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3. Pilot と Linux でデータを共有する

3.1 Pilot-link というソフトウエア

Pilot-link という一揃いのソフトウエアがあります。このソフトウエアに よって、プログラムを Pilot にダウンロードしたり、内蔵プログラムの データを linux との間でやりとりしたりすることができるようになります。 Pilot に付属するデスクトップソフトほどにはシームレスではありませんが、 双方向のデータのやりとりをすることができます。一般的に言って、 pilot-link ソフトウエアに含まれるそれぞれのソフトは、それぞれが 1種類のデータを管理します。(訳注: ようするに、Memo/Address/ToDo などなど、それぞれのデータを扱うソフトが独立している、ということ ですね。)で、これらの pilot-link ソフトウエアの上位ソフトとして PilotManager というソフトウエアがあり、これを使うとより統合的な 環境が実現できます。つまり、いろいろな種類のデータの同期を一度に 行うことができるわけです。

Pilot-link ソフトをインストールする。

パッケージ化されたバージョンのものは、大本(master)の配布よりはどうしても 遅れてしまいますが、設定が不要ですし、インストールも楽です。 バグフィックスや、新しい機能が必要な場合には、大本の配布を 使うほうがいいでしょう。

Debian Linux 用の pilot-link version 0.7.2 は、 ftp://ftp.debian.org/pub/debian/hamm/hamm/binary-i386/otherosfs/pilot- link_0.7.2-1.deb から入手できます。通常の方法で(訳注: dpkg や dselectを使って) インストールしてください。これをインストールした場合には、 「Pilot-link ソフトを使う」の章までスキップしてください。

RedHat Linux 用の pilot-link version 0.7.6 は、 ftp://ftp.redhat.com/pub/contrib/i386/pilot-link-0.7.6-2.i386.rpm から入手できます。通常の方法でインストールしてください。 これをインストールした場合には、「Pilot-link ソフトを使う」の章まで スキップしてください。

その他の版の linux や、その他の unix の場合には、 ftp://ryeham.ee.ryerson.ca/pub/PalmOS/pilot-link.0.8.2.tar.gz. をダウンロードしてください。 バージョン番号は少々変わってしまっているかもしれませんが、 新しいバージョンのものが、同じ場所に、同様の名前で存在する はずです。 (訳注: pilot-link の最新版は訳している現在、pilot-link.0.8.9.tar.gz になっているようです。訳者もこれをゲットしました。)

配布ファイル(訳注: pilot-link.0.8.2.tar.gzのこと)をゲットしたら、 次のコマンドラインで展開します: tar -xvzf pilot-link.0.8.2.tar.gz これによって、pilot-link.0.8.2 というディレクトリができあがり、 その中にソースがあります。

(訳注: 訳者は pilot-link.0.8.9 をゲットして、Debian-1.3.1の上に インストールしてみました。あっけないほど簡単にコンパイル/インストール が完了しました。まだ 全部の機能をテストしていませんが、うまく動作 しています。pilot-xfer のバックアップ機能 (-b オプション)はいいですね。 根こそぎバックアップしてくれているようなので安心。 また、この HOWTO に記述されているよりも多くのソフトウエアが含まれて います。X11 上のカレンダーソフト ical との連係も可能です。(Pilot -> Linux の片方向なのが残念ですが...)

./configure を実行します。これによって、ソフトウエアをコンパイルする ために必要なシステム情報を自動的に認識します。デフォールトでは、 できあがったソフトウエアを /usr/local 以下にインストールするような 設定になります。それを変更したい場合には、./configure のかわりに、 ./configure --prefix=DIR と実行してください。DIRには、あなたが pilot-link ソフトを インストールしたいと思っているディレクトリを指定します。

さて、make を実行して、コンパイルをおこないます。これだけでは ソフトウエアのインストールはおこなわれませんから、まずはやってみましょう。 (もしあなたが古いバージョンのソフトを新しいバージョンで置き換えようと している場合には、予め必要な機能がうまく動作するかどうかを確認したい かもしれませんよね。普通は問題ないはずですが。)

root ユーザになって、make install を実行します。 これによって、/usr/local (または、あなたが --prefix オプションで指定 したディレクトリ)以下に、必要なソフトウエアがインストールされます。 もしあなたが root ユーザになることができない場合には、あなたが 書き込み権限を持っているどこかのディレクトリにインストールすれば よいでしょう。

実行ファイルのあるディレクトリを、サーチパスに加えるのを忘れないで くださいね。

Pilot-link ソフトを使う。

pilot-link ソフトのほとんどは、conduit(直訳:導管) です。 つまり、Pilot との間のデータ交換をおこなうものです。

このようなソフトを使う時には、Pilot の クレードルのホットシンクボタンを 押してください。これによって、Pilot 側のデータ転送が始まります。 なかには、ホットシンクボタンを押すように促さないプログラムもありますので、 れは覚えておいたほうがいいでしょう。

これらのプログラムのさらに詳細なことや、オプションなどに関しては それぞれのマニュアルページを参照してください。例えば pilot-xfer プログラムに関して知りたい場合には、シェルプロンプトから、 man pilot-xfer と入力します。

PilotManager を使う場合には、これらの細かいツールの使い方は知る必要 はないかもしれません。

(訳注: Pilot <-> Linux のやりとりをする時のシリアルラインのデフォールト 速度は 9600bps のようです。これは環境変数 PILOTRATE を設定することで 変更可能です。訳者の環境(Pentium-90+16550A+Linux2.0.32)では、 setenv PILOTRATE 57600 で、快適に動作しています。)

pilot-xfer

pilot-link プログラムの中で、恐らく一番使いでのあるプログラムでしょう。 pilot-xfer を使うと、Pilot にプログラムをインストールしたり、 バックアップをとったり、バックアップをリストアしたり、ということが できます。

プログラムを Pilot にインストールするには:

pilot-xfer /dev/pilot -i program.prc

Pilot のバックアップをとるには:

pilot-xfer /dev/pilot -b backup-directory

これによって、Pilot の中にあるすべてのデータベースの内容が backup-directory というディレクトリにコピーされます。 (プログラムも含めて?)もし、そのディレクトリが存在しない場合には 新しく作成されます。

Pilot にデータをリストアするには:

pilot-xfer /dev/pilot -r backup-directory

一般的にこれが必要になるのは、ハードリセットをおこなった時か、 電池が完全に切れてしまったときなどでしょう。

Pilot 上のプログラムを表示するには:

pilot-xfer /dev/pilot -l

install-memo

Linux上のファイルを Pilotのメモとしてダウンロードします。 メモを特定のプロジェクトカテゴリー(すでに作成済の)としてダウンロード するには: install-memo /dev/pilot -c project project.memo メモの最初の行には、ファイル名が挿入され、Pilot上のメモプログラムの ディレクトリ情報(一覧)には、これが表示されます。

memos

このプログラムは Pilot の中のそれぞれのメモを引っ張り出して、標準的な mailbox フォーマットで表示します。

memo を見るためには:

memos /dev/pilot

とします。

pilot-addresses

Pilot-addresses は、Pilot のアドレスデータベースをやりとりするための ものです。

Pilot から、Linux ファイルに内容を書き出すには:

pilot-addresses /dev/pilot -w storage.file

(訳注: こっちだけ試してみました。日本語を含む address もちゃんと 吸い上げることができます。ただし、Pilot + J-OS の日本語コードは シフトJIS(MS漢字コード)ですので、Linux 上で読むためには nkf -e などの コマンドで、 EUC に変換する必要があります。)

Linux ファイルから Pilot に内容を転送するためには:

pilot-addresses /dev/pilot -r storage.file

(訳注: read-ical ってのもあります。で、これは Pilot の datebook と todo を ical フォーマットで吸い上げてくれるもので、ical は、ToDo と、 DateBook を X11 上で表示できるアプリケーションです。見栄えもかなり良いです。 しかし、残念ながら ical では日本語が通らないようです。 今回初めて ical をインストールしてみたのですが、とっても使えそうな アプリケーションなだけに無念です。

...と思ったのですが、なんとかなりました。

まず、ical の日本語表示に関しては、ical-2.2 と、日本語化された tcl/tk である、 tcl7.6jp/tk4.2jp の組合せで日本語が表示可能になりました。 (もちろん、ical-2.2 の再コンパイルが必要です。) 問題は read-ical 側で、シフトJISを通すための簡単なパッチが必要です。 すごくいいかげんな対処ですが、とりあえず訳者のところでは動作してます。 (ほんとにこれでいいのかなあ...とても不安。) この文書の最後に pilot-link0.8.9用のパッチを付加しますが、他にまじめに パッチした方がいらしたら、ぜひ御連絡ください。

ちなみに、オリジナルの ical のリリースURL は: http://www.research.digital.com/SRC/personal/Sanjay_Ghemawat/ical/home.html です。

現在は Pilot -> Linux という片方向だけですが、かなり幸せです。 さらに write-ical ができればいいなあ...)

3.2 MakeDoc

Pilot 組み込みの memo プログラムの一つの欠点は、大きなドキュメント を扱うことができない、という点です。これを解決するために、Rick Bram <mailto:rbram@concentric.net> は Doc を開発しました。Doc は Pilot で 動作するドキュメントリーダーです。 (http://www.concentric.net/ rbram/doc.shtml を参照) ドキュメントを Doc が扱える形式に変換するためには、MakeDoc を使います。 MakeDoc は Pat Beirne <mailto:pat.beirne@sympatico.ca> が開発しました。

MakeDoc をインストールする。

MakeDoc は以下の URL からダウンロードできます: http://www.concentric.net/ rbram/makedoc7.cpp これを、お手持ちの C++ コンパイラでコンパイルし、サーチパス上の どこかのディレクトリに、makedoc としてインストールしてください。 makedoc (version 0.7a) には少々バグがあるようで、ユーザーに表示される 最後の文字として、改行(newline)を出力しないようです。 まあ、多少不愉快ではありますが、できあがるドキュメントファイルの大勢に 影響はありません。

新しいバージョンもあるようですが、これには Java が必要です。 Pat Beirne の MakeDoc ウェブページを参照してください: http://cpu563.adsl.sympatico.ca/MakeDocJ.htm

MakeDoc を使う。

MakeDoc は次のように使います: makedoc data.txt data.prc "Data to display with Doc" これによって、data.prc という Pilot にダウンロード可能なファイルが 生成されます。(ダウンロードには pilot-xfer を使います。) "Data to display with Doc" の所には、Doc のドキュメントディレクトリ (一覧)で表示させたい文字列を指定します。

MakeDoc のコマンドラインの文法は以下の通りです:

makedoc [-n] [-b] <text-file> <prc-file> <story-name>
 または
makedoc -d [-b] <prc-file> <text-file>

<text-file>

変換したい元テキストファイル

<prc-file>

生成するファイル名 ('.prc' という拡張子を後ろにつけてください。)

<story-name>

Doc または Jdoc のドキュメントディレクトリ(一覧)に表示させたい 文字列。(訳注: 空白を含む場合には ''や、"" で囲ってください。)

できあがった .prc ファイルをデコードしたり、圧縮を制御するための オプションもあります。

3.3 PilotManager

PilotManager は、複数のデータベースを一度のホットシンクで同期させる ことのできる統括的なアプリケーションです。 私自身は、この Pilot-HOWTO を書いている時点ではまだ PilotManagerの 構築/インストールに成功していません。

いくつか助けになりそうなリンクを:

私自身はもう少しでこのソフトウエアをインストールできると思うので、 その時にはまたこのドキュメントの新しいバージョンで、それについて ふれたいと思います。

(訳注: 訳者も PilotManager に関して少しだけのたうち回ってみましたが、 PilotManager は、どうも XOpenの CDE (Common Development Environment) に含まれる Calendar プログラムとインターフェースをとるような構造で 作成されているようです。で、これらが再配布できないパッケージなので、 CDE をすでに持っている方以外は(少なくともカレンダー機能は)使えない のではないかと思います。PilotManagerの、その他の機能に関しては使用可能 かもしれませんが、未確認です。うまく使う事のできた方、是非情報をお寄せ ください。 また、Data::Dumper のインストールには、perl 5.004 以降が必要なようです。 うまく PilotManager を使う方法をご存知の方がいらっしゃいましたら、 是非御連絡ください。 Linuxに関しては、恐らく、Caldera 社の販売している CDE を購入すればi 利用可能となるのではないかと思っていますが、手元にないので試して いません。)


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