E.1. 中古のターミナルサーバーを購入する際の考慮事項

昔はインターネットサービスプロバイダが、 ターミナルサーバーの大手ユーザーでした。 各モデムはターミナルサーバーポートにつながっていたでしょうし、 接続してくるユーザーは、たんに予め決まったミニコンピュータだけにではなく、 どこにでも IP が送れるようになっていたと思います。 製造業者はこの使い方を反映するように、その装置の名前を、 ‘アクセスサーバー’ とか ‘モデムサーバー’ に変えました。

これらのアクセスサーバーは新しい世代がとって代わりました。新しい世代は、 ISP のルーターに、 電話のトランク回線を直接挿し込めるようになっています。 モデムが別々に分かれているわけではありません。 モデムのトーンは、 ルーター内部にある、デジタルシグナルプロセッサチップがデコードします。 この結果今では、ターミナルサーバーは中古市場で、 簡単に入手できるようになっています。

中古のターミナルサーバーを購入する場合は、 そのソフトウェアの権利も購入することを確認して下さい。 会社によっては、自分たちのソフトウェアをライセンスしていて、 そのライセンスが再販できないこと、 そのターミナルサーバーの所有者変更の際は、 当該会社からライセンスを再購入しなければならないこと、 という契約条件を付けているところがあります。 ソフトウェアのアップデートを得るには、 多くの会社では一般に保守契約が必要になります。 これらの保守契約は高額になる可能性があり、 一般的な数字は、年額で小売価格の 15 パーセントです。 サードパーティのメンテナンス業者から、 もっと安価なソフトウェアアップデートを入手できるかも知れません。

古いターミナルサーバーの多くはもう販売していないか、 あるいはそのベンダーのサポートが打ち切られています。 ベンダーのウェブサイトで “end of life” を探して下さい。

ごく最近利用可能になったソフトウェアが、 購入したターミナルサーバーの RAM やフラッシュメモリの制約内で収まらない場合、 ベンダーのサポートが、特に問題となることがあります。 中古のターミナルサーバーを購入するのは、 このことを調べてからにしたほうがいいでしょう。 そうしないと、 フラッシュメモリのアップグレードが、著しく困難になる可能性があります。 というのは、マザーボード上の ROM も、 フラッシュメモリの特性を分かっているものに、 置き換える必要があるかも知れないからです。

これはフラッシュメモリ設計の失敗です。このようなサーバーでは、 フラッシュメモリは、メモリの読み書きに要するタイミングではなく、 モデル名でそれ自身を識別します。 ですから、フラッシュメモリからソフトウェアをロードする場合は、 ブート ROM には、フラッシュメモリのモデルとタイミングの表が必要です。

Kingston とか MemoryX といった、 サードパーティの部品メーカーでは、 通常ダイナミックRAM やフラッシュメモリを提供しています。ですが普通は ROM もスタティックRAM も 提供できません。

古いターミナルサーバーのほとんどは、 Secure Shell をサポートしていません。 この場合、イーサネットポートでターミナルサーバーにアクセスするという 考えはまずいです。つまりコンソールにログインすると、 自分のパスワードが平文でインターネット上を流れてしまいます。 ですから、ターミナルサーバーに電話して接続するか、あるいは S/KEY 認証付きの、 RADIUS プロトコルといったような、ワンタイムパスワードシステムを使って下さい。

あるいは、別の Linux マシンを一台用意して、 マルチポートのシリアルカードを使ってもかまいません。