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2. ディスクデバイスの論理構造とこの文書の構成

この HOWTO のような文書は、 学習用だけでなく技術的な参考文書として用いられることも多いので、 文書の構成を変更しました。 システムの設計をする人にとっては、 デバイスの論理的な階層構造の面から記述するより、 この文書の本来の目的に沿って記述する方が有益であると考えました。 とはいえ、このような階層構造 (コンピュータの分野ではあちこちに出てきます) を無視してはこの文書が成り立たないのも事実です。 そこで、この節ではまず階層構造の働きについて導入的な記述をしておきます。

この文書はすでにかなりの大部になってしまいました。 しかし、この文書の内容はすべてシステム設計をするために必要なものであり、 文書がいたずらに冗長になったわけではないと確信しています。

2.1 ディスクの論理的構造

以下の図は、 それぞれの層がお互いにどのように結びついているかを示したものです。 伝統的にはアプリケーション層を最も上、物理層を最も下に書きます。 デバイスのコントロールに用いられる各層間の関係をここで図示しておきます。

        ___________________________________________________________
        |__     ディレクトリ構造        ( /usr /tmp など)       __|
        |__     ファイルシステム        (ext2fs, vfat など)     __|
        |__     ボリューム管理          (AFS)                   __|
        |__     RAID・ディスク結合      (md)                    __|
        |__     デバイスドライバ        (SCSI, IDE など)        __|
        |__     コントローラ            (chip, card)            __|
        |__     接続                    (cable, network)        __|
        |__     ドライブ                (magnetic, optical など)__|
        -----------------------------------------------------------

上図のうち「ボリューム管理」および 「RAID・ディスク結合」の層は省略される場合もあります。 下の 3 層がハードウェアとみなされます。 この文書には、これらの各層すべてについて必要な情報が与えられています。

2.2 文書の構成

ほとんどのユーザは手元にあるハードウェアから作業を開始するでしょうが、 目的が先にあって、 システムをどの程度の大きさにするかを計画しているような人もいるでしょう。 どちらかというと後者を想定してこの文書は構成してあります。 まずハードウェアの話から始め、設計に当たっての制約条件を述べ、 そして具体的な配置方法へと続きます。 ここで紹介している手法は筆者自身も用いており、 自宅の PC と仕事で使っている多目的サーバの両方で非常にうまく機能しています。 またこの文書プロジェクトに参加している日本のユーザも 同様の手法を大学で利用しているサーバに用い、同様に成功しています。

この文書の最後には筆者自身が用いた設定チャートを紹介しています。 こちらに関するコメントや、また皆さんがご自分の設計作業から得た情報を、 ぜひお聞きしたいと思っています。そのような例が集まれば、 この文書はさらに更新できるでしょう。

2.3 リーダースガイド

まだ最大の HOWTO になったわけではありませんが、 でもこの文書はだいぶ大きくなりました。 全体を読み通すのはしんどいので、 どの部分を読めば良いかを教えてほしい、 というリクエストをいただきましたので、以下に挙げてみます。

エキスパート (エリート)

Linux やディスクドライブの技術について良くご存じなら、 あなたがもっとも望んでいる情報はきっと付録にあるでしょう。 また FAQ と 補遺 の章も読んでいただきたいと思います。

経験者 (有能な人)

コンピュータ一般に対する知識を持っている人は、 最新技術 の章に飛んで、以降を読み進めてください。

初心者 (タコ)

全部読む必要があると思います、ごめんなさい。 また、他のディスク関連の HOWTO も読むことをお勧めします。


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