次のページ 前のページ 目次へ

9. フレームサイズの計算

警告: この方法はマルチシンクモニタのために開発しました。固定周波数の モニタでもこの方法はうまく使えると思いますが保証はできません。

最初に最大の使用可能な HSF で DCF を割って、水平走査可能回数を 計算してください。

例えば、65MHz のドットクロックの Sigma Legend SVGA カードと、55KHz の 水平走査周波数のモニタを使っていると仮定します。DCF / HSF を計算すると 1181 という量が得られます。

さて、ここでついに黒魔術が出てきます。この式の答えをもっとも近い 8 の倍数に丸めてください。これは 8 ビットレジスタを持ち、左に 3 ビットずらして 11 ビットの値を得るような SVGA と S3 の VGA 制御装置において有効です。 ATI 8514/A のような他のカードではこのような要求はないかもしれませんが、我々は 正確な知識を持ち合わせてはいませんし、丸めによって不都合なことが生じること もありません。従って水平走査可能回数を 1176 に丸めます。

この数字(DCF / HSF を 8 の倍数に丸めたもの)は最小の HFL として使えます。 HSF がもっと低くなるように同期信号を設定すれば、HFL をもっと長くできます (したがって、多分画面の水平方向のドット数を増やせます)。しかし、その代 わりに速度は遅くなり、目に付くちらつきも増えるでしょう。

経験的な法則では、水平フレーム長の 80% が水平解像度として使用可能で、水平 走査線の表示される部分(これは大体、境界と電子ビームが画面の右端から次の走 査線の左端へ戻ってくる時間を差し引いたもの)です。この例では、944 になりま す。

さて、通常の画面のアスペクト比(横縦比)4:3 を得るため、今計算した水平解像 度の 3/4 になるように垂直解像度を設定しましょう。この例では、708 になりま す。実際の VFL を得るには、1.05 を掛けて 743 になります。

4:3 という比率は技術的な魔法ではありません。別の比率を使う方が画面の表 示部分をうまく使えるのであれば、この値にこだわる理由はありません。 これを使うとフレームの高さとフレームの幅を対角線の長さから求めるのが簡 単になります。つまり対角線の長さに 0.8 を掛けた値が幅であり、0.6 を掛 けた値が高さです。

結局、HFL=1176 と VFL=743 としました。65MHz をこの 2 つの数字の積で割ると、 十分に高くて健康に良い 74.4Hz のリフレッシュレートが得られます。素晴らしい! VESA 標準より立派でしょう! おまけに、おそらく予想していた 800x600 よりも 高い 944x708 という解像度が得られたのです。本当に素晴らしい!

さらに(大体 76 Hz まで)リフレッシュレートを改良することも可能です。 これには、定格よりも 2 KHz くらい高い水平同期周波数でも動くモニタが多 いという事実と、VFL を幾らか下げる(つまり、上の例で言うと 944 の 75% よりも小さくする)ことを利用します。しかしこの「オーバードライブ」作戦 を試してみる前に、あなたのモニタの電子銃が垂直同期を 76 Hz 以上にでき ることを確認してください。(例えば、人気のある NEC 4D ではこれ はできません。これは 75 Hz までの VSF しか使えません。)

以上が、ラスタ表示についての単純な計算と基本的事項のほとんど全てです。 黒魔術というほどのものでもないですね!


次のページ 前のページ 目次へ