスできるかどうかの初期テストがソールズベリー平原において実施 されました。
その結果、以下の教訓が得られました ( L'armement 67号 1999年9月の記事より )。
FIST におけるディジタル化試行は2000年6月と11月にソールズベリー平原 において実施されます。6月の試行では情報の流れ具合に取り組み、 11月の試行では情報を強化することにより「作戦のテンポ」が増加したか どうかを検証します。
このシステムは協調して働く 5 つのサブシステムから成っています。
IHAS とそれに加えて電子化地図および戦術情報を介して、分隊の 各メンバーの位置は捕捉できます。兵士はすべて多機能 GPS とビデオ記録 装置を携えています。暗視装置と自動照準装置(deported sighting)も もちろんです。テストは2000年を通じて行われます。Land warrior プログラムについては http://www.sbccom.army.mil/programs/lw/index.htm を参照してください ( FAQと写真もついています )。 著者の知る限りこのプロジェクトはウェアラブルな概念に とって最大のテストになるでしょう。陸軍は余備品も入れて 34000 セットも購入する予定です。
1999年の夏には米国海軍がハワイで仮想網膜表示装置(VRD)の実験をした というニュースがいちどきに入ってきました。その時の説明では、戦艦の内部 は、大量の CRT に占拠されていて必要な空間が足りないから、 乗組員が VRD を装着することも考えられるというものでした。
もちろん、まったく邪魔にならない、高度に特殊化されたユニットがウェアラブル として採用されたに違いありませんが、憶測するだけで確証はありません。
Microvison の VRD が オハイオ州デイトンの Wallace Kettering Neuroscience Institute に神経外科向け用途として 引き渡されました 。 これはウェアラブルの完全な特徴を備えてはいませんが、 医療分野におけるウェアラブルの採用という点で大きい一歩となります。 (ウェブで シミュレート画像 を見ることができます)
消防士は、煙を通して見ることができるよう赤外線テレビカメラを使用 しています。この先数年の間にこれらの装置は小型化されるでしょう。 ウェアラブルにより消防士の両手は自由になって、建物の地図や 多数の有益な情報にリアルタイムでアクセスできるようになるはずです。
ウェアラブルが障害者にとってたいへん助けになるだろうということは たぶん思いつくでしょう。たとえば目の不自由な人にとっては GPS 受信機 や周辺の地図その他を備えたウェアラブルを使って、能動的に電波探知して周囲の 状況を把握できるなら立派に盲導犬の代りになるでしょう。各要素はすでに 昔からあります。
この事は難しくないかも知れません - Linux 環境には音声応用関係の良い 参考文献があります。音声認識はすぐに使えます。IrDA と 無線モデムもOKです。 GPS プログラムも同様です。目の不自由な人用に、障害物を広範囲に探知する 電子杖を開発する必要があります。大事なことを一つ言い残していましたが、 当局を納得させなければなりません。