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4. 始める前に

Linux のインストールを始める前に、マシンの構成が Linux の動作環境に適 合しているかどうか確認する必要があります。インストールに先立って、使 用する Linux のディストリビューションも選択しなければなりません。 Linux Pre-installation checklist は この文書はインストールを開始する前に、構築計画を立てる上で役立つでしょう。

4.1 ハードウェア条件

Linux を動かすにはどのようなシステムが必要なのでしょう? よい質問です。システムに必要な実際のハードウェアは刻々と 変わっています。 Linux Hardware-HOWTO http://www.linuxdoc.org/HOWTO/Hardware-HOWTO.html ( 日本語訳) には、Linux でサポートされているハードウェアの (ほぼ) 完全なリストが載っています。 Linux INFO-SHEET http://www.linuxdoc.org/HOWTO/INFO-SHEET.html ( 日本語訳)にもリストがあります。

Intel マシン用の Linuxに関しては、ハードウェアの構成は以下のようなものが 条件になります:

すべての 80386, 80486、 Pentium そして Pentium II。Intel 以外のメーカーが出している 80386 系互換チップ でも大抵動きます。 浮動小数点演算プロセッサは必須ではありませんが、あったほうがよいでしょう。

バスの規格としては ISA, EISA, VESA ローカルバス, PCI サポートされています。 IBM PS/2 マシンで見られるような MCA バス規格は最新の 2.2.x 系 カーネルからサポートされるようになっています。

最低でも 4MB のメモリが必要です。理論的には Linux は たった 2MB のメモ リでも動作するのですが、ほとんどのインストール作業とアプリケーションに は 4MB は必要です。もっとメモリがあれば、より快適になります。X Window System を使うつもりならば 8MB か 16MB 以上を推奨します。

当然のようにハードディスクと AT 標準のディスク・コントローラが必要にな るでしょう。MFM、 RLL、 そして IDE の ドライブとディスク・コントローラならどれでも動作するはずです。 同様に、多くの SCSI ディスクとインターフェースもサポートされています。 Linux SCSI-HOWTO http://www.linuxdoc.org/HOWTO/SCSI-HOWTO.html ( 日本語訳) に詳しい情報が書かれています。 もしゼロから Linux の動作するシステムを組み立てようとしているなら、 SCSI に費やすわずかな追加コストは、それがもたらすパフォーマンスと 信頼性によって十分に補えると考えてください。

3.5 インチ フロッピードライブ が必要になります。Linux では 5.25 インチのフロッピードライブもサポートはされていますが、 ほんのわずかしか使われていませんから、 5.25 インチフロッピー用のディスク・イメージがあるだなんて 期待しないほうがいいです。(機能を縮小した Linux なら、たしかに 1 枚のフロッピーでも動作するでしょうが、インストールか なんらかのトラブルシュートくらいにしか使えないでしょう。)

MDA や Hercules, CGA, EGA, VGA, Super VGA のビデオカードとモニター も必要です。一般的には MS-DOS で動作するビデオカードとモニターなら、 Linux においても動作します。とはいうものの、X Window System を利用する つもりなら、サポートの対象となる表示系のハードウェアには別の制限が加わ ります。 X の利用とそれに付随する条件については Linux XFree86-HOWTO http://www.linuxdoc.org/HOWTO/XFree86-HOWTO.html ( 日本語訳) にさらなる情報があります。

CD-ROM ドライブが使いたいのですね。もしそれが ATAPI, SCSI、またはちゃんとした IDE であるなら問題なく動作させることができるはずです (しかし、"IDE" インター フェースとうたっている安物の中には、本当の IDE ではないものもあるので 注意が必要です)。 独自の専用インターフェースカードが必要な CD-ROM の場合、フロッピーから 起動しようとすると、インストールの際に使われるカーネルによっては認識さ れない可能性もあります。CD-ROM にアクセスができないとインストールは続 行不能となります。もうひとつ、パラレルポートに接続するタイプの CD-ROM はまったく動作しません。もし迷ってしまったら Linux CD-ROM HOWTO http://www.linuxdoc.org/HOWTO/CDROM-HOWTO.html ( 日本語訳) を参照し、サポートされているハードウェアの 一覧と詳細を調べてください。

いわゆる「プラグ・アンド・プレイ」というジャンパーレスのカードはトラ ブルの原因となる可能性があります。これらをサポートしようという活発な開 発作業が続いていますが、2.0.25 カーネルの時点ではまだ完成していません。 幸いなことに、大抵はサウンドカードと Ethernet カードにだけ付きまとうト ラブルです。

モトローラ社製 68K プロセッサ系のマシン (Amiga、 Atari そして VMEbus といったマシンを含みます) を使っている場合は、Linux/m68k FAQ http://www.linux-m68k.org/pub/faq/faq.html を参照してください。そこには必要とされる最低限の条件や移植作業の状況と いった情報があります。この FAQ によれば、現在 Linux/m68k は Intel 版の Linux と同じ程度に安定しているそうです。

4.2 必要なディスク容量と、異なる OS との共存

ハードディスクの中に Linux のための空き領域が必要です。必要な容量は、 どれくらいの分量のソフトウェアをインストールしようとしているかによって 変ってきます。大抵の場合、おおむね 200 MB から 500 MB くらいが必要にな ります。この中にはソフトウェアのためのスペース、スワップスペース(マシ ンの内部で仮想メモリとして使われます)、そしてユーザのためのスペースなど が含まれます。

80MB 以下のディスクスペースで機能を絞りこんだ Linux システムを 動作させること(これは、かつて Linux ディストリビューションがもっと小規 模だった頃には普通のことでした)は可能でしょうし、500MB 以上を Linux ソ フトウェアすべてのために割り当てることだって可能です。どれくらいの量の ソフトウェアを詰め込もうとしているのか、そしてどれくらいの容量をあなた 自身のために用意するのか、必要なディスクの容量はそれによって大きく左右 されます。これに関してはまた後述します。

ハードディスクの中に Linux とは別のオペレーティングシステム、たとえば MS-DOS, Microsoft Windows, OS/2 などを共存させることもできます。(さら には Linux の中から MS-DOS のファイルシステムにアクセスしたり、多くの MS-DOS プログラムを起動することさえできます。) 別の言い方をするなら、 Linux 用にドライブに領域確保する際は、MS-DOS そして OS/2 などはそれぞ れの区画領域に住み着き、そして Linux もそうなる、ということ です。このような ``デュアルブート'' システムについてもっと 詳しく説明しましょう。

Linux を使うために MS-DOS, OS/2 など、何らかのオペレーティングシステ ムを使う必要はありません。Linux は完全に独立したオペレーティングシステ ムであり、インストールや利用にあたって他の OS の助けを借りるようなことはありま せん。

概して Linux の最小限度のセットアップは、現在市販されているほとんどの MS-DOS や Windows 3.1(さらに Windows95 での最小限度よりも少なくてすみ ます)で必要とされるよりも少ないものです。少なくとも 4 メガの RAM で 386 や 486 マシンをお使いなら、Linux を動かすのは問題ありません。Linux は大量のディスクスペースやメモリ、あるいは高速なプロセッサを必 要としません。この HOWTO の最初の著者である Matt Welsh は、4 メガの RAM で 386/16 MHz (入手可能なもっとも遅いマシン) で Linux を稼働さ せましたし、まったく快適でした。やりたいことが増えれば増えるほど、メモ リ(そしてより高速のプロセッサ)がもっと必要になるでしょう。 私の経験によれば、16 メガバイトの RAM を積んで Linux を走らせた 486 マシンは、 高価なワークステーションモデルに匹敵するものもありました。


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