SCHED_SETAFFINITY
Section: Linux Programmer's Manual (2)
Updated: 2008-11-14
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名前
sched_setaffinity, sched_getaffinity - プロセスの CPU affinity マスクを設定・取得する
書式
#define _GNU_SOURCE
#include <sched.h>
int sched_setaffinity(pid_t pid, size_t cpusetsize,
cpu_set_t *mask);
int sched_getaffinity(pid_t pid, size_t cpusetsize,
cpu_set_t *mask);
説明
プロセスの CPU affinity (親和度) マスクは、そのプロセスが
実行を許可されている CPU の集合を決定する。
マルチプロセッサ・システムでは、CPU affinity マスクを設定することで
性能上のメリットを得られる可能性がある。
例えば、特定のプロセスを一つの CPU に括り付け
(すなわち、そのプロセスの affinity マスクを一つの CPU に設定し)、
他の全てのプロセスの affinity マスクからその CPU を除外することで、
確実にそのプロセスの実行速度を最大にすることができる。
また、あるプロセスの実行を一つの CPU に限定することで、
一つの CPU での実行を停止してから別の CPU で実行を再開するときに発生する
キャッシュ無効化 (cache invalidation) による性能面の劣化を避けることもできる。
CPU affinity マスクは「CPU の集合」を表す
cpu_set_t
構造体で表現され、
cpu_set_t
へのポインタ
mask
で指定される。
CPU 集合を操作するためのマクロ群については
CPU_SET(3)
で記載されている。
sched_setaffinity()
は、プロセスID が
pid
のプロセスの CPU affinity マスクを
mask
で指定された値に設定する。
pid
が 0 の場合、呼び出し元プロセスが使われる。
cpusetsize
引き数には
mask
が指すデータの長さ (バイト単位) である。
通常は、この引き数には
sizeof(cpu_set_t)
を指定すればよい。
pid
で指定されたプロセスが
mask
で指定された CPU のいずれかで現在実行されていない場合、
そのプロセスは
mask
で指定された CPU のいずれかに移動される。
sched_getaffinity()
は、
プロセスID が
pid
のプロセスの affinity マスクを
mask
が指す
cpu_set_t
構造体に書き込む。
cpusetsize
引き数には
mask
の (バイト単位の) 大きさを指定する。
関数
sched_getaffinity()
は長さ
len
のポインタ
mask
にプロセス
pid
の affinity マスクを書き込む。
pid
が 0 の場合、呼び出し元のプロセスのマスクが返される。
返り値
成功した場合、
sched_setaffinity()
と
sched_getaffinity()
は 0 を返す。
エラーの場合は -1 を返し、
errno
を適切に設定する。
エラー
- EFAULT
-
指定されたメモリ番地が不正である。
- EINVAL
-
システム上に現在実際に存在し、かつ
"cpuset" 機構が課す制限においてそのプロセスに対して許可されている
プロセッサが、
affinity ビットマスク
mask
に含まれていない。
"cpuset" 機構については
cpuset(7)
を参照。
- EINVAL
-
(sched_getaffinity()
と、カーネル 2.6.9 以前の
sched_setaffinity())
cpusetsize
がカーネルで使われている affinity マスクのサイズより小さい。
- EPERM
-
(sched_setaffinity())
呼び出し元のプロセスに適切な特権がなかった。
呼び出し元は、実効ユーザ ID が
pid
で識別されるプロセスのユーザ ID または実効ユーザ ID と同じであるか、
CAP_SYS_NICE
ケーパビリティ (capability) を持たなければならない。
- ESRCH
-
プロセス ID pid のプロセスが見つからなかった。
バージョン
CPU affinity システムコールは Linux kernel 2.5.8 で導入された。
これらのシステムコールのラッパー関数は glibc 2.3 で導入された。
最初は、glibc のインタフェースには
unsigned int
型の
cpusetsize
引き数が入っていた。
glibc 2.3.3 では
cpusetsize
引き数が削除されたが、glibc 2.3.4 で
size_t
型で復活した。
準拠
これらのシステムコールは Linux 固有である。
注意
sched_setaffinity()
を呼び出した後は、プロセスが実際に実行される CPU の集合は、
mask
引き数で指定された集合と、システム上に実際に存在する CPU の集合の
共通集合 (AND) となる。
"cpuset" 機構が使用されている場合には、プロセスが動作する CPU 集合
に対してシステムはさらに制限を加えるかもしれない
("cpuset" 機構については
cpuset(7)
を参照)。
プロセスが動作する実際の CPU 集合に対する制限はカーネルにより
暗黙のうちに適用される。
sched_setscheduler(2)
には Linux におけるスケジューリング機構についての説明がある。
実際には affinity マスクはスレッド単位の属性で、スレッドグループの
各スレッド単位に独立して調整することができる。
gettid(2)
コールからの返り値をこのコールの
pid
引き数として渡すことができる。
pid
に 0 を指定すると呼び出し元のスレッドの属性が設定され、
getpid(2)
コールからの返り値を
pid
に指定するとスレッドグループのメインスレッドの属性が設定される
(POSIX スレッド API を使用している場合、
sched_setaffinity()
の代わりに
pthread_setaffinity_np(3)
を使用すること)。
fork(2)
経由で生成された子プロセスは親プロセスの CPU affinity マスクを継承する。
affinity マスクは
execve(2)
の前後で保存される。
このマニュアルページでは CPU affinity コールの glibc インタフェースを
説明している。実際のシステムコール・インタフェースは少し違っており、
実際の実装では CPU 集合は簡単なビットマスクであるという実状を反映し、
mask
の型が
unsigned long *
となっている。
成功時には、生の
sched_getaffinity()
システムコール自身は
cpumask_t
データ型の (バイト単位の) 大きさを返す。
cpumask_t
はカーネル内部で CPU 集合のビットマスクを表現するのに
使われているデータ型である。
関連項目
clone(2),
getcpu(2),
getpriority(2),
gettid(2),
nice(2),
sched_get_priority_max(2),
sched_get_priority_min(2),
sched_getscheduler(2),
sched_setscheduler(2),
setpriority(2),
pthread_setaffinity_np(3),
CPU_SET(3),
sched_getcpu(3),
capabilities(7),
cpuset(7)
Index
- 名前
-
- 書式
-
- 説明
-
- 返り値
-
- エラー
-
- バージョン
-
- 準拠
-
- 注意
-
- 関連項目
-
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Time: 03:26:53 GMT, April 25, 2010