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Webmasters コラム(1999/3/17)

「1999 Linux 初夢」で思ったこと

1998年の師走 -- ふっとこの企画(イベント)を思いついた. Linux に対する, みなさんのいろんな想いや願いを聞いてみたいなあ, って. それにはクリスマスよりも, 正月にみる「初夢」のほうがうってつけだと思った. 日本のユーザのための企画なんだし :-)

そして結果として, 200 を越える初夢を受けとることができた. 繰り返しになるが, 投稿していただいた皆さんにあらためてお礼申し上げたい. そういえばこの企画は, Internet Watch の「厳選!初笑いサイト」 にて紹介されていたことをお伝えしておこう. (「初夢」のはずが「初笑い」に変わってしまったのは, webmaster としては不徳のいたすところである.)

ところで, 投稿時に年齢を書き込んでいただけるようにしていたので, 興味本位で平均年齢を手で計算してみたところ, 今回投稿して頂いた方々の平均年齢は約28.7歳と判明した. (残念ながら私の計算 awk スクリプトはうまく動かず, ほとんど手で計算するはめになった. 2バイト文字や16進数で書く人のことを想定していなかったのだ. ;_;)

さて, 数もこれだけあると眺めるだけでも大変だ. せっかくコラムのコーナーができたことだし, 独断ながら特徴あると思われた「初夢」を引用させていただき, 感じたことを述べさせていただきたい.

社会現象としての Linux

最近, 雑誌の「週刊現代」や「女性自身」, そして J-Wave の人気番組 「Tokyo Today」などなど, 本来コンピューター関係と直接関連のないはずのメディアのあちこちでも, Linux が話題にのぼるようになった. そのブームを反映してか, OS である Linux とどういう関係が? と思えるような投稿も多かったと思う. ここにいくつかあげてみよう.

Windows 95/98/NT/2000, マイクロソフト社, ビル・ゲイツ氏

Windows 返金運動でのメディアの伝え方をみていてわかるように, どういうわけか 「Linux vs. Windows」というとらえかたをされることが多いようだ. 今回の投稿にもアンチ・マイクロソフト的なものが多かったように思う. この一連の投稿を見た一般の多くの人が, 「Linux を使う人って, ようするにマイクロソフトやWindowsが嫌いなのね」 といった誤った(?)印象を受けなければよいが...とちょっと心配である. だからここは無難に, 代表的なものを紹介するにとどめておこう.

さてさて一方, こういうお願いも当然あるわけで.

なんだかんだ言ってもやっぱりこれがないとねえ... という人は多いだろう. ところが, ひょっとしてこれも正夢になるのじゃないかという推測が メディアで報道されている. ひょっとするとひょっとして、そういうこともありうるのかもしれない.

ここ半年ほどで, データベースやサーバ関係のLinux対応製品の発表が非常に多かったが, 今後はデスクトップとしての様々なアプリケーションの登場に期待しよう. 実際, Corel 社の各製品や Gnome , そしてATOK11など, 今年に入ってからデスクトップの話がだいぶ賑やかになってきた. そしてなにより, Linus Torvalds 氏の, Linux は今後 デスクトップで飛躍 するだろうという見方はなんとも心強いではないか.

技術的なこと

本当はもう少しテクニカルな話があるかと考えたが, 意外と少なかったのはなぜだろう. もう今の Linux で満足している? (というわけでもないだろうが...)

「がんばって」

こういうのも意外と少なかったかも.

暗雲

もちろん笑っていられるような明るい話ばかりではない.

上記の投稿は一見ジョークのようだが, それぞれ懸念される Linux (およびオープンソース)の 問題に対して, 実に核心をついているといえるのではないだろうか?

少々異常ではと思えるほどの昨今の Linux ブーム. これは端から見ている者にさえ, バブルじゃないの?という気がする. このブームの去った後, Linux はどうなるだろうか. なんとなく, Windows95 発表時のお祭り騒ぎと似てはいないだろうか. そしてこのブームをチャンスとばかりに, ルールを知らない商売をする業者 が出てくるのでは、と心配だ. さらに, ハロウィーン文書 にも記されていたが, 特許などの知的財産やその他の法律的なことも心配だ. 技術的なこととは直接関係はない, このような課題に Linux や OSS はどうやって対応できるのだろう? これらのことで, Linux の成長がしぼむようなことがなければよいがと, ユーザとしては願わずにいられない.

正夢になったこと

初夢を募集してからたったひと月ほどで, 実に様々な動きがあった. 今年は去年以上に賑やかになりそうだ. (ニュース&アナウンスの更新も, ますます大変になる... だろう.)

かねてからの噂(?)のとおり, ついに IBM も動き出した. (rlogin サポートはちょっとわからないが). HP, Sun, DEC などなど, PCやワークステーションベンダの Linux への取り組みも, ますます活発になりそうだ.

さすがに全都道府県とはいかないが、 ここ最近で急激に新たな 地域ユーザの会が増えている. Linux 普及がどんどん進んでいることの、わかりやすい一つの例と言えるだろう.

この投稿をされた方は、「Xデーは1/19!!! 」さんというお名前であった. 実は 1月19日というのは, Oracle8i for Linux がメディアで 報道された日付とぴったり一致している. ひょっとして関係部署のかたの投稿だったのかな?

発音

やっぱりこの議論は今年も続くのかな.. :-P

Webmasters イチオシ!

いろんな初夢があってとても楽しいが, ここで我々 Webmasters で非常に人気の 高かった投稿をご紹介しておきたい.

風刺が効いてて, かつ本当にできたらいいなあ, というあたりのバランスが実に絶妙. なんと言っても, GhostPet というネーミングがとってもGood. (ただ, RMS とか ヌー とか言われても, 一般的にあまり通じないかもしれないのがちょっとネックではあるけど.) この企画がコンテストだったら, ひょっとして最優秀賞ものだったかも.

さいごに

"いいだしっぺの法則" というのがあるから, 普段「Linux でこういうのできないの?」とか, 「誰かつくってください」 とか発言するのをためらっている人からの投稿が多いかな, と予想した. が, (特に)後半は, なぜかしらジョークなものばかりになってしまったように思う(笑). また何か楽しい企画を思いついた方は, ぜひ Webmasters までリクエストを送って欲しい.

さて最後に, Linux ユーザの皆さんにとっておそらくは共通の初夢を紹介し, 「1999 Linux 初夢]の総まとめとさせていただく.

 

(大畑 純 = ohhata@aurora.dti.ne.jp)

参考文書, URL

  1. ハロウィーン文書(邦訳)
    Eric Raymond による, マイクロソフト内部文書の紹介と, オープン・ソース・ソフトウェア (OSS) からみたその対策案.

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