8. Linux の将来像

(OHP 13)
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Future I
- Source compatibility
- Binary compatibility
- Commercial Support
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「ソースレベルの互換性」については、現在でもそうなっているわけだが、こ れを何らかの形で認証して欲しいと思っている。すなわち、Linux が POSIX といったオペレーティングシステムの規格に合致していることを証明して欲し いと思っている。ただし、認証してもらうにはかなりのお金がかかるのでまだ 誰もやっていないけど、アメリカのある会社がやろうとしていると聞いている。 この認証に通れば、Linux は Unix 互換である、と胸を張って言えるわけだ。

「バイナリ互換」についても、互換性を強める方向に向いたいと思っている。 WINE については既に述べたが、大きなプログラムを動かすにはまだまだやら ねばならない仕事がたくさん残っている。あと半年くらいで大きなプログラム が動くようになればいいんだけど、実際のところ、多分まだ一年はかかるだろ うね。現在でも小さなプログラムはいろいろ動いているんだけど。

「商業サポート」については、すでにかなりの種類が現われてきた。日本でど の程度商業的に Linux がサポートされているかは知らないけど、すでに Linux については多数の本が出版され、アメリカでは書店で簡単に手に入るよ うになっている。市販のソフトウェアも、Wordperfect や Maple, Mathematica といった商用のソフトウェアの Linux 用バージョンがリリース されて、Linux 上で数式処理をすることも可能になっている。

それ以外にも、Linux を収めた CD-ROM は多数販売されている。Laser5 もそ の一つだし、Caldera Network Desktop は Linux カーネル上で多数の市販ソ フトウェアを動かすことができる商用パッケージだ。Caldera には Netware に対応する機能も付いているので、Linux を Netware のサーバーにすること も可能になる。

これが最後のスライドだけど、

(OHP 14)
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Future II
- Continued development
  1.2.x is out: stable release
  1.3.x used for development
  Linux 2.0: Multi-platform, SMP
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一言で言えば、Linux は今後も発展を続けていく、ということだ。僕は既に 5 年ほど Linux の開発に携わってきたけど、まだまだ Linux の発展が止まるこ とは無いと感じている。

現在の安定版カーネルは 1.2.xのシリーズで、市販のパッケージにはこのバー ジョンが入っているはずだ。今開発しているのは 1.3.x のシリーズで、これ は開発者用のバージョンという位置づけになる。このシリーズのカーネルはあ まり安定していない。いくつかのバージョンには致命的なバグがある。だから、 本当に 1.3.x の機能が必要か、自分でそういうトラブルを回避できるだけの 実力のある人以外は 1.3.x のカーネルは使わない方がいい。

次にリリースする安定版のカーネルのバージョンは 2.0 になる予定だ。1.3.x のシリーズは近い将来に code freeze を宣言して新しい機能の追加を止め、 その後数か月間、徹底的にデバッグを行なって十分バグを取って安定した時点 で 2.0 としてリリースする予定だ。2.0 は機能的には 1.3 と同じだが、徹底 的にテストされてずっと安定しているはずだ。

始めの計画では次の安定版は 1.4 になる予定だったが、複数のプラットフォー ムに対応したことと、SMP マシンに対応したことの 2 つの大きな改良が行な われたから、メジャーバージョンを上げることにした。特に SMP サポートは メジャーバージョンを上げるに値することだと思っている。

これで僕の話は終りだけど、何か質問は?