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3. ワイヤレスに関する技術解説

この章では、ワイヤレスの基礎を理解するために、その基本技術について説明します。

3.1 物理層

ISO/OSI モデルの第一層には、三つの仕様があります

  1. FHSS (Frequency Hopping Spread Spectrum) - 周波数ホッピング・スペクトラム拡散方式
  2. DSSS (Direct Sequence Spread Spectrum) - 直接スペクトラム拡散方式
  3. 赤外線方式 - この方式に関しては、この HOWTO ではふれません

3.2 構成

構成には2種類あります

  1. AdHoc mode - アドホック・モード( Independent mode - 独立モード とも呼ばれます)では、 それぞれの局が、BSS(Basic Service Set)を構成した独立ネットワークを持ちま す。またこの BSS は、いずれも共通の仕様です。
  2. Infrastructure mode - インフラストラクチャ・モードでは、 それぞれのネットワーク( BSS を構成しています)は、アクセスポイント を通して互いに通信します。 つまり、アクセスポイントを中心に、ESS(Extended Service Set)を構築します。 またこのモードでは、局を近くのアクセスポイントに "接続させる "ローミング機能も備えています。

アドホック・モード はとても単純な機構(拡張性も乏しいが)であり、多数のホスト間でお互い直接通信します。 制限要項は、すべてのホストがネットワークの届く範囲内、つまり直接見えるような位置にあることです。 (これはあくまでも理想です。というのは、この問題は IP 層で解決することも 可能だからです。詳しくは 5.4 章を見てください)

                              アドホック・モード(Adhoc mode) 

                               A - - - - - C
                                \       /
                               |  \   /   |
                                     /
                               |   /  \   |
                                 /      \
                               B - - - - - D

インフラストラクチャ・モードの環境下では、アクセスポイントを使います。 全てのホストは、ネットワークを共有するために、アクセスポイントに接続します。

インフラストラクチャ・モード(Infrastructure mode)
                                    ESS
 
          A - - - | - アクセスポイント - -  アクセスポイント- | - - - D

          B - - - |   BSS1                          BSS2      | - - - E
 
          C - - - |                                           | - - - F

B と C は、D,E,F を見る事ができません。しかし、全てのホストが同じ ESS を利用する事で、通信が可能です。 重要なのは、A,B,C もまた、お互いが見えていないという事です。

加えて、室内と室外というように、広いサービス範囲と狭いサービス範囲を区別するという課題があります。

3.3 互換性

世界には数多くのワイヤレスカードが存在している事を、頭の隅においておいてください。 全てのカードが、他の全てのカードと通信できるわけではありません。 互いに通信するためには、以下の条件をみたす必要があります。例えば、

  1. 同じ設定モードを使う - 全てのホストをアドホック・モード にするか、インフラストラクチャ・モードにする
  2. 同じ物理層を使う - 全てのホストが DSSS または FHSS を使う
  3. 同じプロトコルを使う (例えば Proxim 社は、OpenAir という他の FHSS カードと通信できない、独自なプロコトルを実装しています)

3.4 アドホック・モードとインフラストラクチャ・モード、どちらを使うべきでしょうか?

アクセスポイントはとても便利ですし、問題の発生が少なくなります。 しかしながら、ちょっとばかし高価です。 理想を言えば、大規模なネットワークの運用を目的とするのであれば、インフラストラクチャ・モードを選択すべきでしょう。 ホストの数が少ないのなら、アドホック・モードを選択する事も可能です。 ホストが少ないのに、そんなにお金をかけられませんからね。

一方で、お金を多くつぎ込めば、いろいろが順調に進むであろうというのも、また真実です。 お金をけちれば、その分トラブルにもぶつかるでしょうね。

3.5 Linux Box は、アクセスポイントとして使えませんか?

よい質問です!

最近、このような形態での利用が可能なハードウェアがあります。それは Prism2 というものです。

Prism2 に関する情報は、 http://people.ssh.com/jkm/Prism2/にアクセスしてください。
(訳注 - 上記サイトは http://hostap.epitest.fi/に移動しているようです。 また、Prism2 の chip 製造元は、Intersil http://www.intersil.com/design/prism/ です。)


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